565 名前:借り物競争【SS】小ネタ[sage] 投稿日:2011/02/01(火) 23:43:05 ID:Bk8opI9O0 [15/16]

「昔はさ、足遅かったんだよね、あたし。でも……そのころ、超……っ、ムカつくことがあって……そんで、走る練習始めたの」
「意外……だな」
「だ、だよね。こういうのあたしのイメージじゃないしぃ」
「いや、確かに何でも完璧なお前のイメージからは想像できなかったけど、その意味じゃなくて」
「え?じゃあ何が意外だっての?」
「小学校の運動会。俺が6年のときだったかな。桐乃と一緒に1位取っただろ? だから当時、足遅かったなんて思えなくて」
「んなッ!? ああ、あんた、覚えてるの?あの時のこと……」
「今急に、ふとな。……確か借り物競争だったっけ? うん、ハッキリ思い出してきた」
「え、ま、待って」
「俺は親父たちと一緒に応援してて、そしたらそこにお前が真っ赤な顔で走ってきて、俺の手を引いて……」
「わ、わわわあッ!」
「何だよ? 俺はあの時ビックリしたんだぜ? 手を繋いで走り出したら、まるで二人一緒に風になったみたいに足が動いて、あっという間にゴールしちまったもんな」
「あ、あたしも、あんなに速く走れたの初めてだったし……ま、まぁまぁいい思い出かな! はい!この話オシマイ!」
「んで、あの時の『借り物』ってなんだったんだ?」
「だああああああああああああッ!!!」
「うわ、何いきなり大声出してんだよ!」
「うっさい! もう終わり!早く出てってよっ!」
「んな!? そのダンボールの中身見せるんじゃなかったのかよ? 見てやるからっ!」
「さ、触るなあっ!」
(ドタンッ・・・)
「いたたたた」
「いてて……ん?何だこりゃ、1等のワッペンと、封筒? 中身は……『一番大好きな人』???」
「見、あ、バ、このバカ兄貴いいいいいいいいいいッ!!!!!!!!!!」
「ゴハアァッッ!?!?」


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最終更新:2011年02月02日 18:23