646 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/14(金) 02:04:36 ID:sj95CpgY0
あたしがリビングへ入ると、あいつ――京介がソファに座っていた。
のんびりしているだけに見えたが、よく見ると違う。
ねているのだ。ぐっすりと。

あいつを起こさないように、そっと近づく。
たたくまで目を覚まさなかった事もあるし、大丈夫だとは思うけど。
しっかり寝ている事を確認する。

じっとあいつの顔を見ながら考える。
つまらない、ほんの些細な悪戯だ。兄妹間のちょっとした冗談。
はぁ、と息を深く吐く。少し緊張しているみたいだ。

あいつの顔にそっと唇を寄せていく。
にわかに鼓動が早くなるのを感じる。
きっと、今あたしの顔は真っ赤だ。
のろのろやっていたら起きてしまうかもしれない。早くしないと。
こんなトコを見られたら……。
とてもじゃないが、平静を保っていられる自信がない。

だっていうのに、あたしはこれ以上進めずにいる。
いまにも唇が触れそうなのに、なんて臆病なんだろう。
すっとアイツから離れる。今日はやめておこう……まだ時間はあるんだから。
きっといつか、いつか必ず想いを伝える。この文章の一文字目を言葉に乗せて。



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最終更新:2011年01月14日 22:35