不良娘アクセラレーション!

※スピードワールド2の効果・LP・スピードスペル(Sp)はWCSのものを採用しています。


デュエルアカデミアmay校。
その敷地内にあるガレージでアカデミア数学教師・藤山英理は人を待っていた。
「遅いわね」
「オソイ」「オソスギル」
周囲ではメカノルム達がギャーギャーと騒いでいる。
それからしばらくして待ち人はようやくやってきた。
「悪ぃ先生、遅くなった」
スカジャンに長いスカートのセーラー服。
mayでもちょっとは名の知れたスケバン少女・尼曽根美琴である。
「遅刻よ、尼曽根さん。罰として廊下に立ってなさい」
彼女はアカデミアの生徒ではないので、
あくまでカードショップmayに出入りするデュエリスト同士としての付き合いなのだが、
二人の年齢的に教師として接してしまうことも多々あるのだ。
「そりゃねーよ先生」
「まったく。誰のために時間を割いてあげてると思っているの?」
「悪い悪い。マジで謝るから勘弁してくれ」
不良である美琴が教師である英理を先公ではなく先生と呼ぶのは、それなりに信頼しているからであろう。
ただ、顔を合わせる度に色々と難題・厄介ごとを押し付けられることもあるので少々苦手でもあった。
「で、例のブツは?」
「ええ。完成しているわよ」
彼女は視線でブツとやらを示した。
大きな布のかけられたなにか。
英理がメカノルムに合図し布を取り外させると、
「おお、スゲー!」
現れたのはDホイールであった。
虎の顔を思わせるフロント装甲。後部からこれまた虎の腕と爪を思わせるサイドアームが伸びている。
「注文通り『アマゾネスペット虎』っぽくしておいたわ」
そう。
英理は美琴のためにDホイールを1台組み立てたのである。
もちろんタダでというわけではない。
以前美琴がサイバーマンと名乗るデュエリストに襲われた際に手に入れた首輪型衝撃増幅装置。
それを英理に提供する代わりに、Dホイールを造ってもらう約束をしていたのだ。
メカに強く普段から様々なものを造っている英理にとってはそう難しいことではなかった。
その上で擬似的に闇のデュエルっぽい何かを再現するサイバーマン印の謎装置を手に入れられるのだから
儲けものである。
後に英理が解析・量産したこの衝撃増幅装置が数多のデュエリストを苦しめることになるのだが……
それはまた別のお話。
「ついでにあなたのデュエルディスクもモーメントディスクに改造しておいたわ」
普段美琴が使っていたデュエルディスクはごく一般的なKC製の普及版のものであった。
しかしライディングデュエルで使用できるにするため、これまた英理の手によって
スタンディング・ライディング兼用のハイブリットモーメントディスクとして改造が施されたのだ。
「サンキュー、先生」
「構わないわ。それよりも、あなた、ちゃんとライセンスは取ってきたんでしょうね?」
Dホイールを使いライディングデュエルを行うにはライセンスが必要なのである。
オートパイロット機能があるとはいえ、バイクのようなもの。免許が必要なのは当たり前だ。
「心配すんなって」
そう言って取り出したのはまうごと無きDホイーラーライセンスであった。
目つきの悪いむすっとした表情の美琴の写真が付いている。
ここ数週間、美琴は教習所に通いつめライセンスを取得してきたのだ。
「そう。なら今から私とライディングデュエルはどう?」
「ッ! マジで!? そりゃ願ったり叶ったりだけどよ。先生、Dホイール持ってたのか?」
「ええ勿論。じゃ、決まりね。ルールはWCSルールでいいかしら」
「おう、構わないぜ」
英理がメカノルム達に命令し、自分のDホイールの準備をさせる。
「さすがにその格好じゃダメね。というわけで、ライディングスーツも用意してあるから着替えてらっしゃい」
「至れり尽くせりじゃねーか。なんか裏があんじゃねーかと、ちょっと怖いぜ?」
「…………」
いらないとでも?と英理の視線が痛い。
「ああ、いや、ありがたく頂戴シマス」
そそくさと近くの女子トイレで着替えてくることにした美琴であった。
「あのよ、先生。さすがにこれは……」
しばらくして着替え終わった美琴が戻ってきた。
黒を貴重としたライディングスーツに身を包んでいるのだが、
若干サイズが合っていないらしく色々なところがパツパツであった。
胸元はジッパーが上がりきらず豊かな谷間が露わになっているし、お尻の扇情的なラインも丸分かりである。
さすがにはちきれはしないが、いわゆるピッチリスーツ状態だ。
「似合ってるわよ」
「そういう問題じゃねーよ!」
「エローイ」「エローイ」「マローイ」
「うっせぇぞ、お前ら!」
頬を染め抗議する美琴のことは取り合わず、英理がヘルメットを投げ渡してきた。
英理はまだ白衣にミニスカという普段の格好のままである。
「あ? 先生は着替えねぇのか?」
「私はこれでいいのよ」
「はぁ? そういやDホイールも見あたらねぇけど……」
「すぐにわかるわ。先にコースに出てらっしゃい」
「オボエテヤガレ」「カクゴシロヨ」
そう言い残しメカノルム達を引き連れて、英理がどこかへと消えていく。
「なんだってんだ?」

