77 名前:5巻アナザー【SS】[sage] 投稿日:2011/02/22(火) 23:58:58.96 ID:lppXCX0v0 [2/3]
5巻4章で京介が桐乃を連れ戻すシーンの暴走妄想SS
俺はクリックする指を止め−
「一緒に帰ろうぜ」
「え…?」
俺は桐乃にそう提案した。
俺がここに来た元々の理由は、桐乃を日本に連れ戻す為だ。
友人・知人に一切知らせず、誰でもいいから1人に勝つまでは絶対に連絡を入れない…という縛りを設けても勝てず、終には体調を崩して…。
お前は頑張った。
充分過ぎるぐらい頑張った。
だからもう頑張らなくてもいい。
胸を張って帰ろう。
俺は桐乃にそう伝えた。
しかし…
「あたしは絶対に帰らない! みんなにでかい口を叩いてここまで来たのに…結果が伴わなくて…体調崩したから帰ってきた…なんて…そんな事が出来るワケないでしょ!!」
桐乃は涙を浮かべて猛抗議をしてきた。
「一番年下の子にも負けっぱなしで…尻尾巻いて逃げ帰るなんて…今まであたしが勝ってきた人たちに、どう謝ればいいのよ!!」
「桐乃、今のお前は焦り過ぎだ。 行き過ぎだ。 一旦戻って、休んで、体調を戻して、実力付けて、それからもう一度勝負するという選択肢があるじゃねーか! お前はまだ15なんだ! まだまだやり直しがきく年だ! いまここで無茶をして取り返しのつかない事になったらどうするんだ!!」
「くどい! あたしは絶対に帰らない!!」
「この…!」
もう桐乃には俺の言葉は届かない。
いくら言っても無駄だろう…そう判断した俺は、強硬手段に出る事にした。
「きゃ…!?」
俺は桐乃の両肩を掴み、正面から目を合わせ、そして…
「お前の事が心配なんだよ!!」
そう叫んだ。
そしてそのまま…
「………!?」
強引に…桐乃の唇を塞いだ。
そしてすぐに口を離してそのままベッドに押し倒し、俺は桐乃に懇願した。
「いつからかは忘れた。 俺は…本当に、お前の事が好きなんだ…愛していると言ってもいい。 お前がこれだけ苦しんでいるのに…心配にならないワケがないだろうが!!」
俺の瞳から水滴がポタ…ポタ…と桐乃の頬を濡らしていく。
いつの間にかマジ泣きが入っちまったらしい…。
「なあ…桐乃…。 俺と…日本に帰ろう…」
桐乃は黙って俺の目を見つめた。
そして…
「…やっと…言ってくれたね、兄貴…」
そのまま俺の頭を両手で抱いて引き寄せ、俺の唇を塞ぎ返してきた。
桐乃が唇を離すと、そのままポツリポツリと、口を開いた。
「あたしが留学を決めた理由の一つにさ…兄貴の存在があった…」
桐乃は俺を抱きしめたまま、説明を続けて行く。
「最初の人生相談でさ、お父さんを説得してくれてから…あたし、あんたの事が…好きになった…。 だけど…あたしたちは兄妹だから…このままどんどん好きになって苦しむくらいなら、いっそ黙って離れた方がいいかな…って…思ったんだ…」
「桐乃…」
「1年間の留学期間でずっと離れ離れになったら、諦められるかなって…」
桐乃の瞳から…涙が零れ落ちた…。
「でも…もうだめ…。 兄貴がアメリカまであたしを迎えに来てくれて…あたし…もう…この気持ちを抑えきれない…」
桐乃の口から嗚咽が漏れ始め…俺は…抱かれたまま桐乃の髪の毛を撫でてやり、気持ちを落ち着かせるように、ゆっくりとあやした…。
「兄貴…あたしも…あたしも兄貴が好き…。 愛してる…」
桐乃の告白…。
俺は桐乃の気持ちが嬉しくなり、再び…桐乃の唇を塞いだ…。
翌日。
桐乃と一夜を過ごした俺は、少しずつ桐乃の荷物を片付けていた。
俺が眼を覚ますと桐乃は既に起床していて、すっきりしたような晴れやかな顔を俺に向けてくれた。
そしてその時、にこやかにこう言ってくれた。
「あたし、兄貴と一緒なら…帰国してもいいよ」
その桐乃は『ちょっと行くトコあるから』と5分ぐらい前に部屋を離れた。
多分、帰国の手続きを行ったんだろう。
それから数分で桐乃は部屋に戻ってきた。
「お待たせ。 さ、日本に帰ろっか」
そして桐乃はそのまま俺に抱きつき…笑顔でこう言ってくれた。
「お兄ちゃん、愛してる」
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最終更新:2011年02月25日 01:08