59 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/02/17(木) 18:41:31 ID:Kr3bCyZT0 [2/4]

―――俺の妹がバカで困る―――



「桐乃………今日という今日こそは白黒つけてやるぞ!」
「何よ、あたしが帰ってくるなり逆ギレ?あんた何考えてんの?」

俺はいつに無く怒っていた。
日ごろから、こいつの横暴に耐え、無理難題でも聞いてやってる俺なのだが、
今日は、どうしても、こいつを問い詰めてやらないと気がすまねぇ。

「おまえっ!俺のパンツをどこにやりやがった!?」
「!”?な”!?な、なな、な、何っ、言ってんのよっ!?」
「以前から、俺のパンツが時折減っている事は気付いてた………
 だがっ!今日は何だっ!?昨日8つ有ったものが全く残ってないじゃねーかっ!」
「そっ、それでっ?あ、あたしが盗ったって証拠はっ!?」
「………盗ったって自覚はあるんだな?」
「あっ!………………あ、あたしっ、兄貴のパンツなんて使ってないもんっ!」
「使う………だと?」
「くんかくんかなんてしてないもんっ!」

こ、こいつ、俺のパンツを盗んでただけじゃなく、
黒猫の漫画のとおり、本当にくんかくんかしてやがっただとっ!?

「お、お、おまえっ、俺のパンツ、嗅いでるの?」
「なっ………なんでっ、わかるのっ!?」
「いや、おまえが、言ってるじゃん?」
「………………………」

桐乃は急に落ち込んだ様子で、床にへたり込んでしまった。
ま、まあ、原因は桐乃とはいえ、俺もちょっと強く追及しすぎたか?

「そのー………な?」
「………………おかしいと、思う?」

以前にも聞いた事があるセリフだ。
あの時とは違い、今回は明らかにおかしい。おかしいんだが………

「いやっ?おっ、おかしくないんじゃねっ?」
「そっ、そう!?ほんとっ!?………そう、思う?………………ほんとに?」
「い、言ったよな?おまえがどんな………趣味持ってようが、バカにしたりしねえって。」
「うん、うんっ!そ、そうだったよねっ!?」

桐乃は急に機嫌がよくなり、顔もぱぁっと、まるで輝きだしたように見える。
こいつも、いつもこんな感じで笑ってれば可愛いんだがなー

だが―――
やはり、色々と突っ込むべき所は突っ込むべきだろうな?
………いいのか?言っちゃっていいのか、俺?

「そ、それにしても、おまえ、どうして俺のパンツなんて嗅いでんの?」
「えっ」

さっきまで輝いていた桐乃の表情が急にしぼみ、かわって戸惑いがあらわれる。
いきなり突っ込みどころ間違えたか!?

「桐乃、すまん、言いたくなければ―――」
「あ、兄貴のパンツって凄いんだよ?」

な………に?

「兄貴のパンツを抱き枕に詰めて、体をこすりつけながら匂いを嗅ぐと、
 体が空に浮かんでいくみたいで、すっごくいい気持ちになるの。
 でも、これは結構ハードなプレイだから、初心者にはおすすめしない。」

んなこた聞いてねえよ!?大体なんだ初心者って!?おまえはプロか?プロなのかっ!?
やばい………何か………開けてはならない箱を開けてしまった気がする………

「初心者向けは、コレっ!
 普通に深呼吸する要領で、パンツの匂いをしっかりとお腹の中まで染み渡らせるのっ!」

な、なんなんだっ!?この異常空間はっ!?
お、俺の今はいているパンツまで、暗黒物質のように思えてきたぜ!?
もう既にグロッキーな俺に対して、知ってか知らずか、桐乃は追撃を繰り出してくる。

「特にねっ、匂いを逃がさないように、部屋を閉め切るのは当然だけど、
 ベッドの中に匂いを閉じ込めたりっ、上級者だと裏側にラップをかけて、
 しっかりと匂いを閉じ込めたりする工夫をするのっ!」

誰か助けてください
てか、おまえ、むちゃくちゃ楽しそうなのな
………俺は死にそうだけど………

「で、どう?」
「ど、どうとは?」
「感想。あたしのヒミツの趣味を知った。」
「か、感想?」

ど、どう言えっての!?
エロゲみたいに沢山の人がプレイしてるものならともかくっ!?

「………やっぱり、こういう趣味………おかしいのかな?」
「………いや、そんなことは………ないぞ」

もう、おかしいとかおかしくないとか、そんな次元を超越してるぞ、おまえ
そ、それより、早く開放してくんねえかな。
もう、今日のこと、全て忘れてしまいたいんだが………

「そ、それじゃ、人生っ………相談っ………」
「なっ!………………………なん………だってっ?」
「人生相談があるのっ!」

再びこのセリフを聞くことになるとは………
俺の頭の片隅で、警報装置が甲高く怒鳴りたててる
『聞いちゃダメだ、聞いちゃダメだ、聞いちゃダメだ』ってな

「い、言ってみろよっ!?」

なのに、なんで聞いちゃうかなー!?俺っ!?

「う、うん………………………」
「………………………………な、なに―――」
「あんた………パンツ嗅いでよ」

ブフォッ!?

