238 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/11(火) 01:07:14 ID:PV5Dak320 [1/3]

やたやたやた~!
キタキタキタ~!
今日は朝から誰もいなくて、久しぶりのフリータ~イム!
午後から部活ってのが少し残念だけど…。
さて、お昼まで何しようかな~。イヒヒヒヒ。
あ!
あれ…してみようかな…。


ガチャ
相変わらずカギ無いんだ…。よくこんな部屋に住んでるよね。

ゴソゴソ
よかった…まだ温かい…。
ぼふっ
くんくん
…………。
これがあいつの匂い…。
初めて嗅いだけど…意外といい匂いカモ…。
なんて言えばいいかな…。
そんなに不快じゃない汗の匂いに、
ほんのり石鹸の香りが混ざった様なそんな匂い。
男の人って感じの。ていうか他の人の嗅いだことないケド。
でもなんか…ホッとする…。
…………。
少し前じゃ考えられないよね。あたしがこんなことするなんて…。
でも最近あいつ結構頼れるようになってきたし…。
…………。
なんか変なの。

くんくん
…………。
あったかくて…
心強くて…
守ってくれそうで…
ギュッーって抱きしめてほしい…
みたいなそんな匂…い……。



ガバッ
ヤバっ!今、何時!?
…ふへぇ~。よかった~12時ちょうどか。
それにしてもよく眠れた気がする。
なんか頭もスッキリしてるし、身体も軽い感じだし…。
あいつ、思考がマイナスだからマイナスイオンとか出てたりして。
なわけないか。
…でも寝ちゃったから、なんか物足りないな…。

あっ!
いいコト思いついちゃった!ムフフフフ。

239 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/11(火) 01:12:01 ID:PV5Dak320 [2/3]
~その夜~

コンコン
…………。
ドンドンドンドンドンッ!
「おい桐乃!起きてるか!」
バンッ!
ガシッ!
「…なに?あたし今から寝るとこなんだケド。」
「ちょっと俺の部屋に来い。」
「はぁ?あんたこんな夜中に妹を部屋に連れ込んで何するつもりなワケ?」
「へ、変な言い方すんじゃねぇ!いいから来いって言ってんの!」
「ちっ。ちょっとだけだかんね。」


「…なんだこれは?」
「なにって、メルルじゃん。」
「そういう事を言ってんじゃねぇ!
なんで俺の枕カバーがメルルの枕カバーになってるのかって聞いてんだよ!」
「あんた最近エロゲーマーの鑑としてあたしも一目置くようになってきたケド、
アニオタとしてはまだまだじゃん?
だからあたしが立派なアニオタにしてあげようと思ってさ。」
「ふざけんじゃねぇ!
こんなのおふくろに見つかったら俺が変態だと思われるだろ!」
「大丈夫。あんたが変態なのは家族全員知ってることだから。」
「ぶっ飛ばすぞこのヤロウ!
あれはお前をかばうために俺がああいう趣味を持ってるって事になってんだろが!」
「あんたがどんな趣味を持ってても、
あたしは絶対バカにしたりしないから。」
「おちょくってんのかテメェ!それはいつか俺がお前に言ったセリフじゃねーか!
得意げにパクってんじゃねぇ!
それより俺の枕カバーはどうした!?」
「……捨てた…ケド…?」
「はぁ!?お前人の物勝手に捨てるとか意味わかんねーんだけど、
それ以前に俺の部屋に無断で入るんじゃねぇ!!!!」
「ちょっと声デカすぎ!お父さん達、起きちゃうでしょ!」
「…………。
そもそもこの枕カバー、お前の大事な物なんじゃねーの?
そんなの俺が貰っていいのかよ。」
「誰もあげるなんて言ってないじゃん。あくまで貸すだけ。
それにその枕カバー使用済だから。あたしがあんたに新品なんて貸すわけないでしょ。
今日部活で自己ベスト更新して気分がいいから、特別に貸してあげる。」
「…なんでお前そんなに上から目線なわけ?
…はぁ…。なんかスゲェ疲れたわ…。
今日はもういいから、明日の夜までに俺の枕カバー何とかしとけ。」
「はいはい。
あ、それからその枕カバー、あたしが使ってたからって、
くんかくんかしたりしないでよね。キモいから。」
「しねーよ!!」
「あたし早く寝たいからもう行くね。おっやすみ~。」
バタン!


240 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/11(火) 01:18:49 ID:PV5Dak320 [3/3]
くそぅ…。何なんだいったい…。
しょうがねぇ…。俺も寝るか…。

…………。
くんくん
…………。
これが桐乃の匂いか…。
初めて嗅いだけど結構いい匂いだな…。
なんて言えばいいんだろ?
桐乃の部屋に入った時のあの匂いとはちょっと違う、
化粧品臭さのない…うまく言えないが…。
シャンプーの香りに、ほんのり汗の匂いが混ざった様な…そんな匂いだ…。
女の子の匂いって感じだな。他の女の子の嗅いだことあるわけじゃないけどな。
でもなんか…ホッとする…。
…………。
俺がこんなことするなんて、ちょっと前じゃ考えられなかったな…。
最近の桐乃、あんなふうに見えても結構打たれ弱いところあるからな…。
ほっとけないつーか…。
…………。
なんか変な感じだな。

…………。
くんくん
…………。
甘くて…
くすぐったくて…
繊細で…
守ってあげたくなるつーか…
ギュッと抱きしめたくなるつーか…。
…………。
てか、つーかじゃねぇ!!俺、今何考えてた!?
ヤベェ!!妹の匂い嗅いで抱きしめたくなるとか、ありえねぇ!!
おちつけ…おちつけ…俺…。
…………。
きっとメルルの「めてお☆いんぱくと」に脳細胞がやられたに決まってる!
そうだ!絶対そうだ!間違いねぇ!俺は断じてシスコンではない!ましてやアニオタでもねぇ!
…………。
わかった…。これは夢だ。悪い夢を見ていたんだ…。
…………。
ぐぁー!だからって俺が考えてた事には変わりねぇし!
…………。
寝るぞ!ぐっすり寝て明日の朝、目が覚めたら、すべてを忘れているはずさ!
…………。
くそぅ…眠れねぇーーーーーー!!


悶々と眠れぬ夜を過ごす京介と
兄のマイナスイオンでぐっすり眠る桐乃
対照的な二人の夜は更けていった。



翌日、京介の枕に付けられたのは、
アルファ・オメガの枕カバーだった。

~終~



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最終更新:2011年06月13日 08:09