17 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/16(日) 07:26:58 ID:6GKp9NIiO [2/5]
「ふーん、『怪盗セイント・テール』ねえ」

チバテレビが夕方に昔のアニメを再放送するというので、あたしはせっかくだから見てみることにした。

確かに、現代のアニメを見慣れてると『セイント・テール』には、正直古臭さを感じてしまう。
でも今のあたしは、段々そのストーリーに惹かれていった。

主人公の芽美は、昼間は普通の中学生だけど、夜になると
『怪盗セイント・テール』に変身して、困ってる人達を助ける。
そんな怪盗の彼女を追いかけるのが同じクラスの男子、アスカJr.。
アスカJr.は公式設定では頭がいいことにはなってるけど
そのわりにはまあ、お約束の展開とは言え、いつもセイント・テールに逃げられてばかり。
でも、アスカJr.は、ひたむきにセイント・テールを追いかけつづけている。

「・・・なんだろう、なんか、うらやましい・・・」

昼間の学校での芽美とアスカJr.の仲はお世辞にも良いとは言えない
ささいなことで口ゲンカするのは日常茶飯事だ。

「・・・まるで兄貴とあたしみたい・・・」

追いつ追われつの日々のうちに二人は段々と相手のことを意識するようになり
ついにはアスカJr.が芽美に告白する。

「くう・・・芽美もアスカも末永く爆発しろっっっ!!」

しかし話はここで終わらない。芽美は、自分が怪盗セイント・テールであることを隠している。
この秘密をアスカJr.に知られたら、二人の関係は永遠に引き裂かれるかもしれない。

「・・・アニキのことを、愛してるって言うのも同じだよね・・・」

そして恐れていたことは現実となる。芽美の母親からの因縁がある宿敵の手により
遂に芽美がセイント・テールであることが明らかになってしまう。
宿敵を撃退するものの、思わず大粒の涙を流してこれまでの秘密を謝る芽美。
そんな芽美をアスカJr.は優しく抱きしめてつぶやく
『気づかなくて ごめん・・・・・・』

「兄貴は、あたしの告白を、しっかりと受け止めてくれるかな?」
兄と妹との関係は、怪盗と探偵との関係よりも厳しいのはわかってる。
でも・・・あたしも、精一杯頑張ってみる・・・

どうか、兄貴とあたし達にも、神のご加護がありますように

※※※
「なんだ、こりゃ」
京介はつぶやきながら、ドアに挟まってた紙をつまみあげる

「なあ桐乃、これはなんだ」
「なんだって、予告状じゃん、見ればわかるでしょ」
その紙には、こう記してあった

『いつの日にか、必ず高坂京介をいただきにまいります 怪盗きりりん』

「なんなんだよ、なんのゲームだ、これ?」
「全くあんたはドンカンキングなんだから。まあ、今はわからないままでいい!」
相変わらず怪訝な顔をしている兄貴を背に、あたしは軽やかに一階へと降りていった。



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最終更新:2011年01月20日 02:17