時は未来、世の中には感情の持つロボット「ヒゥーマノイド」が完成した。
だが「ヒゥーマノイド」の反乱を恐れた政府はヒゥーマノイド狩りを開始した。
これは一体のヒゥーマノイドを守るために廃工場に武装して立てこもる六人の男女の物語である。

「今すぐ出てきなさい、さもなくば武力行使をする。」
「へッ、誰がお偉いさんの命令なんか聞きますかよ。」

ことの始まりは一日前、奨平の住む町にまで政府の魔の手が伸びてきたところである。
「警告する、警告する、今すぐこの町にある全てのヒゥーマノイドを差し出しなさい。」
町中が騒然とする、まず最初に3人が差し出した。だがそれ以上は増えなかった。
「本当にこれだけか、次から見つけたら処刑にする。今差し出せば許してやる。」
さらに5人が差し出した。その中でも奨平はヒゥーマノイド「エリィ」を所持しながらも差し出さなかった。
「奨平、差し出さなくて大丈夫なのかよ。」
「お前は政府なんかに友達を差し出すのかよ。」
「そうだけど・・・」
「俺は東の廃工場にエリィを連れて逃げる。」
「え・・・。あの廃工場に?」
「ああ、それしか方法はない。」
奨平の右腕を友人の押川壮ががっちりとつかんだ。
「離せ、俺の闘いだ。」
「違うよ、そうしたらぼくらの闘いだ。」
「え・・・。」
「僕もついて行く。ただし準備があるから奨平は先に行ってて。」
「わかった。」
「奨平、絶対に死ぬなよ。」
「死ぬなんて大げさな。」
壮の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。奨平も察したようだ。
「ああ、わかった。約束しよう。」
                     ⇔
そうして奨平はエリィを連れて東の廃工場にやって来た。
「エリィ、ここがしばらく俺達がすごす場所だ。」
「うん。私ここにきたことがあるような気がする。」
「えっ、本当か?でもここはとうの昔に廃工場になったはず。」
「ごめん、私の勘違いかもしれない。」
奨平達は中に入った。そこは真っ暗で何も見えなかった。
「誰じゃ、わしの住処に入ってくる奴は。」
そういって銃を向けてきた。
「ちょっと待って下さい、俺達は・・・。」
「問答無用ってあれお前はエリィ。」
「私このおじいちゃん知ってる。」
「えっエリィ、この爺さんしってんのか?」
「当たり前じゃろ。エリィは最初にして最高のわしの傑作じゃ。」
「てことは爺さんはエリィを作ったのか。」
「爺さんとは失礼な。わしのことは敬意を込めて源さんと呼びなさい。」
そういって源さんは初めて銃をおろした。
「ちっ、なにが源さんだよ。」
「なんか言ったか。」
そう言って銃を向けてきた。
「いいえ。なんでもありません。」
「それならいいが、お前はどうしてここに来た。」
「それは、俺たちの住む町にも政府がヒゥーマノイド狩りにきたんだ。」
「それでエリィを護るためにここに来たか。」
「そうか。わしも政府の行動には納得できん。可愛い娘を護るためだわしも全力で協力しよう。」
「この人が私のお父さん?」
「そうみたいだけど。」
最終更新:2011年03月26日 18:03