218 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/10(月) 23:21:11 ID:xPksItp90 [2/3]
「俺勉強、妹エロゲ、友道連れ」
我ながらいい川柳だ。これは川柳大賞狙えるぞ――
――って狙えねぇよ!何だよ中の句!『妹エロゲ』なんて出せるかよ!
 
「いつもながら変なことやってるわね、セクハラ先輩」
ツヤを帯びた黒髪を光らせてそいつは俺の部屋にやってきた。
「おお、黒猫か。っていうかその名前で呼ぶな。不名誉だ。」
「・・・・・・あら、いいじゃない。もう学校での先輩の通り名なんだし」
通り名と言ってもだなぁ。俺がお前らのために尽力したおかげで、
その、口に出すにもおこがましい通り名の定着という不名誉な結果になっちまったんだ!
「・・・・・・誰も助けてなんて言ってないわよ」
フン、当然、助けてなんて聞いてないね。俺は俺のためにやったまでさ。
 
「それよりお前、エロゲ監禁されてたんじゃねぇのか?どうして抜け出せたんだ?」
「・・・・・・スケープゴートという言葉があるのよね」
まさか・・・こいつ沙織を犠牲にして・・・!
「・・・・・・そう、実に簡単だったわ。あの女、エロゲに集中してるときは周りなんて見えていないみたいね」
この鬼!悪魔!堕天・・・ぷら?
 
「それより、お前そんなこと言ってて大丈夫か?隣の部屋に筒抜けだぞ」
「えっ・・・」
それだけは黒猫も予想外だったらしい。
「・・・・・・は、はははは早く言いなさいよ!」
線の細い体が小刻みに震える。そこまでエロゲしたくないのか。
「と言ってもだなぁ。これぐらいの声ならば壁に耳当てなきゃ聞こえないと思うぞ」
「・・・・・・そ、そうかしら。・・・・・・驚かさないでほしいものだわ。まったく・・・・・・私としたことがつい取り乱してしまったじゃない」
「俺が実践したしな」
その瞬間、黒猫がこっちを見る形で固まった。
「あなた・・・・・・まさか・・・・・・妹がナニをしていても・・・・・・壁に・・・・・・壁に耳を当てて・・・・・・!」
「してねぇよ!よく聞け黒猫!俺はだなァ!」
 
そこまで言ったとき、俺の部屋のドアがバタンッと勢いよく跳ねた。
「あ・・・・・・あんた、いっつもあたしの部屋の音・・・・・・ととととと盗聴してんの!?」
するわけねぇだろ!どこの物好きだよ!
「キモい!キモいキモいキモいキモいキモいキモい!変態!シスコン!ロリコン!強姦魔!」
おい!全ておかしいが最後のだけは確実に訂正しやがれ!
「それに黒猫・・・・・・あ・・・・・・あんた・・・・・・何一人、抜け駆けしてんの!?」
そう言われた、借りてきた猫のようにおとなしくなった黒猫がなみだ目で俺の方を見る。
すまん、俺はお前の力には、なれそうにない・・・・・・。
 
黒猫が首根っこを捕まれてズルズル連行されてるのを眺めながら一言。
「俺は勉強する。だが、これだけは言っておく。『死ぬなよ』」
我ながらよくわからない言葉で黒猫と暴君を見送る。
黒猫の恨めしそうな目が脳裏に焼きついて離れなかった。



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最終更新:2011年01月14日 22:25