204 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/10(月) 22:33:57 ID:pykxdivT0

※CERO Cくらいの微エロ展開だけど、京介フィルタ全開で台無しですw


――夜の0時。
俺は自分の部屋で机に参考書とノートを開き――――エロゲーをやっていた。
いやね、これって妹から宿題として受けたエロゲーですよ? 仕方がなくやっているんだ! 
あと、桐乃はともかく、お袋とか親父とかが突然部屋に来たときの対策のために、勉強しているように偽装工作しているんですよ。
むしろ最近は普通に勉強マジでやっていんですけどね? なにこの言い訳。理解してくれっかなー。

そして、エロゲーではアレな場面の前フリに突入。
主人公が妹ヒロインとキス。最初は、唇が触れるだけ。
そのあと、お互いの口に舌をすべりこませ、絡ませ、次に――舌を吸い上げる。
「これって本当にいいもんなのかねぇ?」
妹キャラのアレの本番はほとんどテキスト飛ばしだが、キスの場面は慣れたせいか醒めた目で見れる。
キスか――ふと黒猫のことを思い出し、顔がアツくなる。
いやいや、あれはほっぺだから関係ないだろう!
頭をぶんぶん振ったが、次に黒髪つながりか、あやせを思い浮かべてしまう。
あやせとのキスは――想像できん。タン塩にしますよ?、だよな。こえぇ。
なんてことを考えていたら、

どん、どん!

うぉ! ドアを叩く音がする。即エロゲーを終了する。
なんなんだ? この叩き方は桐乃だな?
ドアを開けてみたところ、案の定、桐乃だった。
顔を真っ赤にして、俺に上目遣いで黙ってにらみつける。
あと、なぜかiPhoneを右手にしている。
なにこいつ怒っているんだ? 俺なにかしたっけ? と思いきや、
タタタっと、すさまじい速さで打ち込み、俺に画面を見せる。

『舌かんだ。ちょー痛い。あんた薬塗るの手伝って』

なるほど、舌が痛いからしゃべれないのか。どのくらい噛んだんだ?
しかし、
「はぁ? 自分で塗ればいいじゃねえか?」
『鏡を見ながらやってみたけど、うまくできない』
――ああ、なんとなくわかる。鏡を見ながらだと、左右とか、奥行きが反対になってよく分からないからな。
仕方がねぇ。頭をぼりぼり掻きながら、
「わかったよ。じゃ、やってやるよ」
ん、と桐乃がうなずく。
桐乃の後ろについて、部屋に向かおうとしたが、――踵を返して、階段に向かう。
すると、袖を引っ張られ、
『どこ行くのよ?』
「いや、下で手を洗いに行くんだけど。汚い手で口のなか触られるはイヤだろ? ちょっと待ってろ」
桐乃はそっか、みたいな顔をして、こくんとうなずいた。


――桐乃の部屋に入ると、桐乃はベッドの上で座って待っていた。
なんかもじもじして落ち着かない様子だ。トイレに行きたいのか?
それよりも痛いから薬を塗れってことか。
テーブルにある薬を手にし、右手の人差し指につけた。
「じゃ、塗るから舌をだしな」

「んっ」
桐乃は目をつぶりながら、俺に舌を突き出す。

どきーっ! な、なんだ、この絵面は?
ごくっ。不覚にも心臓がはねる。
い、いや、なんか最近マジでヤバイな、俺。ちと妹に意識しすぎだろ?
く、くそっ、お、俺の妹がこんなに可愛いわけがない! ってか妹だろ!?
そう自分に言い聞かせた。
落ち着け、落ち着け。ふう、――落ち着いたと思ってみたところ、
「? 特に変なところはないように見えるが?」
すると桐乃はくわっと目を見開いて、iPhoneをいじくりだし、
『よく見ればわかるでしょ! あんたどこに目をつけてんの?』
むっかー! それでも iPhone ごしだから、いつもより罵倒度は低いな。
あと、見てもわかんねーよ! いや、もしかしたらここがそうなのか? 自信ないな。
困った俺の顔をみたことに気づいたのか、またiPhoneを叩き、
『仕方がないから全部塗って。それだったらカクジツ』
「はいはい、じゃ、塗るぞ?」
桐乃はこくんとうなずく。
ぬりぬり。
「こんなもんでいいのか?」
すると、桐乃は舌を出したまま、目を開けて、あさっての方向を見ながら「んー」となにか考えごとをした。
『ごわごわしてうまく塗れてない感じがする。そこのペットボトルの水で指をぬらして』
そういうもんか? で、水がたれないよう、ごみ箱の上でさらっと指にかけてぬらす。