1人とり残された美琴は言われたとおりにすることにした。
Dホイールにまたがり、モーメントエンジンをスタート。
独特の起動音を立ててマシーンに命が宿る。
変形させたモーメントデュエルディスクをセットし、ガレージからコースへとDホイールを走らせた。
風を切る感覚が心地よい。Dホイールにも問題はないようだ。
(……さすが先生。いい仕事してるぜ)
程なくしてDホイールのOSが自動で起動した。
「フィールド魔法『スピードワールド2』、セットオン」
モニターにカードが出現し、美琴のDホイールを中心に波紋のようなソリッドビジョンが広がる。
どうやら英理側から『スピードワールド2』が起動されターゲット認定されたようだ。
「デュエルモードON、オートパイロットスタンバイ」
ライディングデュエル用のオートパイロットプログラムが起動する。
「レーンセレクション……使用可能な最適レーンをサーチ」
ライディングデュエル用にmayの街の道路が変形していきコースが形成されていく。
街そのものがライディングデュエルのコースになる様はいつ見ても壮観だった。
「デュエルが開始されます。デュエルが開始されます。コース上の一般車両は退避してください」
「お、ライディングデュエルか?」「へぇ、誰と誰がやるんだ?」「アカデミア生同士かな?」
スピーカーから流れる警告に一般車が側道に避難し、コース形成を見て人々が興味を示している。
「デュエルレーン、セントラルに申請。オートリゼーション!」
「って、先生はどこだよ?」
コースを走る美琴は周囲を見回すがそれらしき姿はない。
その時。
すさまじいエンジン音が響いた。
美琴の後方から、巨大ななにかがコースへと走りこんできた。
それは巨大なトレーラー。
機械族モンスターである『マシンナーズ・フォートレス』が変形したかのような超弩級マシン。
「な、なんだありゃ!?」
美琴のDホイールに並走したそれからスピーカー越しに声がかけられる。
「待たせたわね。はじめましょうか」
「って、先生かよ!? んじゃ、それが先生のDホイールだってのか!?」
「ええ、そうよ。なにか問題が?」
変形すれば頭部になるであろう部分に存在するキャノピー。
その中は操縦席になっていた。中心に艦長席が設けられ英理が座っている。
その周囲には各種モニターが設置されたメカノルムの席があり、それぞれ操縦や火器管制を担当していた。
「シンジラレルカコノパワー」「地上最初ノロボット軍団」
「あ、ありかよ……こんなの」
唖然とする美琴。
実際DホイールのOSはこの巨大トレーラーをDホイールと認識しターゲットに指定している。
システム的には何も問題ないようだった。
「ったく、もうメチャクチャだぜ……」
「はじめるわよ、尼曽根さん」
「……オッケー。色々言いたいことはあるが後回しだ!」

