421 名前:バレンタイン(再)1/2【SS】[sage] 投稿日:2011/01/19(水) 00:17:38 ID:B9nNtsxc0 [1/2]
コンコン
ガチャ
「ん?どうした?なんか用か?」
「あ、あのね…お願いがあるの…。」
「なに?いつもの人生相談か?」
「そう…と言えば、そうカナ…?」
「…よし…。言ってみろ…。」
「バレンタインのチョコ作ろうと思うんだケド、あんた味見とかしてくんない?」
「…………。」
「…なに黙っちゃって。嫌なの?」
「あっ、別に、嫌っていうか…その…なんだ?お前…去年あやせに作った時は、一人でやったんじゃねーの?」
「あれは相手があやせだったから。今年はあやせ仕事とかで忙しくて作る時間が無いんだって。だから今年はやめにしたの。」
「それがなんで俺が味見するって話になるんだ?」
「…今回は…男の人にあげようと思ってて…。あたし、女だから男の人の好みとかよくわかんないし…。
だから、男目線でみた客観的な意見が聞きたいの!」
「…わかったよ。手伝ってやんよ。」
「じゃあ今から材料買ってくんね♪」
バタン

…男の人にあげる…か。…まさか俺に!?そうだよな~。
あれだけいろんな事してやってんだし。義理チョコくらい当然だよなっ。
それにしてもあやせの奴うまく逃げやがったな。しかし、
自分は嘘つかれるのあんなに嫌がってたくせに…。まぁ…それも仕方ねぇか…。



「たっだいま~♪さっそく作るよ!」
「へいへい。で、俺は何をすればいいんだ?」
「とりあえず今日は生チョコ作る予定だから、この本のそのページ開いといて。」
「あいよ。生チョコ、生チョコ…と。あったぞ。他には何か手伝う事無いか?」
「特に無い。こういうのって自分でやらなきゃ意味ないじゃん…。あんたは味見してくれればそれでいいの。」
「そうか…。それにしてもすげぇ材料多いな。」
「まあね。でも二人分だからこんなもんでしょ。」
「二人分!?」
「最初に言っといてあげるけど、一つはあんたの分だから。
手伝わせといて無しってのも可哀相じゃん?ギリギリ義理チョコくらいはあげるから。」
「…じゃあもう一つは誰にあげるんだ?」
「はぁ?あんたデリカシーなさすぎ。妹のバレンタインのチョコあげる相手聞くとか、どんだけシスコンなワケ?」
「ぐぬぬ…たしかに俺には関係ない話だ…。」
「なに…急に不機嫌になっちゃって。あんた分も作るって言ってるんだからそれでいいでしょ?
さあ気を取り直して作るよ!」


「お前…チョコは湯煎するって書いてあるぞ?直接火にかけたらまずいだろ。」
「…香ばしさを追加しようと思って…。」
「…………。」

「生クリームをホイップするなんてどこにも書いてないぞ?」
「生クリームってホイップするものじゃないの?だって箱にホイップってかいてあるじゃん。」
「…………。」

「ちょっと待て!小麦粉なんて材料に書いてないぞ!」
「えっ?溶けたチョコどうやって固めるの?」
「…………。」

「…とりあえず書いてある通り作ってみたらどうだ?
生チョコ作るの初めてなんだろ?色々手を加えるのは、二度目、三度目でいいんじゃね?」
「…そだよね。基本は大事だし?あたしのオリジナル性が出せないのは少し残念だけど!」

422 名前:バレンタイン(再)2/2【SS】[sage] 投稿日:2011/01/19(水) 00:18:46 ID:B9nNtsxc0 [2/2]
「…こんな感じでどう…カナ?」
「いいんじゃないか?甘さもちょうどいいし。」
「後は型に流して、冷やして、カットしたら完成っと。
…じゃあここまででいいから…。」
「おう。おつかれさん。」
「…あ…がとね…。」
「ん?なんか言ったか?」
「あっ!あたし箱とか包装の準備あるから上行くね!」
バタン!

なんだあいつ…。そんなに急がなくても固まるまで時間かかるのに…。
しかしああやって「アレ」ができた訳か…。
まぁどこぞの馬の骨がどうなろうと知ったこっちゃねーが、
犠牲者は出さないに越したことはないしな。
…てゆうかなんだこのモヤモヤした嫌な感じは…。
チョコ味見しすぎて胸やけしてしまったようだ…。



~バレンタインデー当日~

「おっはよ~♪はい、お父さん。これバレンタインチョコ。今年は手作りにしてみたの。」
「おぉ、そうか。毎年ありがとう桐乃。」
「(ホッ。なんだ親父の分だったのか……。てゆーかなんだ今の「ホッ」って!?ぐあぁぁぁあ!)」

くぃくぃ
「(…なんか桐乃が俺を呼んでいるようだな。…なるほど…、親父達の前では渡したくないっつーことね。へいへい。)」

「…これ、約束のあんたの分…。」
「うぉ!なんか親父のより箱でかいな…。」
「…チョコ作るの手伝ってもらったし…、あたしも去年のリベンジしたかったから助かったっていうか…、
いつも色々してくれて感謝してるっていうか…………。
は、箱が大きいのは、ちょうどいいのが無かっただけで、
別に…と、特別とか…そんなんじゃないから!!あくまで義理だから!!」
「わかってるよ。でも…ありがとな桐乃。」
「あたしの手作りとか超レアだから、大事に食べなさいよね!」
バタバタバタバタ
バタンッ!


それから俺は部屋に戻って箱を開けた。
フッ…大きさバラバラじゃねーか。
そして、その中で一番大きなかけらを口に放り込んだ。
…なんか…昨日味見したときより甘いな…。

~終~



-------------

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年01月20日 02:23