949 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/01(土) 19:52:11 ID:pa71pdKq0 [4/6]
「さーて、年賀状年賀状っと…お、沙織に黒猫、あいつらも送ってくれたのか。へへ…嬉しいな。
 しかし『今年も色々とお手伝いさせて頂きますわ』とあるが…去年みたいな宅配テロは勘弁して欲しいぜ。
 黒猫も『愉しみにしているわ。二人が舞う円舞曲-ワルツ-を』ってなぁ…
 桐乃の無茶振りに、きりきり舞いする俺を見て楽しむつもりかよ?
 やれやれ、去年はドタバタしちまったが、今年こそは穏やかに―――」
「ちょっとぉ~ きょーすけぇ~?」
「―――!? き、桐乃? え? おま? 京介って?」
「ふっふーん。どうよこれぇ~ 可愛いでしょ~」
「これ? 振袖のことか? た、確かにこれは…って、どうしたんだお前。様子、変だぞ? 顔も赤いし…」
「うっはい! 可愛いかって聞ひてんの!」
「ちょ!? こ、こら! く、首を絞めるな! てかお前、呂律回って… この匂い、酒か? お前、酔ってんのか?」
「よってないし」
「酔っ払いは皆そう言うよね!? さてはお前、お屠蘇飲みすぎやがったな!?
 お、親父のヤツ、正月だからって気を緩めすぎだろ…! こんなになる前に止めろよな…!」
「お父さんとお母さん、さっき出かけたし」
「そういや午後から集まりがあるとか言ってたなァ…って、じゃあお前、残ってるの勝手に飲んだな!?」
「ちょっとだけだし」
「ちょっとでもダメだからね!? てかお前、酒弱いんだな…べろべろじゃねーかよ」
「うるはい! んなことどうでもいーでしょ! さっさと質問答えなさいよ!」
「質問…って振袖の? あ、ああ。可愛い可愛い、よく似合ってるぞ?」
「なにソレ!? ぜんっぜん心がこもってない! 真面目に答えなさいよ!」
「酔っ払いに真面目にとか言われた!? ちゃ、ちゃんと答えたじゃねーか!?」
「こんのぉ~… うりゃー!」
「のわっ!? お、おい!? いきなり抱きついてなんのつもり―――」
「あむっ」
「―――ッ!!!!!! おっ、おおおおおま!? みっ、みみみみ耳!? 耳!? 」
「あによぉ~ あんたあたしのこと食べたんだから、あたしだって食べてもいいでしょ~」
「ちょ!? ここでそれを言う!? てか、勘違いされるような言い方止めてよね!?」
「うるさいなぁ~あむあむ」
「おおおおおいぃ!? みみみみ耳、甘噛みすんな!? やばいって!」
「がおー 食べちゃうぞー」
「ひぃ!? 喰われる!?」
「あ…」
「? 桐乃? お、おい、大丈夫か…?」
「あ………うん………」
「そ、そうか…いきなりぐったりするから驚いちまったぜ
 ったく、飲んでるのに暴れるから、酔いが一気に回ったんじゃねーのか?」
「うっさい…」
「やれやれ…こいつの部屋に連れてってやりたいが、どうしたもんかな」
「…だっこ」
「…へ?」
「だから、だっこして連れてきなさいよ」
「だっ…まあ、それしかないか」
「お姫様だっこね」
「そこまで指定!?」
「あんた妹道なんだから、妹をだっこするなら当然でしょ」
「こ、今度はそのネタかよ…わかったわかった、桐乃姫の仰せのままに」
「ほら、さっさとする」
「やれやれ…酔っ払いは最強ってホントだな。よっと…」
「あ…」
「ととっ、動かないでくれよ? いくらお前が軽いったって、俺もそんなに力持ちってわけじゃないからな?」
「う、うん…」

