電子農法

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注意:このページの内容は、2005年8月19日時点の情報に基づいて記載しています。 *電子農法 **電子農法とは、どんな農法ですか? 一時期かなりもてはやされていた状況に比べると、かなり下火になったような気はするのですが、それでも「電子農法」でググると、未だに結構なページ数がヒットします。 電子農法を実践されているらしき方々のホームページを参考に、共通点を探ってみると、 >-種子への電子チャージ >-土壌への炭素の埋設及び混入 >-土壌への空気の送入 >-電子水の葉面への散布 というのが基本であるようです。(一部のみを実践されている方もいらっしゃるようです。) **検証1-地下に炭素(炭)を埋め込む効果とは? [[時空船ガイアのホームページ>http://mira.internet.ne.jp/jikusen/index.html]]から、電子農法というのは、下記に示す植物波農法の一般的な呼称であると推察されます。 >植物波農法では、植物を始めとするあらゆる生物の生育環境の改善のために、自然界の電場の作用を利用するという画期的な方法が明らかにされている。 >その一つは大地に炭素を埋設し大地電位の調整を図るという方法である。 >炭素の埋設による大地電位の調整は、その土地にある生物・無生物に限らずあらゆる物質の原子、分子の静電気的・静磁気的な結合を安定化させる。 >炭素埋設は農業・畜産・水産での安定的な増収や工業面における品質の向上を図る技術として応用できる。 >さらには公害防止、環境改善などエコロジー分野への利用も可能である。 まず、「自然界の電場の作用」と記述されています。 『電場』というのは、「電気の流れる場」のことでありますから、一見、植物に電気を流して生育に何らかの効果を与えることではないか、と推察します。 しかし、次に「大地電位の調整」と記述されています。 『大地電位』とは、大地の持つ「電気的エネルギー」のことですが、他から高電圧をかけでもしない限り安定しています(落雷並みの電気的エネルギーをかけても、電気が流れることで一時的に電位が上昇しますが、電気が流れ終われば、電位はまた元に戻る)から、電気的エネルギーを新たに加えない炭素を「埋設」しても、電位は調整されないと考えるのが自然だと思います。 さらに、「あらゆる物質の原子、分子の静電気的・静磁気的な結合を安定化」したのでは、肥料成分の分解、植物への移行吸収が阻害されて、作物の生育が遅れるのではないかと懸念してしまいます。 とはいえ、土壌に炭素(炭)を埋設することが有害かというと、そうではありません。炭はアルカリ資材ですから、土壌の酸度矯正の役割がありますし、孔隙が多く、土中でゆっくり分解することから、土壌の物理性改善の効果も期待できます。 **検証2-電子水とは? 電子水がどうやって作られるのかについては、わかりやすい一次資料がなかなか見つからなかったので、 [[エレクトロンチャージャー研究所のホームページ>http://www.eclab.co.jp/]]と、[[時空船ガイアのホームページ>http://mira.internet.ne.jp/jikusen/index.html]]を参考にしました。 エレクトロンチャージャー研究所によると、電子水は、 >水道水を絶縁されたタンクやボトルに入れ、チャージします。 >チャージとは?交流の高電圧を与えることです。 >交流の高電圧とは?+プラスと-マイナスを交互に与えるということです。 >エレクトロンチャージャー研究所の製品では、1秒間に50回から60回+プラスと-マイナスを繰り返し水道水に与えます。 >するとそのたびに水分子自体が振動、回転させられます。 とのことです。 水分子が極性を持つのは確かですが、水そのものは全体として電気的に中性ですし、純粋な水は電気を通しませんから、仮に高電圧をかけたところで、水自体が何らかの変化をすることはありません。 (温度上昇はありえますが、それは水の性質の変化ではありません。温度の高い水が何らかの効果があるというのであれば、高電圧をかけなくても温度を高める方法はあります) また、電子水の特徴として、 >-弱アルカリ性(pH7.4前後、人間の体液と同じ)で体に優しい水 >-クラスターの小さい水 >-エネルギーの高い水 >-のどごしが良く、たくさん飲めて美味しい水 等の説明がうたわれていますが、人間の体液は弱酸性だし、(石鹸がぬるぬるするのは、アルカリ性の石鹸で弱酸性の体が溶かされているから)、水のクラスターは誤解の産物で、そもそもクラスターの大きさは測定されていないし(よく、17O-NMR測定結果をもってクラスターが小さいと説明しているが、17O -NMRは水のクラスターサイズを測定する方法ではないので、クラスターが小さいと論じることは出来ない)、エネルギーの高い水って、要するに温度の高い水だったりするしと、まともな説明でないものがほとんどです。 (美味しいかどうかは、含まれるミネラルの含量と個人の味覚によるので、コメントしかねます) そのほか、電子水を使った比較試験の写真が何点か載っていますが、試験の条件が全くわからない(きちんとブランクテストを行ったのか)うえ、上記の効能説明は当てにならないので、効果については疑問です。 電子水の効果として、信頼できなくもない記述は、 >筑波大学応用生物化学系の向高祐邦助教授らは、高圧電流をかけて処理した水(電子水)に加水分解酵素の作用を高める効果のあることを確認した。 >電子水中に、酵素とその酵素に反応する物質(基質)とを入れ、分解反応で確かめた。電子水だけで基質から目的の生成物を早く作り出せるため、食品や化学品製造の省力化手法として注目されそうだ。(1992年(平成4年)12月7日付けの日刊工業新聞) というものですが、仮にこの作用が正しいとしても、加水分解酵素の作用を高めることと、電子水の効能としてうたわれている、作物の生育促進、制菌効果、還元作用などとは、直接の因果関係がないものであり、説明としては不十分です。 従って、農業においては、単に水を散布する、あるいは水につけるだけの効果との比較がなされない以上、「効果がある」とは言い難いと考えられます。 **検証3-その他及びまとめ 「土壌への空気の注入」については、耕盤破砕などのために、土壌中に圧縮空気を送り込む手法が取られることがあるなど、土壌の物理性改善には一定の効果が認められています。 「種子への電子チャージ」については、種子に高圧電流を流すというものであることから、種子内の組成に何らかの変化が起きる可能性があり、それによって生育促進が期待できたり、あるいは種子内の病原菌や害虫が死滅するなどの効果が期待できるのかもしれません。もしそのような効果を期待するのであれば、きちんとした比較試験を行って、データを示せばよいと思います。 まとめると、電子農法の各種手法は、土壌の物理性、化学性改善に一定の効果があるものの、電気処理による効果説明を行おうとするがために、結果的に矛盾のある説明に陥っているという印象を受けます。 (でも、電気処理をしないと電子農法とは言えないから、そこで自己否定するわけにはいかないのでしょう)
注意:このページの内容は、2005年8月19日時点の情報に基づいて記載しています。現時点ではリンク切れ、リンク先の内容の更新等が発生している場合があります。随時確認のうえ更新しますので、ご了承願います。 *電子農法 **電子農法とは、どんな農法ですか? 一時期かなりもてはやされていた状況に比べると、かなり下火になったような気はするのですが、それでも「電子農法」でググると、未だに結構なページ数がヒットします。 電子農法を実践されているらしき方々のホームページを参考に、共通点を探ってみると、 >-種子への電子チャージ >-土壌への炭素の埋設及び混入 >-土壌への空気の送入 >-電子水の葉面への散布 というのが基本であるようです。(一部のみを実践されている方もいらっしゃるようです。) **検証1-地下に炭素(炭)を埋め込む効果とは? [[時空船ガイアのホームページ>http://mira.internet.ne.jp/jikusen/index.html]]から、電子農法というのは、下記に示す植物波農法の一般的な呼称であると推察されます。 >植物波農法では、植物を始めとするあらゆる生物の生育環境の改善のために、自然界の電場の作用を利用するという画期的な方法が明らかにされている。 >その一つは大地に炭素を埋設し大地電位の調整を図るという方法である。 >炭素の埋設による大地電位の調整は、その土地にある生物・無生物に限らずあらゆる物質の原子、分子の静電気的・静磁気的な結合を安定化させる。 >炭素埋設は農業・畜産・水産での安定的な増収や工業面における品質の向上を図る技術として応用できる。 >さらには公害防止、環境改善などエコロジー分野への利用も可能である。 まず、「自然界の電場の作用」と記述されています。 『電場』というのは、「電気の流れる場」のことでありますから、一見、植物に電気を流して生育に何らかの効果を与えることではないか、と推察します。 しかし、次に「大地電位の調整」と記述されています。 『大地電位』とは、大地の持つ「電気的エネルギー」のことですが、他から高電圧をかけでもしない限り安定しています(落雷並みの電気的エネルギーをかけても、電気が流れることで一時的に電位が上昇しますが、電気が流れ終われば、電位はまた元に戻る)から、電気的エネルギーを新たに加えない炭素を「埋設」しても、電位は調整されないと考えるのが自然だと思います。 