薬塗り再開。
「どうだ?」
ぬりぬり。
「ん」
目をつぶりながら、こくんとうなずく。
よし、終了と思ったが、桐乃は片目を開いて、iPhoneを操作し、
『裏も一緒にやって。舌の裏も痛い』
上下の歯で噛んだのか? 漫画みたいなやつだな。
俺は親指にも薬をつけ、舌をつまむようにして塗る。
「こんな感じでいいか?」
『もっと奥も♪』
なぜ『♪』? ああ、携帯の自動候補機能とかでたまたま出ただけか。
って、奥は指を口に突っ込まないと塗れないぞ?
ぬりぬり。
ときおり、ぴくっする。やはり痛いところに触れるときついのだろう。
顔は痛みによるものかさっきより赤くなっているし。
そして、息が荒い。というか、鼻息が。すー。すー。
「――もういいか?」
首を横に振る。まだかよ。


――1分は経っただろう。とっくに全部塗ったと思う。
上、裏だけでなく、左右脇も。
俺の右手は薬と妹の唾液でべたべただ。水なんてもういらないくらいだ。
「まだ塗る必要があるのかよ?」
『ハァハァ(´Д`;』
意味わかんね――――!? 思わず自分の息の状態を文字に出したのか?
というか本当に大丈夫なのか? 痛みでまともに頭に血が回っていないんじゃね?
「ふー、ふー、んぱ、ふー、ふー」
と、たまにつばを飲み込むのにも俺の指と一緒に吸いやがるし。
あと、真っ赤で息が荒いのは同じだが、さっきとは違って半目でぼーっとして、うっすら涙目状態なのが気になるんだが。
無駄に痛いところ触っているんじゃねぇの?
「おい。桐乃、もういいんじゃね?」
と話しかけたら、力の加減がずれ、つまんでいた指がすべり、にゅるんと押し出すようにして舌が抜け出た。
「あ」
すると、突然桐乃は目と口を食いしばるようにして、

「んんんんんんんんんんん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっっ!?」

と、海老反りになって震えだし、ふっと力が抜けたと思ったら、ベッドにそのまま倒れた。
「お、おいっ、桐乃っ!?」
「ぁ、あぁ……は、あん、……ん……」
返事がない。意識がない?
目は薄目状態、、口は舌を出し続けていたせいかよだれが垂れている。
肩で息をして、体がピクッ、ピクッと痙攣している。服も若干はだけて、へそが丸見えだ。
こ、これはまさか……

気絶ってやつか!?

漫画とかではよく見るけど、実際に見たのは初めてだ!
これはヤバイ! マジでやばい!!
冷や汗がドッと流れた。顔から血の気が引くのを感じた。
くそっ! 俺のせいだ! どこか痛いところをピンポイントで触っちまったせいか!?
早くなんとかしねぇと! 
桐乃はまだ体がぴくぴく震えている。
まゆをひそめ、薄目で俺を見るようにし、まるで助けを求めるようだ。
絶対俺がなんとかするからな! だから頼む……!

