611 名前:美味しい料理の作り方【SS】[sage] 投稿日:2011/02/21(月) 01:23:22.26 ID:FqxjPPlDO [1/3]
桐乃というより佳乃さん話
※※※
今日はお母さんと二人、評判のランチビュッフェの為にホテルに来ている。

「ねえお母さん、どうして、あたしと兄貴の仲を認めてくれたの」
「そうねえ、まあ何と言うか、『恋しちゃったら仕方ない』って感じかしら。
桐乃と京介を見てると、外野がとやかく言ってももうどうにもならない、
それならあなたたちの責任でしっかりやりなさい、そんなところね」
「それって、諦めの境地ってヤツ?」
「どうでしょうね。ただ二人の関係を純粋に恋愛関係で捉えたら、私にも思い当たることがあるしね」
「それって、お母さんとお父さんのこと?」
「そう」
「聞かせて、二人の話を」
「娘に素敵なランチをご馳走になってることだし、話しましょうか」


「お父さん……大介さんのことを、私は最初はあまり好きじゃなかったのよね」
やはりアプローチをかけてきたのはお父さんのほうからだったみたいだ。
「自分で言うのもなんだけど、学生当時私はモテてたしね。
個々の要素で言えば、
大介さんよりいいなと思ってた人は何人かいた…」
「でも、最終的には、お父さんを選んだんだよね」
「そう、大介さんが他の人と違ってた点、それは、あの人がどこまでも愚直なところだった……」


ある時、お母さんがお父さんも含めた面子に手料理を振る舞う機会があったという。
「私は実は料理が下手くそだったのよ」
なるほど、あたしの料理下手はお母さんの遺伝なのかもね

「で、美味しくない料理を出された男性たちは、
それでもあれこれフォローしたりお世辞を言ったりしてくれたんだけど、
中に一人だけ、まずいものはまずいとストレートに言った人がいてね」
「それがお父さんなんだ」
「そう。それで私たちは口喧嘩になっちゃって。
でも、多分その頃既に大介さんのことを好きになりかけてたんでしょうね。
どうしたらあの人に認めて貰える美味しい料理を作れるか、そんなことばかり考えるようになってたわ」

お母さんはそれから何回もお父さんに手料理を出したという。
出すほうが出すほうなら、毎回食べるほうも食べるほうだ。それって、もう立派な夫婦じゃん。
とにかく、何回目かに出したカレーライスを、ようやくお父さんは褒めた。

「『これなら誰が食べても美味いっていう。俺は、佳乃さんのカレーを毎日3食でも食べたい』
って、大介さんが顔を赤くしながら、そう言ったのを
私は今でもしっかり覚えてるわ。」
「それって……」
「その言葉によろめいちゃったのよね。
だから桐乃、あなたもこれから料理の腕は磨いたほうがいいわよ。
正直、桐乃は料理についてはうんと精進が必要ね。
料理も愛の形の一つだからね」
「上手くなれるかな、あたしなんかでも」
「もちろん。料理下手から上手くなった私が断言するわ。
まあ、私も教えてあげられることはいろいろあるだろうけど、それ以上に、
『大好きな京介に美味しい料理を食べてもらいたい』そう思えばきっと上手になるわよ♪」
「もうやだお母さんたら」
「まあ、頑張りなさいよ。私も、できる限り二人を応援するわ。」
「ありがとう、お母さん」
「今度は私が桐乃に、京介のどこに惚れたのかを聞く番だからね♪」
「えっ……それは……」
「あらまあ顔真っ赤にしちゃって。どんな話が出てくるか楽しみだわ♪」
「もう、お母さんったら……」



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最終更新:2011年02月22日 00:50