537 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/12/11(土) 15:14:33 ID:FL7/GobT0 [4/4]
「相変わらずここはすげーな、俺はやっぱ落ち着かん」
「うるさいわね……あんたがキョドってると、あたしの方まで恥ずかしいから近寄らないで。
「だいたい頼んできたのあんたでしょ? 『どうしようもなく惨めでダサい服しか持っていない私をお助け下さい』って」
「記憶を捏造すんなよ!?  確かに頼んだのは俺だけど……てかここやっぱどれも高いな」
「そうかな、レディースに比べたら、メンズは安いよ?」
「ふうん……そんなもんか。あ、これとかどうだ?」
 手近にあった服を1着取ってみる。色こそ地味だが、周りの奴らがこんな雰囲気の服を着てるし……アリじゃね?
「論外」
「バッサリだな! 流行っぽいのに……」
「流行ってるって言っても、みんなが着るようになったらもう終わり。……あ、これちょっと着てみて」
「ん……ちょっと派手じゃないか?」
「あんたみたいな地味なのは、それくらいの方が良いのよ……ほら、こっちのジャケットとか」
「この暑いのに?」
「…… まさかと思うけど、今更夏物を買おうと思ってたワケ?」
「え……だ、駄目?」
 ため息つかれたっ! な、なんか……怒りでも……諦観でもない……憐れまれている気がするぜ……っ!
「……合わせるの見てくるから、ちょっと持ってて」
「あ、ああ……」
 鏡の前で所在を無くした俺を放置したまま、桐乃がシャツやらを色々と選んでいる。情けない話だが……置いて行かれた幼子のようで、ものすごく心細い。
「ほら、これ……試着室はあっち。早く着てきて」
 ……なんかサイズ小さくないか? ……あ、合ってる……今の服って細身だな。 ……ごそごそ
「できた?」
「ちょ、おいっ! 覗くなよ!」
「いいじゃない、別に減るもんじゃなし。つかあんたの貧相な体見てもなんにも嬉しくないし」
「良くねえよ!? おまえは見られても平気なの!?」
 うあ、リアが来たときのこと思い出しちゃったじゃねえか! ……ったく、つか、なんでおまえが赤くなってるんだよ!
「な……何思い出してんのよ……まさかあんた……」
「ないから!」
「……まあいいわ、そのまま後ろ向いて」
「……? おう」
 言われるままに後ろを向く。つーか二人で入ると狭いなぁ…… 「むぎゅ」 ん……っておい!
「いや……き、桐乃……さん?」
 お……思わず妹をさん付けで呼んじゃったぜ……だが……今、俺の妹がやっている行為を見れば、俺の驚きを諸君にも分かっていただけるはずだ……。
なぜなら……桐乃が、この狭い試着室の中で……俺に後ろから抱きついているっッ!! ……あ、有り得んっ!!
「なっ……なに暴れてんのよ!!」
「い……いや、その、俺を後ろから抱きついてるのっておまえだよな!?」
「違うっ! 胸囲を測ってただけなのに変な誤解すんなっ!」
「へ……きょ、きょうい?」
「……な……なんだと思ったのよ、あんた……」
 つうか背中に、なんか当たってんだよバカ! おまえ、い……意外と……。
「意外とあるのね」
「おぅえっ!?」
「……何……?」
 ……なんでそんな真っ赤な顔でこっち見るんだよ……もう勘弁してくれっ!



-------------

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年12月30日 17:31