「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!」」

ライディングデュエルでは第1コーナーを制した者が先攻となる。
美琴はアクセルペダルを踏み込み加速した。
「スーパーメカノルムアクセルシンクロターボ発進!!」
一方英理のDホイールは巨体であるが故に加速には時間がかかる。
結果として第1コーナーは美琴が制し先攻の権利を得た。
「あたしのターン、ドロー!」
左腕に装着されたデッキから美琴がカードをドロー。
お互いのスピードカウンターの表示が0から1になる。

LP SC
MIKOTO 8000  1
ERI 8000  1

美琴はDホイールのサイドアームに供え付けられた手札置き場にカードを加え、
「『アマゾネスの聖戦士』を召喚。カードを2枚伏せてターンエンド!」
先攻の行動を終えた。
フィールドに現れた女闘士が美琴のDホイールに並走し空を舞う。
「私のターンね。ドロー」
続けて、色っぽく長い脚を組んだ英理がデッキからカードをドロー。

LP SC
MIKOTO 8000  2
ERI 8000  2

彼女の前にはデュエルフィールドのプレートが展開されており、
艦長席に座ったままでもライディングデュエルができるようになっているのだ。
どこからどう見ても通常のデュエルにしか見えないのだが……。
「モンスターをセット。カードを2枚伏せるわ」
まるでタロットカードで占いでもするかのように優雅な手つきでカードをフィールドにセットし
ターンエンドを宣言する。

「あたしのターン! ドロー!」

LP SC
MIKOTO 8000  3
ERI 8000  3

「『アマゾネス訓練生』を攻撃表示で召喚!」
美琴はドローしたカードを手札に加え、新たなモンスターを召喚。
だがしかし。
「リバースカードオープン、『神の警告よ』」(LP8000→6000)
英理のカウンター罠により召喚を無効にされ破壊されてしまう。
「ちっ……だがライフコスト2000はでかいぜ、先生!
 『アマゾネスの聖戦士』でセットモンスターに攻撃だ! 聖剣の舞!」(ATK1800)
英理の場にはまだ伏せカードが1枚あるものの、美琴は攻める。
リバースされたモンスターは『マシンナーズ・ソルジャー』。(DEF1500)
召喚時に手札からマシンナーズモンスターを特殊召喚できる効果モンスターではあるが、今は意味を成さない。
女闘士の剣が機械兵士を両断する!
「これであたしはターンエンドだ」
美琴はアクセルをペダルを踏み込み一気にスピードを上げた。
Dホイールの加速性能を確かめ、口元に笑みが浮かぶ。
(やっぱり本物のデュエルレーンは風が違うぜ)

「私のターン、ドロー」
ピッと優雅にカードをドローする英理。

LP SC
MIKOTO 8000  4
ERI 6000  4

「私は手札から『Sp-エンジェル・バトン』を発動!
 スピードカウンターを4つ取り除き、デッキからカードを2枚ドローするわ」
巨大Dホイールのスピードが落ち、美琴のDホイールとの差が開いていく。
「その後手札を1枚墓地へ」
カードを2枚引き、手札で腐っていた『マシンナーズ・フォース』を墓地へと送った。
「続けて手札から『マシンナーズ・カノン』を墓地へと送り―――」
英理がメカノルムに合図する。
「ヤァッテヤルゼ!」
操縦担当のメカノルムがアクセルを踏み込み、一気に美琴との距離を詰める。
「『マシンナーズ・フォートレス』を特殊召喚するわ!」
英理のDホイールが変形し『マシンナーズ・フォートレス』となる!
唸るキャタピラ! 鋼の巨体! 走る機械要塞が美琴のDホイールを追う!
「『アマゾネスの聖戦士』に攻撃よ」
「目標セット! 照準ヨシ……ファイヤー!」(ATK2500)
火器管制を担当するメカノルムの手元にハンドガン型のトリガーがポップアップし、
レーダーの中央に『アマゾネスの聖戦士』の姿を捉えた。
『マシンナーズ・フォートレス』の左肩に装備されたメガ粒子砲内にエネルギーがチャージされ、
高出力ビームを開放する。
しかし女闘士がごん太ビームに飲まれる刹那。
美琴はサイドアームを操作し、英理のDホイールに対し側面を向ける形に向きを変えた。
「リバースカード、オープン! 『Sp―シルバー・コントレイル』!」
腕を突き出し美琴は宣言。
彼女のスピードカウンターが1つ減り、『アマゾネスの聖戦士』が白銀の飛行機雲を描きながら加速する!
女闘士の攻撃力は1000アップし『マシンナーズ・フォートレス』の攻撃力を上回った。(ATK1800→2800)
構えた剣でビームを受け止め、そのまま切り裂いていく!
「くっ……やるわね、尼曽根さん」
「左舷弾幕薄イヨ! ナニヤッテンノ!」
思わぬ反撃ダメージを受けつつも、英理は墓地へと送られた機械要塞の効果を発動する。
「『マシンナーズ・フォートレス』の効果発動! 『アマゾネスの聖戦士』も破壊させてもらうわよ」
『マシンナーズ・フォートレス』のカードが墓地へ送られたことで、英理のDホイールがまた変形しトレーラーへと戻った。
大型モンスターを失いはしたものの、美琴のモンスターもこれでいない。
カードを1枚セットし英理はターンエンドを宣言。

