596 名前:※ネタバレ注意※【SS】[sage] 投稿日:2011/01/28(金) 02:46:07 ID:E8DEhR6LO
兄貴が大人気ゲーム「俺の姉貴がこんなに可愛いわけがない」をめでたく手に入れたようだ。
兄貴は発売前からこのゲームをえらく気に入ってたみたいで
最近はあたしのエロゲーそっちのけで公式サイト等をこまめにチェックしてるようだった。
兄貴は、発売日当日に市内の店を全部廻る勢いで捜しまわって、なんとか手に入れた様子だった。

「へえ、アンタいつからシスコン止めて姉萌えにチェンジしたの?」
「別にどうでもいいだろ」
「そんなにお姉ちゃんがいいんだ」
「はいはい、これからゲームやるから」

(・・・なにこの態度、面白くない・・・)

やらせてたエロゲーの回収を理由に兄貴の部屋に入ると、
兄貴はやたらでかい特典DVDのパッケージや、付録ポスターを眺めてニヤニヤしていた。
「制服姿の彩奈姉ちゃんが可愛いすぎて生きてるのが辛い」とかほざいてる。

(死ね、馬鹿兄貴!!!!)

なんだかわからないけどもの凄くムカつく。何とかして兄貴をヘコませてやりたい気がした。


「ねえ、アンタ。いいこと教えてあげようか?」
「ん、なんだ桐乃。」
それからのあたしは、2ちゃんで仕入れたネタバレを怒涛の勢いでまくし立てる解説者と化した。

彩奈姉ちゃんが○○化するとか○○を失うとか
彩奈の友達の沙織が○○しちゃうとか
特典の小説は○○ちゃんエンドの話なんだとかetc・・・

兄貴は呆然としてたし、あたしも途中から、正直何やってんだろうという思いが強くなって
持ちネタの半分くらいで兄貴の部屋を離れた。


突如として自分がすごくイヤになった。
そう、自分のつまらない感情のせいで兄貴の楽しみを台なしにした。最低・・・
この後兄貴とどう顔あわせればいいんだろう?
あたしはベッドに伏せっていた。


『コンコン』
突然ドアがノックされた。
「・・・なあ桐乃、ちょっといいか」
今、兄貴と向き合うのは怖かった。でも、この後あたしから兄貴に話かけることができるだろうか。
あたしは意を決してドアを開けた。

暫くの間、重苦しい沈黙が部屋に漂った。やがて口を開いたのは兄貴だった。
「正直、お前がなんであんなことしたのか、俺にはわからない。
けどな、お前が、自分のしたことをもの凄く後悔してるんだろうなってことは、
お前の今の顔を見て分かった」
・・・鏡を見たら、あたしの顔はきっと泣き濡れててぐちゃぐちゃに違いない。

「なあ、たまには俺から、
お前にオススメのゲームを教えるってのは、どうだろうか?」
「・・・兄貴・・・」
「その、なんだ、一緒にゲームやりながら話そうぜ。
そのほうが、きっと、話が進む気がするから」

ホントはまず謝らなくちゃいけないのに、声より先に涙がぽろぽろ出て来た。
そんなあたしが泣き止むまで、兄貴は頭を優しく撫でてくれていた・・・



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最終更新:2011年01月28日 21:03