708 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/14(金) 20:25:57 ID:ZDmJlgdF0
ある休日の昼下がり。
何か飲もうとリビングへ降りると、桐乃が縁側で猫と戯れていた。
はて、ウチでは猫なんて飼ってないはずだが。
「なあ、その猫どうしたんだ?」
「あぁこの子? 最近よくウチの庭にくるのよね。あたしに懐いてるみたい」
通い猫ってやつか? 随分と人懐っこいな。どっかの飼い猫なのかもしれない。
桐乃は猫の背中を撫でながら、一言。
「キョウスケは可愛いね~」
ブーーーーッ!
麦茶吹いた。
「な、ななな、何言ってんだお前!」
「はあ? キョウスケってのはこの子の名前。あたしがつけたの」
「勝手に人の名前つけんなよ!」
「人じゃないし~。猫だし~」
こ、こいつは……!
いや、ここで乗ったら負けだ。冷静になれ冷静に……。
「きゃっ。ちょっとキョウスケってば、いきなり抱きついてこないでよ」
「…………」
「もうキョウスケ! スカートの中に潜り込まないの!」
「……ぐ……ぐぎぎ……」
「んぁっ、そんなトコ舐めたらダメだよキョウスケ……」
「い、いい加減にしろお前!!」
無理。もう無理。もはや限界である。
「なに急に大声出して。ビックリするじゃん」
「お、お前な。そんな声をご近所に聞かれたら俺がド変態だろうが!」
「あんた変態でしょ?」
「素で言うなよ! ちょっと傷ついたぞ!」
「あ~あ、こっちの京介は怖いね~。ね、キョウスケ」
同意するかのように『な~お』と鳴く猫。
お前も敵か。俺が猫を睨み付けていると、
「なにアンタ。もしかしてこの子に嫉妬してるの? うわ~猫に嫉妬するなんてシスコンきもいきもい」
「するかっ!」
ニヤニヤしながら俺を小馬鹿にする桐乃。
もう付き合ってられるか。俺はさっさと部屋に戻る事にした。
階段を上がっている時も、まだリビングから猫と遊ぶ桐乃の声が聞こえてくる。
「……大好きだよ。きょうすけ」
End
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最終更新:2011年01月14日 22:38