ムクダイ

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注意:このページの内容は、2005年8月9日時点の情報に基づいて記載しています。現時点ではリンク切れ、リンク先の内容の更新等が発生している場合があります。随時確認のうえ更新しますので、ご了承願います。 *ムクダイ **ムクダイとは、どんな資材ですか? 「ムクダイ」なる資材があることを知ったのは、[[農薬掲示板>http://www.nogyo.co.jp/bbs/]]で一時トンデモな農業資材として紹介され、擁護派との間で議論になったことからです。 キーワード『ムクダイ』でググってみたところ、「株式会社自然科学研究所(社長:椋代譲示)」、「株式会社アコーズ」という2社が、製造及び販売に関わっているらしいことがわかりました。 また、両社は共通して、「NPO法人地球の土を救う会(理事長:椋代譲示)」という団体に加盟しているようです。 [[自然科学研究所のホームページらしきもの>http://www.shizenkagaku.jp/hyousipe-ji.htm]]によれば、 >ムクダイの中の珪素は直接植物に吸収されやすい形であり、又アミノ酸と結合させることにより微量要素を吸収しやすくしたものです。 とあるので、どうやら珪素とアミノ酸が含まれるらしいことがわかります。 また、[[株式会社アコーズのホームページ>http://www.acos.co.jp/kankyojigyo.html]]には、 >ムクダイ活性ケイ素(特許:1285932)が土を活性化! という記述がありました。 特許庁の[[特許電子図書館ホームページ>http://www.ipdl.ncipi.go.jp/homepg.ipdl]]で『特許登録番号1285932』を検索してみたところ、 >-塩化ケイ素を特殊な方法で処理して、窒素化珪素塩化物『Cl<sub>6</sub>Si<sub>3</sub>(NH2)・H』なる物質 を生成する方法 >-上記窒素化珪素塩化物と生魚体(筆者注:生きている魚体ではなく、なまの魚という意味らしい)を混ぜ、発酵させた土壌改良兼植物育成剤 についての特許でありました。 ムクダイは上記の製造方法によってつくられた「動物性肥料(魚由来)」であることが伺えます。 特許出願が1978年で、既に20年以上経過していることから、有効期限は原則として過ぎていますので、特許技術は誰でも使えるようです。**検証1-珪素は植物に吸収されにくい? 株式会社自然科学研究所のホームページから、珪素に関する記述を抜粋すると、 >地球上に最も多く含まれている物質が珪素なのです。 >身近にけいそが含まれているものは、表土、セラミック、陶磁器ガラス、半導体などです。 >植物では、成長期に珪素を吸収することによって、病虫害に対して強くなる事も分かっています。 とあり、これらについては、必ずしも間違った記述ではない(用語の使い方は置いといて)と思います。 しかし、 >珪素は地球上に多く含まれていますが、そのほとんどは非常に安定した状態で存在しています。 >この珪素自体は植物に直接吸収されずに、珪酸バクテリアによって分解されて始めて植物に吸収される形になっています。 との記述がありますが、「珪酸バクテリア」なるものが存在してもしなくても、例えば珪酸カルシウムなどの珪酸塩は水に溶けやすく、珪酸イオンHSiO3は根から普通に吸収されます。 「非常に安定した状態」とは、おそらく二酸化珪素(水晶)や珪酸塩鉱物を指して言っているものと思いますし、それらは植物に吸収されにくいでしょうが、もともと「地球に最も多く含まれる元素」ですから、植物の成長には影響がありません(安定した状態の珪素がなければ、地球の構造を支えられず、地上がドロドロ状態になりそうな気がしますが)。 **検証2-ムクダイは連作障害をなくす? 株式会社アコーズのホームページでうたわれている効果について検証してみます。 >ムクダイは本来の地力を回復し、痛めた土を生き返られます。またムクダイは土壌を浄化し、活性を強めて土中の微生物のバランスを保ちます。 >農薬や化成肥料で汚染された地力が低下している田畑を、自然から与えられたままの土壌にかえし、病虫害の発生が少ない健康な土壌といたします。 ムクダイは魚由来の動物性肥料ですから、「地力回復」については有機物補給によって土壌微生物が増える現象ととらえることができるのかもしれません。 しかし、「農薬で汚染」と言いますが、いまどきの農作物用の農薬は大半が易分解性ですから、土壌中で速やかに失活・分解しますので、何かの資材によらなくとも影響はないと考えられます。(非農耕用の除草剤は長期間残留しますので、この成分を失活・分解できるとしたら、違う意味ですごいことですが) また、「化学肥料で汚染された田畑」とは、肥料のやりすぎでEC(塩基飽和度)が著しく上昇したか、肥料の硫酸根等が集積して酸性になった状態を通常想像しますので、「自然から与えられたままの土壌」にかえすというからには、何か肥料成分を吸着して圃場外に排出するものであろうと理解されます。 しかし、慣行農法の畑の説明について、 >農薬や化学肥料を畑に入れると、化学成分が水によって酸素や土の中の鉄や硫酸などと鎖状に結合します。 >これによって、土の物理的作用等の機能が低下していき、連作障害を引き起こすと言われています。 >また、土の物理的機能が低下すると土壌生物が住めない状態になっていきます。 と説明しています。 まず、「化学成分が水によって酸素や鉄や硫酸などと鎖状に結合」とありますが、「化学成分」が何の成分についてのことなのか定義されておりません。 また、糖類のように炭素原子を共有した鎖状分子や、酸素原子を共有したケイ素の鎖上構造を見たことはありますが、H2Oの媒介により鎖状構造をとる分子モデルの報告は聞いたことがありませんし、物理的特性が著しく低下するほど強い結合をつくれるのか疑問です。 むしろ、「酸素」「鉄」というキーワードから、珪酸の鎖状結合モデルを誤用しているのではないかとさえ感じてしまいます。 (ちなみに、土の中の鉄のうち、遊離酸化鉄(Fe2+、Fe3+)は有害な硫化水素(水田で発生しやすい)と結合して沈殿させる効果があり、珪酸と並んで地力増進効果があるとされています。 また、硫酸は極めて水に溶けやすく、土壌水の中で硫酸イオン(SO42-)として存在するのが一般的です。) なお、物理特性の低下は、土壌微生物が少なくなったり、大型機械によって土壌が転圧されることで、土壌中の粒子が単粒化し、気相の割合が少なくなることと、一般的には理解されていると思います。 土壌が単粒化して物理特性が悪化すれば、根の成長が悪くなりますので、土壌病害による被害を受けやすくなることはあると思います。 しかし、連作障害は同種の作物を連作することにより、何らかの 障害を受けることですから、土壌の物理性悪化だけをもって、直ちに連作障害とは結びつきません。 というわけなので、資材の説明である、ムクダイUを散布すると、残留塩基や残留化学物質の鎖を破壊します。 などと書かれても検証の仕様がないのですが、百歩(一万歩くらい?)譲って、化学物質が鎖上構造をとり、ムクダイがその鎖上構造を分解することが出来たとして、化学物質(成分)が土壌外に排出されない限り、残留の問題は解決しないと考えられますが、排出の仕組みについては触れられていません。 従って、「土壌の浄化」「自然の土に還す」という効果の説明としては不十分と考えられます。 ケイ素と有機物の効果を期待するのであれば、珪酸資材と堆肥を施用した方が安価ではないでしょうか? 蛇足:「NPO法人地球の土を救う会」は、有機栽培認証団体として登録されていますが、ムクダイは有機JAS認証を受けていないので、ムクダイを使ったら有機栽培とは認められませんよ、という罠。

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