273 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/07(金) 15:53:24 ID:V5HNxkxw0 [2/3]
「ちょっとあいつから借りてきたけど・・・いざわたしが着けるとなると緊張するわ・・・」
そんな私が今手にしているブツ。ネコ耳。
あいつが着けてるとかわいい!って思ったけどわたしが着けるとどうなるんだろうか。

鏡の前には左右反対になったわたし。その私に少しばかり変化を加えようかどうか考えている。
・・・考える必要あったの?ここにはわたし以外誰もいない。
隣の部屋ではあいつが熱心にエロゲーをしているだけ。
よし・・・、わたしは決心を決め、そのブツを頭に固定し、鏡を見た。

「ブッ!」
思わず噴いた。にやけてしまう自分を隠すために噴いたのだ。
そこには恥ずかしいわたしがいた。かわいいんだけど、
こんなのあやせならまだしも加奈子に見られたら自殺もんだ。
溜まりこんだ恥ずかしさを紛らわせるために布団を何回もバンバンと叩いた。

「でも・・・わたしも意外とかわいいじゃん」
あいつはこの一歩先を進んだ。わたしはそこまでは進めない。
物理的に不可能ということではなく、生理的に不可能ということでもない。
自分のプライドがそれを許さないのだ。もちろんプライドを捨てれば容易なこと。
しかし、プライドもわたしに必死に喰らい付いてる。そんなプライドを引き剥がすことなど誰ができようか。

「でも少しだけなら・・・」
私は意を決して、足のつま先ほど、その領域に達すことに決めた。

鏡の前で手を丸めて顔付近に持っていき、そこで決めポーズ。
「ニャッ!」

「うああああああああああああああ・・・!!」
我ながらすごい黒歴史を作ったものだ。
猛烈にこみ上げてきた恥ずかしさをベッドの上で体全体をつかって徐々に緩和していくことしかできなかった。
ひとごとだからあいつをかわいいと言えた。自分がするとなると・・・。
・・・!もう、この黒歴史製造器=ネコ耳には金輪際近寄らないようにしよう!
あいつ自身も度々被害を受けてると暴露してたわけだし、
自分がこれ以上関わっていい品じゃないことは今自分が身をもって証明したわけ!

そう、体を蝕む恥ずかしさに全身全霊の力をふりしぼって耐えていたとき。
「お取り込み中失礼しましたー・・・」
そう、テノール声を残してドアはひとりでに閉まった。

「ちょっとあんた!いいい、いい、いつから私の部屋を覗いてたの!?っていうかノックぐらいしろ!!キモいキモいキモいキモい!うぅ~。」
冷静に思い返せばこのときのわたしは冷静さを失っていた。いつもの毒がなかなか出てこないのだ。
「いや、そういうけど俺は何回もノックしたぜ!!キツツキかってくらい!で反応ないからドアノブを回したら開いたわけでだなぁ・・・」
「なんでそれでわたしの部屋を勝手に覗いたの!?っていうかノックぐらいしろ!」
テンパって自分が何を言ってるかわからない。
「だからノックぐらい何回もしたっつっただろ!エロゲ返しにきたらお前がベッドの上でバンバンとだなぁ・・・」
「・・・それってほぼ最初からじゃない!なんでそこでドアを閉めなかったの!?」
「いや・・・面白いもの見たさに」
「死ねッ!」
パァン!

やっと出た振りし切りの毒をあいつに浴びせ、張り手したときには何もかもが遅かった。
「いやまあ、その、なんだ・・・一応秘密にしておいてやっから!」
「当然でしょ!」



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最終更新:2011年01月09日 20:56