「おま、おまっ、おまえっ!?俺になにさせる気だっ!?」

キレていい。いま、俺は絶対キレていい。

「だからぁ、パンツ、嗅いでってば」
「おまえっ、どこの世界に、自分のパンツ嗅ぐ変態がいるんだよっ!?」
「あんた」
「無理っ!自分のパンツの匂いを嗅ぐとかっ!死んでも無理っ!」
「はぁ………あんた、そんなに自分のパンツ嗅ぎたくないの?」
「あたりめーだっ!てめぇ、さすがにキレるぞっ!?」
「あーはいはい。ったく、わがままばっか言うんだから………」

助かった………とりあえず、諦めてくれたか?
そう思って一安心した俺をよそに、桐乃はすっと立ち上がって手を制服のスカートの中に入れ―――

「な、な、俺の前でなにしやがるっ!?」
「ちょっと、いきなり大声出さないでよ。びっくりするじゃん」
「す、すまんかった………じゃなくって!?」
「何よ、言いたい事あるならはっきり言えば?」
「………な、何を、してやがる………んですか?」
「あんたが、自分のパンツイヤだってわがまま言うから、仕方ないじゃん。」

そう言ってる間にも、桐乃は自分のパンツを脱いで、俺に差し出してくる。
こんな状況下でも、中身を見せないよう器用に脱ぐのはさすがJCだと感心し―――
いや、どうも、頭がショートして、まっとうに物を考えられないらしいな?
決して覗こうとか、そんなこと考えてなかったからな?

「こ、このパンツを、俺にどうしろとっ!?」
「だぁ〜かぁ〜らぁ〜。嗅いでっていってるでしょ?」
「お、おまえの、ぱ、ぱ、パンツをか!?」
「パンツパンツって何度も言うなっ!は、恥ずかしいでしょ?さっさと嗅いでよっ!」

なんで?なんで、俺、妹のパンツ嗅がなきゃいけねーの?
俺の人生、いったいどうなってるの?………つーか、心理的抵抗とか、それ以前の問題だろっ!?

「………やっぱ、バカにしてんじゃん」
「な、何が?」
「結局………口だけなんでしょ。………あたしのことも、心ん中では変な子だって思ってるんでしょ………」

そんな悲しそうな顔すんなよ。
そんな顔されたら、おまえのお願い、聞いてやらなきゃいけなくなるじゃないか………

「桐乃、貸してみろ。」
「えっ?………う、うん。」

俺は桐乃の手からパンツを受け取り―――おいおい、正気か?俺―――
鼻の所までもってきて―――おーい?俺の理性さーん?どこいったー?―――
桐乃に言われたとおり、深呼吸の要領で、しっかり息を吸い込んだ

「………おっ?」

鼻から感じられてきた匂いは、予想していた匂いとは全然違って、
ほんのり甘みのあるアンモニア臭に加えて、なんて言うんだろう、こう―――
桐乃の真っ赤なほっぺから零れ落ちたさくらんぼの匂いと、
ふくよかな二つの膨らみから漏れるミルクの匂い、
それに、引き締まった、でもその存在を主張しているお尻の桃の匂い
―――そんな、匂いがしてきた。
それに、いまここにパンツがあるってことは………桐乃はパンツはいてないっ!
なんか、お花畑も見えてきたなー、楽しいなー、このままここにー
………あれっ?おっかしーなー?なんか、忘れてるよーな?

「………………ハッ!?」
「あんた、重度の匂いフェチね。いくら、あ、あたしのパンツだからって………」
「………………念のため、聞いておくが、どれくらい………嗅いでた?」
「………………15分………………」
「………………………………………」

うぉぉおぉっ!?お、俺っ!?なんつーことをっ!?
妹の!?目の前で!?妹のパンツで昇天しかけたっ!?
や、やばい、俺は、どこかの哲学者の言うとおり、入ってはいけない領域に踏み込みすぎてるようだ………
つか、恥ずかしすぎるだろっ!?
妹の目の前で、妹のパンツに必死に顔をうずめてる兄の姿とかっ!?

「で?」
「………は?」
「それで、どうだったの?」

し、正直に、答えるっ、べき、なんだろう、な?

「す、すごかった」
「………それで?具体的に?」
「なんか、気持ちよくなって、空に上って、お花畑が見えた………」
「………………………………」

い、言っちゃったよ?俺?
いいのっ?良かったの?これ、死亡フラグじゃないよね!?

「………ま、まぁ………ちょっとは分かってきたじゃない」

と、とりあえず、桐乃は嬉しそうだし?コレで………よかった………んだよな?
つか、もう、終わりにしてくれっ!恥ずかしさで死んじまうよっ!?

「で、でも、まだまだね。ほかにも、いろんないいとこがあるんだからね。」
「わ、わかった。で、でも、今日は、これで終わりに………してくれっ!」
「………仕方ないから、あんたの言うとおりにしてあげるケド………」

な、なんだ、まだ何かあるのか?
も、もうっ、自分でも涙目ってわかるぞっ!

「………これからも、あんたのパンツ、貰うからね。」

………………………………マジで?
あまりの絶望に、俺は涙があふれちゃいそうなのだが………
拒否………できるわけない………よな。

「それと―――」

そんな俺に、桐乃は照れくさそうにしながら。

「ありがとね、京介」

はっきりと、そう言った。
いくらなんでもありえねえだろ?
あんな、無茶な事ばかり言ってくる、俺の妹が、
俺の妹が―――



俺の妹がこんなに可愛いわけがない

107 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/02/18(金) 00:08:58 ID:4QUHPsAP0




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年05月01日 22:33