951 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/01(土) 19:52:56 ID:pa71pdKq0 [5/6]
「―――取り合えずベッドに横に…と言いたいところだが、このままだと帯が崩れちまうな。
 横向きならなんとかなるか?」
「いい。もう脱いじゃうから」
「いいのか? お前一人じゃ着付けできないだろ?」
「いいの。どうせもう出かけるわけじゃないし、これ以上着てても意味ないから」
「ならなんで…まぁそれはともかく、着替えは大丈夫か? 一人でできるか?」
「別に脱ぐだけなら簡単だし。そもそもあんた、帯の解き方なんて知らないでしょ」
「そりゃ、そうだけどな…」
「なにあんた、妹の着替え見たいワケ? うわ、キモッ」
「んんんなこと言ってねぇよ!? ただ俺は、お前が心配だっただけで…!」
「っ!! キモキモっ! これだからシスコンは! 一人でできるから、さっさと出てってよっ」
「わーったよ。じゃ、水でも持ってくるわ」
「あっそ」

「―――はぁ… なにが『ならなんで』よ…あんたに見せるために決まってるのに、なのに全然…
 ………お酒の力でも借りないと、直接名前も呼べないヘタレにあれこれ言う資格もないか。
 あはは…ホント情けないな、あたし………」

「―――桐乃ー? 入るぞー?」
「…どうぞ」
「水、持ってきたから。軽く飲んどくか?」
「ん、そうする…」
「ほら…って、どうした? 何か… 目も赤いぞ?」
「っ! べ、別になんでも…!」
「…本当に大丈夫か? 苦しかったりするんじゃないだろうな?」
「ウザっ! 大丈夫だって言ってんでしょ!」
「ったく、お前ってやつは………」
「あ………手………?」
「あのな桐乃。本当に辛い時は、遠慮せず辛いって言ってくれよな?
 また無理してるんじゃないかって、心配になっちまうからよ」
「べ、別に無理してないし…考えすぎなんですケド。どんだけシスコンなんだっての」
「はは…まぁな、なんせ妹道なんて呼ばれちまうくらいだからな。妹が気になって仕方ないのさ」
「なっ… ば、ばかじゃん…」
「はは…」
「………」

952 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/01(土) 19:53:41 ID:pa71pdKq0 [6/6]
「………」
「………」
「そ、そうだ。さっきの質問だけどな?」
「さっきの…? 振袖のこと?」
「そうそう、お前の振袖姿なんだが…その、可愛いってよりその… きっ、綺麗だった…ぞ?」
「………え?」
「その…き、奇麗だなって思ったもんだから、可愛いかって聞かれても、上手いこと即答できなくてさ。
 はは、『京介』なんて名前で呼ばれたせいかな。な、なんだかどきどきしちまったよ」
「っ!!!! なっ、何言ってんのあんた…!!」
「ほ、ホント何言ってんだろうな俺。マジでシスコン拗らせすぎだな…妹道を否定できないわ」
「きっ、キモ…っ あ、あんたの方が酔ってんじゃないの…?」
「ははは… お前に――― …いや、お前の酔いが移っちまったのかもな」
「あーキモイキモイ、あんたってホントに変態のシスコンね」
「さすがに今日は否定できねぇな…『敢えて言わせてもらおう! シスコンであると!!』ってか?」
「ぷっ…ぷぷっ… が、元旦からなにやってんだか」
「はは…全くだ」
「………ねぇ」
「ん? どうした?」
「手、なんだけど…」
「お…ああすまん。当てたままだったな」
「そっ、そうじゃなくて…っ その、手…もうちょっとそのままでも…いい?」
「そのまま? 額に当てたままで?」
「う、うん…」
「ああ、べ、別に構わないぞ…?」
「あ、ありがと…」
「き、気にすんな…」
「ん…冷たくて、気持ちいい………」
「そ、そうか…」
「あの…さ…」
「ん?」
「その………去年は本当に、色々ありがとう… 今年もよろしく…ね…?」
「! あ、ああ…こっちこそ、よろしくな………」



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最終更新:2011年01月01日 20:13