23 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/06(木) 01:27:29 ID:yOcclqEN0 [1/2]

カチカチ…

そろそろ日付も変わろうかという深夜。俺は今、妹と並んで座り、エロゲーをしている。
いや、正確にはさせられているんだが…ここまではまぁ、これまでも何度かあった話だ。
桐乃のノートパソコンのディスプレイでは今まさにクライマックス。
幾多の試練を乗り越えた兄妹がはじめて結ばれようとしている。
俺はマウスをリズムよくクリックし、メッセージを進めていく…
俺も随分この手のゲームに上手くなったもんだぜ…

『ふぁ…胸、気持ちいいよぉ…お兄ちゃん…』
兄に胸を揉まれ切なく喘ぐ妹。

…超!!!キマじぃぃぃ!!!
それなんてエロゲ? とか考えてる全国の同姓諸君、そんないいもんじゃねぇからまじで。
俺と妹の周りに流れるこの空気、わかんねぇだろうなぁーー!
例えるなら、お茶の間でドラマのベッドシーンが流れた時の空気を100倍煮詰めたようなこのキマズイ雰囲気…
クソっ、誰でもいいから誰か俺と変わってくれ!

普段はあれだけ騒がしい妹も今はおとなしく、気のせいかわずかに頬を赤らめながら熱心に画面を見つめている。
何でこんな時に限っておとなしいんだよコイツは!?
頼む…!何でもいいからしゃべってくれ…! 少しでいい、少しでいいからこの雰囲気を変えてくれっ…!
きっと俺と同じようにきまずい気分を味わっているのだろう。
膝をモゾモゾと動かしながらディスプレイを見つめる妹を横目で眺める。

「ね、ねぇ」

来た!この雰囲気を変える最初の一歩。神の一手!

「おう、なんだよ」

カチカチ…

「この前仕事でさ、メイクさんが言ってたんだけど」
「! おう、それでそれで?」

普段は聞く気もおきない話題に喰いつく。よくやった桐乃! 空気が変わりつつある…いい流れだ…

「桐乃ちゃん、背が高いから胸ももう少し大きくなれば仕事の幅がぐっと広がるね、だって」

おう、胸ね。胸胸むね…

「…それでさ、お願いがあんだけど」
「おう、言ってみ。なんでもきいてやんぜ」

カチカチ… 桐乃の言葉を聞き流し、適当に相槌をうつ。くそ、なげぇよHシーン…はやく終われっ…

「男の人に揉んでもらうのがいいだって…胸。だからその…あんた、ちょっとも、揉んでくんない?」

カチカチ…カチ。指が硬直する。
あれ~~?おっっかしいなぁぁぁ~?俺の耳どうしちまったんだ?
ありえない言葉が聞こえたような気がする。聞き間違えたか俺。まだそんな歳じゃねぇはずなんだけど。

「わ、わりぃ。なんかよく聞こえなかった。もう一度言ってくんね?」
「だ、だから…あたしの胸…揉んでくんないかなって」

聞き間違いじゃねぇよクソッ!!

24 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/06(木) 01:28:53 ID:yOcclqEN0 [2/2]
「ハ、ハハ…。お前、最近冗談きついな?」
「じょ、冗談じゃないってば!あたしもあんたにむ、胸…触らせるのなんかマジ死んでも嫌だけど!
 仕事の為!しょうがないじゃん!」
「仕事の為っておま、何もそんなことしなくても!?」
「ア、アンタ、読モなめてんでしょ!? この世界ってあんたの想像もつかないような厳しい世界なの!
 今はよくても、この先も続けてくならスタイルの良さは必須なんだから!
 あ、あんただって『ちょっとくらい触ってもいいだろ兄妹なんだから~』って言ってたじゃん!」
「い、言ってねぇよ!…あれ、言ったか…?」

俺が妹にそんなこと言うわけがない。のだが…言ったような言ってないような…?
駄目だ!頭が混乱してはっきり思い出せねぇ!

「言ったって! ほ、ほらはやく! 10分だけでいいから!」

ポスッ

あぐらをかく俺の腕の間に体を割り込ませ、背を預けてくる。妹の頭が目の前に現れ…
こ、こいつの髪、イイにおいしやがるな…くんかくんか。

「あ、あたしだって恥ずかしいんだから。はやくしてよ!」

俺の手を取り、自分の胸に押し付け………フニッ
「! や、やわらングッ!!」
喉まで出かかった言葉を無理やり飲み込む。
や、やべえ!思わず妹に対して言ってはいけない言葉を!?

「んんぅっ!」
「おおおおまえ!? 変な声出してんじゃねぇよ!?」
「ちがっ…! んぅぅ…これは…くすぐったいだけ…ハァ…。ほ、ほら、続けて…?」

上目づかいで見上げてくんじゃねぇぇ!? クソッもうどうとでもなりやがれ…!
フニッ…フニュッ…

「ぅん…ふぁっ……あ、あれ?なんかお尻に…」
「ななななんでもねぇ!?気のせいだ!!」

うぉぉーー!静まれ俺のリヴァイアサン! 素数、素数を! 1、2、3、4、5…

「…んっ…ふぅ…きもち…」

クソおおおっ!? 静まれ!静まれ!! はっ!? そうだあやせ!あやせを!
ブチ殺しますよブチ殺しますよブチ殺しますよブチ殺しますよ…

目を閉じ、光彩の消えた目でこちらを見つめるマイエンジェルあやせを必死で思い浮かべる俺必死だな!!
永遠にも感じられる時間を必死で耐え…

「!! じゅ、10分たったぞ!? もういいだろ!? な!? おおお俺もう寝るわじゃあなおやすみっ!!」
「んぁっ! ちょ、ちょっと待っ…」
ダダダダ…ガチャッ!!ダダダバタン!
自分でも信じられない速度で部屋を飛び出し、己のベッドに潜り込む俺!
今の俺の足ならあいつにも勝てるかもしんねぇ…

「今日のは悪い夢、夢だったんだ…」
こうして俺の最悪な一夜は終わったのさ。


「ハァハァ………ここまでしてもダメなんて………兄貴のヘタレ…バカじゃん…」

End



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最終更新:2011年01月09日 20:41