BMW

注意:このページの内容は、2005年11月9日時点の情報に基づいて記載しています。現時点ではリンク切れ、リンク先の内容の更新等が発生している場合があります。随時確認のうえ更新しますので、ご了承願います。

BMW

BMWとは、何ですか?

BMWといっても、ここではドイツの有名な自動車メーカーのことではありません。
BMW技術を研究、活用、普及しているというBM技術協会のページによると、BMWは
  • B=バクテリアの働きで
  • M=ミネラルバランスに優れた 生き物にいい
  • W=水を作ります
の略で、
自然界は、動物の死骸や枯れ葉をバクテリア(微生物)が餌として分解し、水と土につくります。この自然浄化作用により「生態系の循環」が保たれていますが、中心にいるのが、微生物(バクテリア)です。BMW技術は自然の自浄作用をモデルにバランスよく微生物を活性化し、生き物にとって「よい水」「よい土」をつくりだす技術です。
と定義されています。
有機物の分解に微生物の働きが必要、という点には一応同意しておきます。
(微生物によって、有機物が水や土に変わるわけではない(より低分子のものに分解されて、水溶液や土壌溶液中での働きは変化するが)という基本的な突っ込みはしておきますが)
そして、このBMW技術のキーワードは、「生物活性水」なるものを使用することにあるようです。

検証1-「生物活性水」とは何か?

生物活性水については、BM技術協会のQ&Aのページ
詳しい解説が掲載されています。
正式名称は「生物活性水BMそら」です。作り方については、
作り方は、健康に育った家畜の糞尿を完熟発酵させて、森の腐葉土のようなコンポスト(堆肥)をつくります。このコンポストを水に溶かしだし、花崗岩や軽石などの自然石(岩石)と、腐植土(状態が安定した最良の腐葉土)を入れ、そこに空気を送りこんで酸素を与えながら、微生物による精製を行っていきます。ボトリング前にろ過を行い、最終段階では、臭いも全くない褐色の生物活性水になります。
と紹介されています。ちなみに、有効成分等は一切示されていません。
まず、説明を言葉どおりに受け取ると、水に堆肥と岩石と腐葉土を混ぜ、酸素を送り込んで、最終的に上澄み液を収集したものが「生物活性水」であるということになります。
「酸素を送り込む」ということは、好気性微生物の繁殖を促すという意味でしょうから、主に完熟堆肥と腐葉土中の有機体窒素を無機化することになると考えられます。
ろ過済みの生物活性水が褐色、ということですが、微生物は含まれているのですか?という疑問に対しては、
微生物は含まれていません。製造過程において微生物による精製を行っていますが、最終段階でろ過を行い、微生物が残らないよう作られています。
との回答ですから、メンブレンフィルター(非加熱のビールやミネラルウォーターの微生物(雑菌)を取り除くのに使用)でろ過しているのだろうという想像を一応しておきます。
というわけで、この「生物活性水」に含まれるものは、水に溶ける金属イオン(ミネラル)と、水溶性の肥料成分その他微量要素であろうと推定されます。
ところが、
肥料ではありません。 BMそらが植物の健康な生育に効果があるのは、植物本来の力を引き出し、土壌を含む環境を整える役割によるものです。
と言っているところをみると、肥料としての公定規格を満たす成分は入っていない可能性が高いです。
(逆に、それなりの成分が入っているのであれば、きちんと表示してもらわないと施肥量に影響を受けます。)
また、効果については下記の記述があります。
生物活性水BMそらは、腐植を進める微生物を活性化させて、腐敗を抑える働きをします。動植物を支えている微生物の環境を整えます。>このため、動植物本来の力を引き出し、いやな臭いを抑え、健やかな生育に役立ちます。消臭、生物の生育促進に効果がありますが、自然が作り出したもので、効果はやさしく現れます。
また、環境によって、一様の効果が現れないこともあります。それぞれの生きものの性質や環境に合わせて適切な栽培や飼育を行うことが大切です。ご家庭の環境に合わせ、工夫してお楽しみください。
「腐敗」とは、微生物の働きによって有機物が分解することで、主に食品が食用に出来なくなる状態を指します。
腐敗を止めるためには、微生物の活性を抑える必要があるわけで、食品衛生の世界では殺菌・滅菌に力を入れるとともに、菌数の少ない状態を維持する努力をしているのです。
微生物を活性化させたのでは、腐敗を促進することになり、上記の表現に矛盾が生じます。
また、「環境によって、一様の効果が現れない」「性質や環境に合わせて適切な栽培や飼育を行うことが大切」ということは、確実な効果は何もないと自ら公言していることになります。
(何らかの効果が、資材によるものなのか、適切な栽培や飼育によるものなのか確かめることが出来ない)

検証2-BMW技術の具体的使用例

BM技術協会のBMW技術の具体的使用例のページに、具体的な使用例とその効果についての紹介が掲載されています。
(2005年11月8日現在では、畜産についての紹介のみです)
その紹介によると、大きな枠組みは
  • BMW技術飲水改善施設の導入
  • 生物活性水の原液を畜舎に噴霧
  • 畜舎の清掃に生物活性水の原液を使用
  • 糞を堆肥化する時に生物活性水を噴霧
  • ☆BMW技術飲水改善施設:家畜の飲み水用のタンクにバイオリアクター塔を組み込み、各種の自然石を設置して曝気して精製します。
となっているようです。(鶏・乳牛・豚の紹介がありますが、畜種が変わっているだけで、他は大半がコピペです。なお、豚の紹介においては、コピペの失敗により、「乳牛」の単語が残っています)
「飲水改善施設」は、河川や地下水等の原水を使用することになっているようですが、もとから上水道を使っている農家においては、施設使用の意味がなさそうです。
また、「生物活性水を清掃のために使用」したのでは、上記に示すように微生物の増加を促しますので、かえって不衛生ではないかと考えられます。
(そもそも、鶏・牛の場合は、湿気が衛生上の最大の問題なので、畜舎は基本的に乾燥状態に置くため、清掃時に水は使わないのが常識)この後、畜種毎にいろいろな効果があると具体的に列挙されていますが、上記に示したように、「環境によって一様な効果が出ない」と公言してしまっているので、健康食品の体験談と同程度の信頼性しかないと考えられます。

まとめ

気合を入れて評価しようと取り組んでみましたが、あまりのデータの少なさと、矛盾する内容に途中で半ば脱力してしまいました。
使用する上で特に害になることはない(単なる水を使っているのと大差ないレベル)とは思いますが、何かの効果を期待して使うほどのものか、と言われると、はっきり言って大いに疑問です。
ただし、少なくとも「人間が飲用、食用にするのはお止めください」という注意書きだけは守ってほしいものです。
最終更新:2010年12月07日 15:15
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