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『神童と赤鬼』

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神童と赤鬼

あらすじ

人里離れた辺境の地、詰草村。
この村を見下ろす山には、人に害為す妖怪が棲んでいた。
妖怪を退治できるような若者たちは、危険で貧しい生活に耐えかねて、
その多くが町へと流れ、現在の村に活気と呼べるものはなかった。
そんな村を、一人の少年が守っていた。子供ながら大人顔負けの腕力を誇る神童・吉備である。
孤児の吉備にとって、妖怪退治は自分と村を繋ぐ、いわば命綱であった。
懸命な吉備の活躍によって妖怪の被害は小さくなり、吉備は文字通りの神童として大切にされた。

そんなある日、吉備は突然山の妖怪・呉葉に襲われ、初めて妖怪退治に失敗する。
村の人々が手の平を返されるのを恐れた吉備は、村を抜け出し、興味本位で妖怪が棲むとされる山へ向かった。
そこで偶然にも呉葉と再会し、呉葉から妖怪の正体を告げられ、和解する。

二人は、お互いに唯一の友人となった。
しかし、その帰り道で、吉備は過去の妖怪退治で恨みを買われた妖怪たちに襲われ、意識を失うほどの傷を負ってしまう。
吉備が自分の家で目が覚めたのは、実に三日も過ぎた後だった。
以来吉備は山へ行くのを止めた。

村人と妖怪の間で溝が深まりながら数年の月日が流れた。吉備は逞しい青年へと成長していた。
度重なる妖怪の被害で、吉備もまた、この数年で妖怪に対する恨みつらみを増やしていった。

ある日、いつものように吉備は村人から妖怪退治を依頼された。
今回は山の洞窟に棲む凶悪な赤鬼を退治して欲しいというもの。
村の外へ妖怪を退治しに向かうことは、この数年で多くなってきていた。
吉備は早速その洞窟へと向かったが、妖怪の罠にはまって、洞窟に閉じ込められてしまう。

そこで彼が見たものは、まさしく鬼の形相をした呉葉の姿だった。


登場人物

吉備
主人公。
子供でありながら、詰草村で唯一妖怪に対抗し得る力を持つとされ、
文字通りの“神童”として大切に育てられてきた。
しかし、吉備本人にその自覚はなく、特別扱いを嫌っている。
両親は、吉備が持つ怪力を恐れたため、吉備を山へ捨てて村から出て行った。
後に、吉備は境遇を不憫に思った村の老夫婦に拾われる。
妖怪退治に自分の存在意義を見出す一方で、妖怪の正体や村人の強い警戒心に疑問を抱いている。

呉葉
妖怪の娘。
大人びた容姿に反して、子供じみた行動をしてよく笑うが、
嘘や矛盾を素早く見抜くことができ、先入観に囚われない達観した考えを持っている。
赤い髪を生やしており、村人から“赤鬼”と呼ばれ、忌み嫌われている。
当初は山の妖怪を脅かす存在として吉備の命を狙ったが、
後に妖怪退治が吉備の本意ではなかったことがわかり、和解して無二の親友となる。
狭い世界で育った吉備に妖怪の正体を話して、村人と妖怪の掛橋となろうと吉備に訴えた。

その他設定

詰草村
物語の主な舞台となる地。
自然の恩恵を受ける小さな集落。山の妖怪に幾度となく襲われた経験から、村全体の警戒心が強い。
多くの若者が村を捨てて町へ行っているため、男手が不足しており、大人であっても吉備に敵う腕力の持ち主はいない。

妖怪
山に棲み、人を喰らうとされる存在。
妖怪退治をする吉備の存在は知れ渡っており、呉葉のように吉備を狙う妖怪が数多くいる。
妖怪の正体は、奇形や未成熟などを理由に山に捨てられた子が育ったもので、
「妖怪」という名称は詰草村の人間が一方的につけたもの。
同じ境遇の人間が集まっているため、連帯感が強く、自分を捨てた人間たちを憎んでいる。



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