709 名前:仲直り【SS】[sage] 投稿日:2011/02/26(土) 23:30:27.64 ID:avqW4n7mO [3/3]
久しぶりにバカップルの姿でも見ておこうかと、天気のいい日曜日、私は高坂家に向かった。

私を出迎えたのは、あの二人の愛の結晶である兄妹たち。しかし、いつもと感じが違う。
「二人とも、元気がないじゃない。パパとママはどうしたの?」
「黒猫のお姉ちゃん、あのね、パパとママ、けんかしちゃったの」
妹の京(みやこ)ちゃんが今にも泣き出しそうな目で私を見つめてくる。
「それは大変ね。桐(とう)くんなら、喧嘩の理由が分かるかしら?」
「うん、なんとなく」
流石はお兄さん、というか、あるいは子供にでも分かる単純な理由か……
とにかく、この状況を放ってはおけない。
「あなたたち、聞こえてるかしら。子供達をしばらく借りていくわよ」
そう言うと、私は二人を連れて近所のレストランへ向かった。

※※※
「今日は運動会だったのね。これは頑張った二人への私からのご褒美よ。
さあ、召し上がりなさいな」
ケーキとジュースのおかげで、京ちゃんは大分笑顔を取り戻したようだ。
「さて、桐くん。私に学校でのパパとママの出来事を詳しく聞かせてくれるかしら?」
「うん、実は……」

桐くんが話した内容は、大体は私が予想してた範囲内の出来事だった。
懐かしいワードで説明すると

「父兄参加の競技で活躍する兄さんの姿によその若奥様方から歓声があがって、
ついつい兄さんがデレデレしてしまった事にあのビッチが過剰反応した」
まあ、こんなところかしら。

しかし、いくらバカップルなら仲直りは容易だろうと、子供達に心配をかけさせるのは感心できない。
私は、「喧嘩するほど仲がいい」という言葉があって、
あなたたちのパパとママはまさにその言葉がピッタリなのだと。
だからすぐに仲直りできるから安心しなさいな、と説明した。
そして二人に、仲直りするための秘密の呪文を授けた。
微笑みながら手をふる子供達を見送り、私は家に戻る。

※※※
効果は覿面だったらしく、すぐにバカップルから私の元に感謝の電話がかかってきた。

「黒猫、心配かけてすまなかったな。だがな、息子にあの話をしなくてもよかったんじゃないか?」
「あら、あなたの息子さんが、何を話したのかしら?」
「いきなり『パパはママと仲直りしないと寂しくて死んじゃうかもしれないんだから、
早く仲直りしてよ』って言われたぞ」
「それはそれは♪」
「じゃあ、桐乃に代わるぞ」
「お久しぶり。今日は随分と元気にしてたようね」
「…アンタ、娘になんてこと話してくれたのよ!」
「娘さんが何と言ったのか、よかったら聞かせて貰えないかしら♪」
「…『ママ、兄パンクンカして落ち着いたら、パパと仲直りしてね』って…」
「母親想いのいい娘さんじゃないの、羨ましいわ」
「ぐぬぬ……」
「これに懲りたら、可愛い子供達を心配させるような喧嘩は控えることね」
「わかったわよ。ところで、あんたに今回のお礼をしたいから
改めて我が家に来なさいよね!」
「あら、どんなご馳走が待ってるのかしら」
「それは来てからのお楽しみ。あと最後に、
ホント、ありがとね。家族みんなを代表して、あんたへの感謝の気持ち。じゃあ」


私が千葉の堕天聖なら、あの兄妹はさしずめチバカップルといったところね。
大人になってもこうした関係が続くなんて、運命とは面白いもの。
この先どんな出来事が待ち構えているかしら……



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最終更新:2011年02月28日 01:02