「あたしのターン、ドロー!」

LP SC
MIKOTO 8000  4
ERI 5700  1

「あたしは『アマゾネスペット虎』を攻撃表示で召喚!」
隻眼の虎が現れ、疾走する美琴の虎型Dホイールと並んでフィールドを駆ける!
「ダイレクトアタックだ! 密林の王牙!」
「発動できるカードはないわ。通しよ」(LP5700→3200)
「ギャー! 総員対ショック!!」
メカノルム達が慌てて衝撃に備える。
猛虎がフィールドを駆け、獰猛なその牙を英理たちのいるコックピットに突き立て、
操縦担当のメカノルムまで対ショック体勢を取っていたせいで巨大Dホイールが頭を振った。
「なにやってるの!」
「ツイウッカリ。アワテナイアワテナイ、ヒトヤスミヒトヤスミ」
「休んじゃダメでしょ!」
「……なにやってんだか。あたしはターンエンドだ」

「私のターン……ドロー」

LP SC
MIKOTO 8000  5
ERI 3200  2

攻撃を受け体勢を崩したものの、巨大Dホイールはすぐに持ち直し、先を走る美琴と虎を追った。
「『マシンナーズ・ギアフレーム』を攻撃表示で召喚、召喚時の効果で『マシンナーズ・フォートレス』を手札に加えるわ」
オレンジ色の機械兵士が超弩級Dホイールのコンテナハッチから飛び出し、ローラーダッシュで並走する。(ATK1800)
「『アマゾネスペット虎』に攻撃よ」
「ヤッチマイナー」
ローラーダッシュでフィールドを上下左右に駆け抜けた『マシンナーズ・ギアフレーム』が、
手の中心にあるマシンガンで『アマゾネスペット虎』を撃ちぬいた。
貫通した弾丸は美琴のDホイールへと命中し、今度は美琴が衝撃にハンドルを取られる。(LP8000→7700)
「へっ、まだまだ!」
一瞬崩れた体勢をサイドーアームの操作で持ち直した美琴は、スピードを落とし英理の巨大Dホイールと並走した。
コックピットからキャノピー越しにフィールドを見下ろす英理と目が合う。
「いい腕ね、尼曽根さん」
「先生こそ。こいつ、いいマシンだぜ」
お互い相手を褒めつつ火花を散らす。

