無肥料栽培


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注意:このページの内容は、2007年8月23日時点の情報に基づいて記載しています。現時点ではリンク切れ、リンク先の内容の更新等が発生している場合があります。随時確認のうえ更新しますので、ご了承願います。

無肥料栽培

「無肥料栽培」のサイトについて

ハンドルネーム「CHII」さんから「ぜひ検証してほしい」との事で、有機農業の先の世界・無肥料栽培というサイトをご紹介いただきました。
ひととおり確認…しようと思いましたが、ボリュームが膨大で、しかも説明内容に一貫性がないため、どこから手をつけてよいのか、正直言って途方に暮れました(笑)。そのため、検証作業に大分時間がかかりました(言い訳)。
さて、無肥料栽培と一口に言っても、人により定義は様々ですが、このサイトにおける「無肥料栽培」とは、トップページに、
無肥料栽培とは、化学肥料・農薬はもちろんのこと、有機肥料(堆肥、油粕、魚粕を含む)を一切使用せず、土壌と作物そのものがもつ本来の偉力を発揮させることで作物を栽培する農法のことです。これからの農業がゆく、道しるべがあります。
と説明されています。
しかし、「肥料を使わない」と宣言してはいますが、具体的な無肥料栽培の技術、つまり、「何を使うのか」「どのような管理を行うのか」といったことについてはほとんど示されていません。
このことについては、トップページの最後に、次のように説明されています。
 この栽培について、特に栽培技術などの、実用的で具体的な方法の紹介は少ないわけですが、それは基本的な農業の栽培管理技術については、一般栽培を大いに尊重し、参考にして進めているものだからです。
 また、各々の土壌と、その土地の気候風土等、条件が多様になることにおいて、一律して断定できる栽培方法というものは示すことはできないのはもちろんのこと、例え良い事例があるにしても、それがすぐさま、どのような所でも実現可能であることはないのはもちろんです。これは、あくまでも農業として、栽培者自身の管理技量と観察力に大きくゆだねられる部分でもあります。
 そして、このサイトでは、無肥料栽培を紹介するなかで、その原理や自然の仕組み、そして私たち人間と自然の関わりを探求して得られた事柄の一端を紹介するものです。
 そして、その一連のことをご理解いただくなかで、ご自身の土壌において応用できるヒントが得られることを希望するわけです。その基本は、無肥料無農薬であり、土と作物の持つ、限りない力を最大限に発揮させることにあります。そして、そのときに現れる事象は全く新しい時代への、新しい自然観と私たち人間の新しい健康感の転換への気づきを感じていただければ幸いです。
上記の内容は、一見ごく当たり前の事を述べているように見えますが、言い換えれば「このサイトを参考に無肥料栽培に取組もうと考えても、成功できるかどうかはまったく未知数」であるということになります。
しかも、「無肥料栽培の原理や仕組み」について、別ページで紹介されている内容は、あまりにも我々が普段接する科学とはかけ離れたものが多々あります。
正面から批判するのは馬鹿馬鹿しい気もするのですが、せっかくですからネタとして楽しむこととして、いくつかピックアップして検討します。

検証1:「無肥料栽培の原理」=「自然力エックス」?

無肥料栽培の原理では、基本:自然力エックスのパラグラフにおいて、
 地球をひとつの生命体としてとらえたときに、その体を構成する細胞たち(地上のあらゆる生命体)が生きるために、地球は血液(生命エネルギー)を地上に向けて常に送り続けています。「地球が送る血液=無限の肥料」としたときに、そのエネルギー体を「自然力エックス」としますが、(以下略)
として、「自然力エックス」なる未知のモノがあり、無限に供給される条件を整えることで無肥料でも育つという仮説を提唱されています。この「自然力エックス」とは、後段の説明をまとめると、次のようになります。
  • 植物は太陽(火)、月(水)、地球(土)の3つの要素によって成育されている。
  • 光と熱は目や肌で感じ、水と土は物質として目で見え、触れて感じられるが、火、水、土のもつ根源的力は非物質である。
  • 火、水、土の非物質的エネルギーが抱合一体となって生まれたものがエックスであり、物質的な要素よりも主体的に作用している。
ところで、この「自然力エックス」なるモノについて、サイト管理者は「エネルギーの説明は難しく、科学で計りようがない」「このエネルギーの認識が科学界で高まってくるにつれて、研究が進み、それにかなった十分な計測器が生まれてくるかもしれません。」と述べられていますが、現在の科学では、「自然力エックス」の存在を仮定しなくても、植物の生育に関する説明を矛盾なく行うことが出来ます。
従って、「ないものをあるといっているのではなく、実際に存在していると推測できる」とサイト管理者が主張するのであれば、主張している本人が測定して説明しない限りは、専門家が議論の俎上に載せることはおそらくないでしょう。
(ちなみに、仮定した物質の存在や仮説の実証を、提唱者が第三者に押し付けるのは、ニセ科学の常套手段です)

なお、サイト管理者は自然が教えてくれることというパラグラフにおいて、
「自然界では窒素固定菌の働きや植物残渣からの供給によって、人為的な施肥がなくても植物は育つ」旨の説明をしています。
もちろん、この内容は現在の科学と矛盾する説明ではありませんが、だからといって「自然力エックス」の存在を説明するのに役立つ内容でもありません。

検証2:物質化エネルギーの存在=元素転換?

