194 名前:ゆびきり【SS】[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 04:37:52 ID:j6K8YrcTO [1/2]
久しぶりに中央公園に行ったら「大声コンテスト」が開かれてた。
あたしも諸事情で心にモヤモヤを抱えてるので、大声を出してすっきりしたかったから、飛び入り参加することにした。

子供の部が始まったようだ。
「私は、お兄ちゃんのことが、大すきです」
「お兄ちゃん、いつもありがとう」
うわあ、リアル妹ちゃんたちマジカワイイ!
素直に自分の気持ちを出せてうらやましいな。
でも、なんかさっきから妹ちゃんから兄貴へのメッセージばかりのような・・・

あたしが感じてた違和感はその後さらに増幅していった。というのは、そのあとの参加者のセリフが
「みんな二人のことを応援してるからね」
「兄貴しっかりしろよ!」
「たった一人の妹を泣かせたら承知しないぜ!」
「結婚式には招待してくれよ」
「俺の翼とか絶対ありえん!」
こんなのばっかりだったからだ。
しまいには
「きりりんは兄貴の嫁!」
とまで叫ぶ人も出る始末。
(ちょ、何コレ・・・)
嬉しいやら恥ずかしいやらであたしの顔は真っ赤になっていった。

「高坂桐乃さん、出番ですよ」
ハッと我に帰る。どうしよう、何を言えばいいのか全く頭になかった。
ふと、誰かがあたしのことをつっつく。見るとそこにいたのは、えっ?小学生のあたし???

「あのね、京介お兄ちゃんは、桐乃といっしょで、
とても恥ずかしがり屋さんだから
自分からは、桐乃がすきだよって言いにくいと思うの。
だから、がんばって桐乃からお兄ちゃんに告白すれば
きっとお兄ちゃんも桐乃がすきだって言ってくれるよ」
そう言うと小学生のあたしは、あたしの手をとってステージに引っ張る。

とうとうステージについた。周りの人たちはみんなニコニコしながらあたしのほうを見てる。
「こんなにたくさんの人たちが、桐乃のことをおうえんしてくれてるんだよ。
みんな桐乃の幸せなすがたを見るのがうれしいんだって。
じゃあ、あたしはそろそろ帰るね。」
そう言うと小学生のあたしは、とてとてと走りかけたが、何を思ったかまた戻ってきた。

「桐乃ががんばってお兄ちゃんに告白できるように、約束のゆびきりをするね」
そう言って小学生のあたしは、小さな指をあたしの指に絡めてきた。

「ゆびきりげんまん、うそついたら針千本のます、ゆびきった」

「約束だよ。じゃあね」
小学生のあたしは小さな手を振るとステージから走りさって行った。
(ありがとう、小学生のあたし)
あたしは意を決して、深呼吸をした・・・

※※※
気づいたらあたしは自室のベッドの中にいた。
やっぱり夢だったか・・・
でも、小学生のあたしと指切りをした感触は、なんとなく残っている気がする。
(さて、ゆびきりもしたし、せっかくだからコンテストで優勝できるような
とびっきりの告白を考えようか)
カーテンを開く。今日の空みたいに雲一つなくってわけにはいかないけど
あたしの心のモヤモヤは、もうかなり薄れていた。




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最終更新:2011年01月28日 20:40