「あたしのターン!」
腕を振り上げ美琴がカードをドローする。

LP SC
MIKOTO 7700  6
ERI 3200  3

「……悪いな、先生。この勝負もらったぜ」
ドローしたカードを確認し、美琴が特徴的な長い犬歯を見せ不敵に笑った。
アクセルペダルを踏み込み、サイドアームのハンドルを操作しスピードを上げていく。
「……なにをしようというの?」
「総員第一種警戒態勢! キケンガピンチデデンジャラス!」
「『Sp-調律』を発動! スピードカウンターを3つ取り除き、
 デッキから『ジャンク・シンクロン』を手札に加える!」
代償として2枚目の『アマゾネス訓練生』が墓地へと送られる。
「続けてもう1枚! 『Sp-おろかな埋葬』!」
スピードカウンターを2つ取り除き、美琴はデッキから『ドッペル・ウォリアー』を墓地へと送った。
これで美琴のスピードカウンターは残り1。
「『ジャンク・シンクロン』を攻撃表示で召喚! その効果で『ドッペル・ウォリアー』を蘇生!」
美琴のDホイールの横に小さな戦士が現れ、墓地から影の兵士を呼び戻した。
「ここでジャンペルですって!?」
「☆2『ドッペル・ウォリアー』に☆3『ジャンク・シンクロン』をチューニング!」
小さな戦士が星へと変わり、Dホイールの近くに道が現れる。
「集いし星が新たな力を呼び起こす! 光さす道となれ! シンクロ召喚! いでよ『ジャンク・ウォリアー』!」
『ドッペル・ウォリアー』が光の道を通り抜け、くず鉄の闘士が姿を現す!
「『ジャンク・ウォリアー』の効果! パワー・オブ・フェローズ!」
シンクロ素材となった『ドッペル・ウォリアー』の効果でデフォルメされた兵士のトークンが2体出現し、
『ジャンク・ウォリアー』へと力を分け与えた。(ATK2300→3100)
「出タ! 美琴サンノモンスターコンボダ!」
「感心してる場合じゃないわよ」
艦長席の英理がメカノルム達を叱り飛ばす。
「バトルフェイズ! 『ジャンク・ウォリアー』で『マシンナーズ・ギアフレーム』に攻撃!」
このままではダメージは1300。まだ英理のLPは0にはならない。
『ドッペル・トークン』2体で追撃したとしてもLPが1100残る計算である。
スピードワールド2下でのセーフティラインを割りはするものの、美琴のスピードカウンターは1しかない。
「スクラップ・フィストォ!」(LP3200→1900)
ブースターで加速された拳が機械兵士を粉砕、衝撃が英理達のいるコックピットを襲う。
「続けて『ドッペル・トークン』2体でダイレクトアタック!」
小さな兵士のおもちゃのようなサブマシンガンが火を吹く。(LP1900→1100)
「フゥ、タスカッタ。ハッタリダッタヨウダ」「ヨカッタヨカッタ」
「……いえ、そうじゃないわ」
まだ美琴はバトルフェイズを終えていない。英理はそのことに気づいていた。
キャノピー越しの視線の先。
先を走っていた美琴はハンドル操作でDホイールの向きを変えている。
英理の巨大Dホイールに正面から向き合う形での逆走――ターンバックというテクニックだ。
「リバースカードオープン! 『アマゾネスの意地』!」
「……最初に伏せたカードね」
アマゾネス専用の蘇生カード。そして美琴の墓地にはアマゾネスモンスターが多数眠っている。
どのモンスターを蘇生させても攻撃さえ通ればフィニッシャーになる状況だ。
「『アマゾネスペット虎』を蘇生し攻撃! 密林の王牙!」
ターンバック状態の美琴が高々と宣言し、蘇った隻眼の虎がフィールドを駆け抜け牙を剥く!
「……攻撃を防げるカードはなし。私の負けね」(LP1100→0)
ふぅとため息をひとつつき、英理が天井を見上げた。
「ギャワー」「オワタ」「ナァンテコッタ!」
LPが0になったことで冷却モードが発動し巨大Dホイールのフロントが展開、放熱が行われる。
「ま、新米Dホイーラー誕生ってとこかしらね」
こちらへと向かってくる美琴の姿を見て英理がつぶやいた。
「サンキュー先生。こいつ、マジでいいマシンだぜ」
「そう。それはよかったわ。せいぜい壊さないようにしてちょうだい」
「ああ、大事に使わせてもらうよ」
こうして美琴はDホイールを手に入れ、Dホイーラーとしてデビューしたのであった。



おしまい

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最終更新:2011年05月09日 05:32