「第4、GM技術の問題点」


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申立書 「第4、GM技術の問題点」

債権者は、GM技術には下記に示すような固有の危険性・問題点があり、これもまた本件の争点である旨を主張しています。(改行は管理人挿入)
 遺伝子はそのほとんどが発現(遺伝子コードが転写・翻訳されてタンパク質となること)したあと、ゲノム中の他の遺伝子産物(タンパク質のこと。遺伝子暗号は翻訳されてタンパク質を生み出す。)と相互作用することによって、その機能を発揮するから、局所的な遺伝子の組み換えによって引き起こされるすべての相互作用をあらかじめ予見することはほとんど不可能だからである。
 そして、たとえ組み換え遺伝子自体に明白な害作用が予想されなくとも、その遺伝子産物と他の遺伝子産物との相互作用が新たな問題をもたらすことは十分にあり得る。
 また、ゲノムは本来、全体としてひとつの動的な平衡状態をとって個体(イネの場合であれば、イネ一株のこと。イネはイネ固有のゲノム一セットをもつ)をつかさどる。その一部が組み換えられることによって、平衡状態が局所的に破られると、系はその不均衡を回復しようとする。このとき個体に対して生じる害作用をあらかじめ予想することは殆ど不可能である。
一言で言えば、「何が起きるかわからないから危ない」ということで、何世代も繰り返して実験を行い、何が起きるか全てわかった段階でなければ、野外実験を行うべきではないという、いわゆる「予防原則」の考え方に立脚していると考えられるのが、債権者の主張の内容です。
また、GMイネにおいて予見される問題点として、下記のとおり耐性菌・耐性生物の出現の可能性を挙げています。(改行は管理人挿入)
 近時、話題になっている抗生物質の多用により、強力な抗生物質耐性菌・多剤耐性菌が生じる事例は、直接GM事故と呼ぶことはできないが、GM技術はこれとほぼ同様の問題を引き起こす可能性がある。
 なぜなら、現在のGM技術で多用されるマーカーや付与形質のほとんどは、農薬耐性、対寄生虫毒性、疾患耐性などであり、これらが目的とする農作物にとどまっている間は、一定の効果を見込めるが、しかし、これがいったん拡散すれば、新たな耐性生物の出現をもたらすからである。
ここでいう「耐性生物」とは、GM技術によって付与された形質(この場合は「ディフェンシン」というタンパク質を産生することにより、病原菌を殺す作用)に対し、耐性を持った生物(この場合は「ディフェンシン」によって殺されない病原菌)のことです。
野外で実験を行う→他の作物と交雑(あるいは同一圃場で連年作付け)して、GM遺伝子が拡散→耐性生物ができるという論理でもって、耐性生物が広がるおそれがあるので、野外実験を行うべきではないと結論付けています。

私の見解

何かの物質について、リスク評価の結果、明らかにベネフィットよりもリスクの高いものについては、当然使用を避けるべきだと考えます。
また、リスク評価が全くできず、効果が不明なものについても、同じく避けるべきだと思います。
その限りにおいては、予防原則という考え方を否定するものではありません。
しかし、上記のGM作物栽培実験については、起こりうるリスク(タンパク質の毒性、世代間遷移)はある程度特定されており、評価の手法は決まっています。
また、それ以外の未知のリスク(例えば耐性生物)については、起こり得る可能性を否定できませんが、そもそも未知のリスクというものは、Non-GM作物でも同様に起こり得るものであり、リスクが確実に発現する、あるいは発現する可能性が高いという証拠がないと、まず採用されないのではないかと考えられます。
(これは裁判の場に限らず、科学論争の場においても同様です。作業仮説を主張する場合は、主張する側に立証する責任があるからです)
一番の問題点は、交雑によりGMが拡散するおそれのない条件を整備すれば、そもそも未知のリスクが拡散する懸念はないという主張をされた場合には、対抗するのが難しいのではないかと考えられることです。
よって、上記2点より、被保全権利として主張していた「耐性菌発現リスクの排除」について争うのは非常に厳しかったのではないかと考えられます。
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