「第1、はじめに」

GMイネNG裁判を読む。

「遺伝子組換え稲の作付け禁止等仮処分申立書」(以下「申立書」)を読む。

申立書 「第1、はじめに」

私は、申立書というものは「裁判官及び被告に、争点を説明するための書面」だと理解しています。
本文全文を引用すると長くなるので要約しますが、「第1、はじめに」の本文中では、
  • 「ディフェンシン」というたんぱく質をめぐる実験の危険性・問題点
  • GMイネ野外実験の必要性、危険防止手段の正当性、室内実験から屋外実験へ移行する必然性がない
  • 市民が実験から何の利益も恩恵も受けない
  • 安全に安心して食することができる人格権をはじめとする、諸々の権利が剥奪或いは脅威にさらされる
といった項目が読み取れます。
またそれ以外にも、具体的な争点が別の章で列挙されています。
一方で、
(前略)後述する通り、予見不可能性と回復不可能性というGM汚染が持っている未だかつてない未曾有の危険性に思いを致せば、本GMイネ野外実験により侵害の危険性が及ぶ市民の範囲は明らかに債権者にととまらず、全国規模にまで及ぶ筈である。
 その意味で、本GMイネ野外実験の本質とは、一部の研究者の学問研究の自由と全国民的なパブリックな権利とが鋭く対立・衝突する場面にほかならない。
 したがって、本件裁判は、原子力事故と並んで21世紀の最も深刻な人災に名乗り出たバイオハザード(生物災害)の未来を占うことになるであろう、全国民が注目せずにはおれない極めて重要な裁判である。
といった記述があります。
債権者の利害が「全国民的なパブリックな権利」を代理しているかどうかはともかく、債権者は自分の権利にとどまらず、「GM技術は危険である。危険が広がるおそれがあるので、実験をやめさせなければならない」という想いがあるようです。
また、債権者が申立書の中で「裁判の位置づけ」について述べるというスタイルは時々見受けられます。
「第三者(たいていはマスコミ)」に解説する、どちらかというとプレスリリース的な効果を期待している部分もあるのではないかと考えられますが、裁判の過程と判決の内容は、後々判例として参考にされますので、成り行きについては注目に値するのはそのとおりだと思います。
※裁判官が、その記述をどう評価するのかはわかりませんが。

最終更新:2010年12月09日 17:59
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