724 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/28(金) 23:57:55 ID:L8KHVgxf0 [2/2]

「兄貴・・・寝てるよね・・・?」

あたしは今、兄貴の部屋に居る。
時間は深夜2時。
さっきまでお父さんの部屋から聞こえてきたいびきも聞こえなくなって、
家族全員、深い眠りについている・・・。

「き、今日もちょっとだけなんだから」

あたしは、兄貴が完全に眠っている事を確認すると、兄貴のベッドのなかに潜り込んだ。
じつは、あたしは昔から、兄貴のベッドに潜り込む事が趣味なんだ。
もちろん、いつもってわけじゃない。
今日みたいに、辛い気分の時だけ―――

兄貴ったら、沙織の素顔みたらガン見しちゃってさ・・・
あたしみたいなかわいい子が近くにいるってのに・・・
それに、黒いののコスプレも・・・

あたしって、兄貴にとって魅力的じゃないのかな?
そう考えるたびに、胸が苦しくなって、少しでも兄貴を近くに感じたいと思ってしまう。

「桐・・・のか・・・」
「!?」

うそっ!?兄貴起きてたっ!?
あわてて兄貴の顔を見る。

兄貴は目を閉じて、ゆっくりと呼吸をしている。
どうやら寝言のようだ。まぎらわしい。

でも、寝言であたしの名前がでてくるなんて―――
兄貴、あたしの夢を見てくれてるのかな・・・
どんな夢なんだろう。あたしは、どんな風に見られてるんだろう・・・

そう、思っていると―――

「ひゃんっ!?」

兄貴が手を、あ、あたしの胸に伸ばしてきた!?
ちょ、ちょっとどこ触ってんのよ!?

「・・・乃・・・やわらけえ・・・」

そ、そりゃそうでしょっ?
じゃなくてっ・・・あんっ・・・ど、どんな夢みてんのよっ!?
あたしは、兄貴の手をどけて、ベッドから出ようとした。

「・・・行かないで・・・乃・・・」

あーもうっ!ほんとにシスコンなんだから・・・

「今日だけだからね」

あたしは、兄貴の手をつかんで、もう一度ベッドに潜り込んだ。
ひさしぶりに触れた兄貴の手は、暖かくて、大きかった。




今は、午前4時35分。
もうすぐ夜が明ける。
今日は、アメリカからリアの来る日。
こいつを見せるために、あたしはリアを呼んだんだ。
リアからみて、あたしと兄貴はどういう風に見えるだろう。
いろいろと、胸の中に不安が渦巻いてくる。

でも、リアの目で、あたしたちを見て欲しい。
だって、リアはあたしの大切な妹だもの。
あたしの一番大切なもの―――
あたしの兄貴が、あたしにとってどれだけ大切か、知ってほしいんだ・・・

あたしは、そっと、兄貴を起こさないように、兄貴の部屋をぬけだした。



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最終更新:2011年01月31日 00:34