35 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/12/06(月) 00:57:06 ID:tvYg+P1SP [2/3]
あいつにアメリカ留学の話したケド「頑張ってこい」だってサ!
留学を止めてくれる素振りもないよ……
あたしがいなくなっても寂しくないのかな?
あいつにとって、あたしなんて、そんなものなんかな…
ヤバッ!涙が出てきちゃった、どうしよう、あいつに見られちゃう!部屋から出なきゃ!
あたしは乱暴にドアを開けて部屋から走り出した。
「おい、桐乃!どうしたんだ!」
あいつの声がしたけど、どうでもいいや。今は涙を見せない事が優先。
そんじゃないとさ、あいつが思ってる「高坂桐乃」じゃなくなっちゃうし。
あたしは全速力で玄関に走ってパンプスを引っ掛けて、外へ飛び出した。
10分くらい走っただろうか…あたしは真っ暗になった商店街にいた。
「あれ、雨、降ってたんだ…… 涙、隠してくれるから丁度いいカモ」
真っ暗な空を見上げたあたしの顔を雨がぬらしていく。
ヤダ、また涙が溢れてきちゃった。
「……あいつ、あたしがアメリカに行くの止めてくれなかったよ……」
ポツリと漏らした独り言は空しく風に流されて消えていく。
「あたしはあいつと一緒にいたい……でも、あいつにとってのあたしは……」
「うっ……くっ……」
ダメだよ。涙が溢れてくる。
これは賭だったんだ……あたしにとっては人生を決める賭け。
あいつが留学を止めてくれたら、「お前がいなくなると寂しい」って言ってくれたら…
あたしは…今度こそ素直になって、甘えて、あいつに尽くして、そして「好き」って言おうと思ってたのに…
でも、あいつは止めてくれなかった。 
……もう、自分が決めた道に従うしかない。賭けの敗者はそのペナルティーを受けなければ。
「あいつを、忘れなきゃ、か……」
これが、この賭けのルール。 言霊を乗せた絶対に破ってはいけないルール。
アハ、涙が止まらないよ。止まらないであふれてくるよ。
……今日は、もう少し泣いてもいいよね。



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最終更新:2010年12月30日 17:09