さらに、「あらゆる物質の原子、分子の静電気的・静磁気的な結合を安定化」したのでは、肥料成分の分解、植物への移行吸収が阻害されて、作物の生育が遅れるのではないかと懸念してしまいます。 とはいえ、土壌に炭素(炭)を埋設することが有害かというと、そうではありません。炭はアルカリ資材ですから、土壌の酸度矯正の役割がありますし、孔隙が多く、土中でゆっくり分解することから、土壌の物理性改善の効果も期待できます。 **検証2-電子水とは? 電子水がどうやって作られるのかについては、わかりやすい一次資料がなかなか見つからなかったので、 [[エレクトロンチャージャー研究所のホームページ>http://www.eclab.co.jp/]]と、[[時空船ガイアのホームページ>http://mira.internet.ne.jp/jikusen/index.html]]を参考にしました。 エレクトロンチャージャー研究所によると、電子水は、 >水道水を絶縁されたタンクやボトルに入れ、チャージします。 >チャージとは?交流の高電圧を与えることです。 >交流の高電圧とは?+プラスと-マイナスを交互に与えるということです。 >エレクトロンチャージャー研究所の製品では、1秒間に50回から60回+プラスと-マイナスを繰り返し水道水に与えます。 >するとそのたびに水分子自体が振動、回転させられます。 とのことです。 水分子が極性を持つのは確かですが、水そのものは全体として電気的に中性ですし、純粋な水は電気を通しませんから、仮に高電圧をかけたところで、水自体が何らかの変化をすることはありません。 (温度上昇はありえますが、それは水の性質の変化ではありません。温度の高い水が何らかの効果があるというのであれば、高電圧をかけなくても温度を高める方法はあります) また、電子水の特徴として、 >-弱アルカリ性(pH7.4前後、人間の体液と同じ)で体に優しい水 >-クラスターの小さい水 >-エネルギーの高い水 >-のどごしが良く、たくさん飲めて美味しい水 等の説明がうたわれていますが、人間の体液は弱酸性だし、(石鹸がぬるぬるするのは、アルカリ性の石鹸で弱酸性の体が溶かされているから)、水のクラスターは誤解の産物で、そもそもクラスターの大きさは測定されていないし(よく、17O-NMR測定結果をもってクラスターが小さいと説明しているが、17O -NMRは水のクラスターサイズを測定する方法ではないので、クラスターが小さいと論じることは出来ない)、エネルギーの高い水って、要するに温度の高い水だったりするしと、まともな説明でないものがほとんどです。 (美味しいかどうかは、含まれるミネラルの含量と個人の味覚によるので、コメントしかねます) そのほか、電子水を使った比較試験の写真が何点か載っていますが、試験の条件が全くわからない(きちんとブランクテストを行ったのか)うえ、上記の効能説明は当てにならないので、効果については疑問です。 電子水の効果として、信頼できなくもない記述は、 >筑波大学応用生物化学系の向高祐邦助教授らは、高圧電流をかけて処理した水(電子水)に加水分解酵素の作用を高める効果のあることを確認した。 >電子水中に、酵素とその酵素に反応する物質(基質)とを入れ、分解反応で確かめた。電子水だけで基質から目的の生成物を早く作り出せるため、食品や化学品製造の省力化手法として注目されそうだ。(1992年(平成4年)12月7日付けの日刊工業新聞) というものですが、仮にこの作用が正しいとしても、加水分解酵素の作用を高めることと、電子水の効能としてうたわれている、作物の生育促進、制菌効果、還元作用などとは、直接の因果関係がないものであり、説明としては不十分です。 従って、農業においては、単に水を散布する、あるいは水につけるだけの効果との比較がなされない以上、「効果がある」とは言い難いと考えられます。 **検証3-その他及びまとめ 「土壌への空気の注入」については、耕盤破砕などのために、土壌中に圧縮空気を送り込む手法が取られることがあるなど、土壌の物理性改善には一定の効果が認められています。 「種子への電子チャージ」については、種子に高圧電流を流すというものであることから、種子内の組成に何らかの変化が起きる可能性があり、それによって生育促進が期待できたり、あるいは種子内の病原菌や害虫が死滅するなどの効果が期待できるのかもしれません。もしそのような効果を期待するのであれば、きちんとした比較試験を行って、データを示せばよいと思います。 まとめると、電子農法の各種手法は、土壌の物理性、化学性改善に一定の効果があるものの、電気処理による効果説明を行おうとするがために、結果的に矛盾のある説明に陥っているという印象を受けます。 (でも、電気処理をしないと電子農法とは言えないから、そこで自己否定するわけにはいかないのでしょう)

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