453 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/08(土) 08:40:29 ID:1MHvTRg90 [2/3]
「早く渡しなさいよ!渡せ!」
とピョンピョン飛び跳ねてるのが我が最悪な妹、桐乃。
なぜこんな状況になってるかというと・・・。

「京介氏に是非オススメしたいゲームが!」
そう電話口であいつが薦めてきたゲーム。
『星くずうぃっちメルル-キャットファイトじゃないんだからね!-』
という安易なネーミング。要約すると格闘ゲームだ。
あいつ・・・本当に金持ちなんだな。
何故俺に押し付けてきたのかわからんが、
俺に送ってきたのだから俺がプレイする権利ってのも当然ある。
そう玄関で考えていると、桐乃がやってきた。

で、今に至る。そろそろ渡すか諦めさせないと、
核爆弾使ってきやがるだろう。核爆弾というのは男子なら身に覚えがあるアレだ。
アレを使われると大の大人でも小さい子どもにきりきり舞いにされる。
と、余談はそこまで!なぜならばあいつが足を振りかぶって――
「待て!」
俺は制止を求める。
「チッ、何よ?」
間一髪で核から免れた。
「クイズをしようか。当たったらお前にこれをやる。はずれたら俺がこれを貰う」
「ハァ?なんでそんなことしなきゃいけないわけ?」
「そんなもん、あいつが"俺宛"に送ってきた代物だからだ。じゃなきゃ、お前宛で届くだろうよ」
桐乃の名前も、沙織は知っている。わざわざ俺宛に偽装する必要もなくなった。
当然、これは"俺宛"。そう結論される。
「いいわ、当たったら素直に渡しなさい」
こいつは自分の言ったことは確実に守る奴だ。今の言葉を聴いて安心したぜ。

俺は長年温めてきたとびっきりのクイズをこいつに出した。
「お前、俺、黒猫、あやせ。オタクということを除いて、仲間はずれはだ~れだ」
うむ、我ながら凝ってる出題の仕方だ。俺MC狙えるんじゃね?
「そんなの簡単じゃん、黒猫。わたしとあやせがあんたと仲間って寒気がするけど、
 まあクイズだからいいし。さ、渡しなさい」
こいつ・・・何でたった数秒でわかったんだ?数秒どころじゃない。即答だ。
俺は煮え切らない感情を抑えてブツを桐乃の渡した。

「ああ、夏コミのヒステリック女ね」
俺は新垣あやせをプライベートなことに触れないまではこいつに話してクイズをしてみた。
「そんなの簡単ね。答えは私」
な・・・なんでこいつも即答!?
「私は"新垣あやせ"という女に対して名前しかほとんど判断材料を知らない。それが答えよ」
「ふむ、だが、あいつが何故嫌い続けている兄の名前をいちいち覚えてるんだ?」
「あなたは三歩歩けば物事を忘れるタイプなのかしら?あのでかぶつがあなたの名前をしきりに呼んでいるでしょう?」
なるほど、一理ある。だからあいつは即答できたわけだ。納得だぜ!

「まあ、本当に嫌いならば、何回繰り返されても覚えられないものよ。勉強運動芸術、全てにおいて」
そう言ったあいつは、どこか嬉しそうで、どこか寂しそうだった。



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最終更新:2011年01月09日 21:01