212 名前:迷信を信じますか?【SS】[sage] 投稿日:2011/02/04(金) 23:44:03 ID:7nJ+stuyO [3/3]

「おい、桐乃!なんだあれは?」
「何って、アンタにはあれが何に見えたの?」
「・・・ひな人形だろ。」
「正解。アンタ目だけは何も問題ないみたいじゃん」
「問題なのは、ひな人形が、俺の部屋を占領しているところだ!!!」

俺の部屋に、豪華ひな人形5段飾りが置かれている。ちょうどベッドと窓のあいだの空間を埋め尽くしてる感じだ。

「立派なひな人形よね」
「立派なのは同意するが、なんで俺の部屋にあるんだ!!」
「他に飾れる場所がないからに決まってるでしょ」
「お前の部屋に飾ればいいだろ」
「寸法的に家具とかと当たって無理だったの!それに、それに・・・」
「なんだよ」
「・・・夜中に目が覚めたときに、人形と目があったら怖いじゃん」

まあ今更片付けろというのも何なので、ひな祭りの日までそのままにすることになった。
寝るときに電気を消すと、確かにひな壇から威圧感というか、何とも言えない雰囲気を感じる。
桐乃の言うことも無理のないことかもしれない。
(なんか最近、『女の子っぽく』なってきてるよな、あいつ)
気のせいかもしれないが、以前と比べて桐乃が見せる仕草に女の子らしさを感じるようになった。
(素直になれば、もっともっと可愛いくなるんだろうにな・・・
て、何考えてんだ俺は さあ寝よ寝よ)

そんなこんなでひな祭りの日を迎えた。
「これは、ひな人形を置かせて貰ったお礼だから」
そう言って、桐乃はひなあられを寄越した。
「ここであたしも、あられ食べてっていい?」
別に断る理由もないので、一緒にあられを食べることにした。
桐乃にしては珍しいことに、自分から甘酒ならぬジュースも持って来た。

「しかし何年ぶりだろうな、こうしてひな祭りを家でやるのは」
桐乃との関係が疎遠になる前は、
毎年普通に我が家ではひな祭りをやっていたものだった。
懐かしさが込み上げてくる。と、その感情をぶち壊すように
「このあられも、ホワイトデーのお返しの内容に含まれるんだからね」
まあ、そんなことを言ってくるのも、あいつらしいと言えばあいつらしい。

「今日までありがとね。黙ってひな人形飾ったのは、ゴメンなさい。
ひな人形はあたしがちゃんと片付けるから」

・・・と桐乃は確かに言ったのだが、ひな祭りの日が終わって数日たっても、
相変わらずひな人形は俺の部屋を占領したままでいる。
3日程たって、さすがに我慢できずに俺は桐乃に言った。
「いい加減ひな人形を片付けろよ」
「こっちも予定外にいろいろあって大変なの、ちゃんと片付けるから
もう少し待っててよ」
「あのなあ、自室にひな人形が居候してる身にもなってくれ。
それに桐乃、ひな人形って早く片付けないとよくないって慣習があるだろ」
「アンタ男のくせに何迷信じみたこと言ってんの?」
そう言い放って桐乃は部屋を去る。

(まあ確かに桐乃は迷信とか風習とかスルーしそうだよな。
やれやれ、上手く片付けさせる口実になると思ったのに、甘かったか)

※※※
『祭りの日が終わった後も雛人形を片付けずにいると結婚が遅れる、
嫁の貰い手もあらわれない』



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最終更新:2011年02月06日 02:23