まず、桐乃を起こすべきか? いや、脳に影響があるんだっけ、こういう場合。
親父達に知らせるべきか? いや、すぐに起きるか分からないか。
それよりも救急車を呼ぶべきか。それとも……!
いろいろ頭の中で交錯する。あせる。
――よし、まず119番だ! 親父達を起こすのはそのあとでいい!
と思い、ベッドに転がっているiPhoneを取ろうとしたら、

「――はぁはぁ、な、何、……人のケ、ケータイいじくろうとしてんの、よ……」

「おまえ……、だ、大丈夫か!?」
息も絶え絶えの状態だが、桐乃が意識を取り戻し、俺の行動をさえぎった。
よかった……! 本当によかった!! 最悪の事態は避けられた。
しかし、まだ意識がはっきりしていないためか、

「う、ぁ……はぁ、や、やばい。こ、こんなの……は、はじめて。ホント……だったら、死んじゃう、かも。」

天井を見つめ呼吸を荒くしながら、うわごとのように意味不明なことをボソボソとつぶやいている。
「……い、いや、兄貴……だった、から?」
「? 俺だったから死んでたかも?」
「――――っ!? そ、そそ、そ、そうよ! あんたが下手くそだったから死んじゃうくらいかもしれない、い、い、痛かった!!」
意識がようやくはっきりしたのか、ガバっと起き上がり俺に罵声をあびせる。
いつもだったら俺はここで怒鳴り返すところだが……やはりか。
「――すまん。悪かった」
「え、ええ!? どど、どうしたのよ、アンタ?」
「え、いや、なにって俺がうまく薬を塗れなかったからか、手をすべらせちまったから痛かったんだろ?」
「い、いや、ま、まぁ、そうだけど……なんでそんなにマジ顔しているわけ? キ、キモいんですけど」

「そんなマジな顔して悪いか!? 心配して悪いかよ!?」

ビクッと桐乃は目を見開く。
「――わりぃ。声張り上げちまった。俺がわりいのに……」
「い、いや、舌をかんだのはあたしのせいだし……全部あんたが悪いってわけじゃないから」
桐乃は下を俯く。
「本当かよ?」
「――う、うっさいなぁ。本当にそうだってば」
いつもどおり俺に悪態をついている。そして、

「そういえば、もうしゃべれているな?」
「――!? そ、そ、そうね。よ、よよ、ようやく薬が効いたみたい……」

桐乃はぷいっと顔をそむける。
ふう、本当に大丈夫そうだ。顔はさっきよりも赤くなっているのは気になるが。
「まぁ、大丈夫そうだから俺は部屋に戻るわ。でも、まだ調子が悪いようだったら、俺とかお袋たちに言えよ? 俺はあと1時間くらいは起きているし、なにかあったら俺のこと叩き起こしてもいいからな」
「……ん、んん、わ、わかった。わ、わかったから、とっとと出てってくんない?」
桐乃は目を伏せて返事をして、そのままベッドで横になった。
まだ、やっぱり調子悪いじゃねぇかな、と心配したが、これ以上言うとまたうるさいだとか言うんだろう。
「あと」
「な、なに? ま、まだなんかあんの?」
「よだれがすごいことになっているから拭いとけ」
「う、うっさい!! そんなこと分かっているっつーの! ウザいんですけど!」
ほらな。やっぱりかわいくねー。
照れ隠しのようにごしごしとティッシュで急いで拭いていた。

俺は肩をすくめ、ドアノブに手をかけ、
「へいへい。じゃあ、おやすみ」
「……ね、ねぇ」
「あん?」
ちらっと、後ろを振り向いたが、桐乃は寝転がった状態で顔を向こうに向けもじもじしている。
痛みがおさまったんなら、とっととトイレ行けっつーの。
「……あ、ありがと。よ、よかった。お、おやすみ」
ありがとはともかく、よかったって何が? 
まぁ、いいか。よく分からんが、何か悪い気はしない。
「おぅ、おやすみ」
バタン。


さて、この薬と妹のつばだらけの手を洗うとすっか。
でも本当によかった。なんにもなくてよ。

その晩は明け方からお袋が家事を張り切ったせいなのか、洗濯機の音がうるさくて睡眠不足気味で困ったぐらいだ。


おわり



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最終更新:2011年01月13日 01:07