続いて、最小養分律から最小環境律へというパラグラフにおいては、「自然力エックス」とは別に、「元素転換」なる説が提唱されています。
 無肥料栽培の場合、不足成分を人為的に補うことはありません。植物は必要不可欠な成分をどのように得ているのでしょうか。その答えとなる説のひとつに「元素転換」があります。
 その説は一般の化学では異端視されていますが、量子力学の見地からすると、その正当性が成り立ってくるそうです。それは、この説なくして現在の地球上にある全ての元素の生成の原理が説明できないからです。元素転換は常温核融合と同じく、極わずかなエネルギーでも起こり得るといわれています。
 そして、このエネルギーのもとになっているものが、植物と人間が共通してもつ微弱な生体電流だとも言われ、特に人が放つ生体電流は作物の生長に大きく影響を与えています。簡単に言えば、農家の体や心の状態までもが作物に影響するというわけです。つまり農家が愛情をもって作物に接し世話をすることが尊く、その心の声(こえ)が見えない肥(こえ)になっているのかもしれません。
 古来から日本や中国で受け継がれてきた旧暦を応用した農業も、欧州を中心としたバイオダイナミック農法でみられる太陽と月と地球の関係と12星座が織り成す地球上の生命・植物に対する諸力があるという考え方も、宇宙規模の生体電流(月の場合は引力)の影響だと解釈すれば説明ができましょう。このようなエネルギーは、すぐさま全ての農地で作用するとはいえないでしょうが、条件さえ整えば、無尽蔵に供給されるようです。
元素転換と言うからには、化合物の分解合成とは大きく異なり、元素そのものが「変化」すると言うことに他ならないわけですが、量子力学は科学の範疇にありますから、上記の文脈は明らかにおかしいです。
もちろん、量子力学の観点からも常温核融合の正当性が証明されたという報告はありません。
さらに、「植物と人間が持つ生体電流」と言われても、物理的な電流であれば「感情」が影響を与える余地はありません(逆に感情が電流に影響を与えるとすれば、電気関係の実験で信頼の置けるデータを入手することはほぼ不可能)。
ましてや「宇宙規模の生体電流」とは、具体的に定義されていない以上、何のことを言っているか謎です。

検証3:水が「生産者の気持ち」を記憶する?

これからの農業はというページでは、「園芸新聞」(出自不明)からの引用記事を紹介されているとの事です。
しかし、この引用記事ははっきり言って、まともな科学を扱っているとは到底思えません。
のっけから「水は記憶する」と題して、
 まず農家に自覚していただきたいことは、「今の世の中を変えるのは農業である」ということです。
 本来の農業は、それだけの力を持っています。まずは「嬉しい、楽しい、有難い」という生き方になっていただきたい。これは全然難しいことではありません。あることに気づくだけでよいのです。
 農業の生産物のほとんどが水でできていることを思い出してください。例えば、きゅうりでは98%、トマトは95%、葉菜類に至っては99%ば水分といわれています。ですから、ある先生は「農業は水商売である」と表現されたくらいです。
 ここで大事なのは、「水は記憶する」ということです(テレビ等で紹介されたことを覚えている方も多いと思います)。
 ですから、この生き方をしている農家さんの生産物を食すると、人の体も60~70%が水分で構成されているので、口に入れた瞬間に同調し、食べた人も「嬉しい、楽しい、有難い」生き方になっていくのです。まさに人の心にまで働きかけてくるということです。
 そして、身体によい作り方でできた作物は、人の身体を健康にして、上薬たる食べ物を証明します。これからは人によいもの、地球によいもの、どうしても必要なもの以外は淘汰されていく時代です。食べ物は人の心に働くものですから、生産者の方たちの心のレベルの高さも要求されます。
と説明されています。
農家に限らず、感謝する生き方を否定するものではありませんが、人の心に働きかける食べ物が仮にあるとして、それは生産者の努力が認められ、かつ美味しいものであるからに他ならないと思います。
決して、水に気持ちが記憶されているわけでも、水から働きかけられているわけではありません。というか私としては、<strong>「水が働きかけます」と説明されると、返って食べ物が正しく評価されていない</strong>みたいで、嬉しくもなんともないのですが。
ちなみに、「水が記憶する」という事への真面目な反論としては、水はなんにも知らないよ(左巻建男著)あたりが丁寧に説明されているので、ここでの説明は省きます。

まとめ

このサイトの管理者は、有機農業への取組みから無肥料栽培に移行したとされており、「安全な農産物って何?」というセクションにおいて、有機農産物における問題(硝酸対窒素、堆肥の質等)について述べられています。
有機農産物=安全とは限らないというのは確かにそのとおりであり、量や質によってはかえって害となる場合もあります。また、連作と化学肥料の多投によって土壌微生物層が単純化し、いわゆる連作障害を招くこともよく知られています。
また、このサイトの管理者は大学で農学の勉強をしたとのことで、一見矛盾のない説明も多く、根粒菌や窒素固定菌の存在にも言及していますから、無肥料栽培では元素転換によって「のみ」植物が生育していると主張しているわけでもないようです。
だからこそ、「自然力エックス」「元素転換」「水の記憶」といったキーワードにはまってしまっているのが、余計におかしく感じられてしまいます。
ちなみに私自身は、冒頭に紹介した定義を満たす「無肥料栽培」が不可能であるとは考えていませんし、無肥料栽培をうたう農産物の「品質としての」良し悪しについて意見は申し上げません。しかし、無肥料栽培の植物の生育について、仮説とはいえ余りにトンデモな説明のオンパレードが展開されては、栽培方法そのものへの理解を得ることは極めて難しいと思います。
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