馬場さんの優雅なニート生活

※死ぬほどキャラ崩壊です。


第一話:優雅!馬場信春!

雪が振る、平和な街だった。
松明が明かりを照らし、幻想的な空間となっていた。
その街の幻想、無頼者によって一瞬で砕かれる。

「女を出しなさいー!!酒もよ!!」
寝静まった街に、一人の人間が叫びながら飛び込んでくる。
警備の兵二人はとっさにそいつに立ち向かおうとするが、一太刀で一人蹴散らされる。
そして二太刀目でもう一人の兵も切り伏せられ、街は一瞬で「狩場」となった。
「さぁて、この街にはどんな美少女がいるかしら!」
漆黒の髪を結った男装の美少女剣士が、切り裂いた兵を蹴飛ばしながら嬉しそうに言う。
彼女の名前は絶姫。
かの上杉謙信を追いかける為に男装したのはいいが、心まで男のそれに染まってしまったらしく、今では女狂いのゴロツキに過ぎない。
そんな彼女を街の中に入れる事は、街から処女が消える事を意味する。

だが、悪と言うものは決して、正義には勝てない。
そう、この街にはいるのだ。 「正義」が


「とうっ!!!」
西洋の突剣の一撃が、絶姫を襲う。
今から女の子を○○しちゃうぞーモードだった彼女は完全に虚を付かれた状態となり、派手に吹っ飛ぶ。
「っ! …たた、一体何よ!」
吹っ飛ばされた絶姫は文句を言いながら起き上がり…そして、絶句した。絶姫だけに。

「我が名は馬場信春! 人呼んで「不死身の鬼美濃」!!
この優雅なレイピアの錆になりたいのなら!!掛かって来い!!!」

大物だ。
「一国の太守の器量人」とまで賞賛された、不死身の鬼美濃。
馬場信春… その名前を聞いただけで、下手な人間は震え上がり、勝負にならないだろう。
無論、絶姫も賊になってから彼の名前は聞いている。しかし、彼女が絶句した理由は、名前を聞いたからでも
それこそ、絶姫だからでもない。

馬場信春の背格好が、明らかに「場違い」だからだ。
別の言葉を借りるなら、「ダンディ」「ナイスミドル」 …もしくは「意味不明」だろうか。
下手な女性なら一瞬で魅了されるだろう。

「とうっ!!」
そんな彼女に再びレイピアの一撃。その攻撃を反射的にかわし、絶姫は我に帰る。
しかし、なんと形容していいかわからないおっさんが突然現れて冷静に戦える筈はない。
「…ああもう!! 用事を思い出した! 急がなきゃ急がなきゃ!!」
そして悪は、すたこらさっさと逃げ出した。
馬場信春は、たった二回の攻撃で、この街の平和を救ったのであった。
「不死身の鬼美濃とは、ダンディでなければならない!!」
馬場信春は……皆寝静まっている夜中にも関わらず、大きな声で勝ち鬨を上げた。
彼が武田信玄に仕えて前線に出なくなってから、今日で1年が過ぎようとしていた。



第二話:華麗!馬場信春!

「今日も不死身の鬼美濃が、賊を追っ払ったらしいぞ!」
「不死身の鬼美濃がいれば、この国は安泰だ」
「できれば戦いに出ずに、ずっとここにいてくれればいいのにねえ……」

人々の声を聞きながら、馬場信春はベランダでワインを嗜んでいた。
彼の家は、無駄に洋風で凄く目立つ。
女中や小姓にも洋服を着せ、食事も洋風という徹底ぶりだ。
どこか浮いた雰囲気の家だが、しかし馬場信春という男が住む家と言えば、誰もが皆納得する。
それがダンディな馬場信春に許された特権だ。

ワインは美味しく、ウィンナーも美味。
だが、彼は一つだけ不服な事があった。
街を歩いている少年を見ていると湧き出る「それ」を、抑えることができないのだ。
「おっといけない、また股間が膨らんでしまったよ」
明らかなエロ発言だが、しかし馬場が言うとそれすらも味のある台詞になる。
これが木曾義昌とかならこうはいかないだろう。ファンの方ごめんなさい。というか本人さんごめんなさい。

そんな彼に、朗報が入った。
織田軍を追い出された兵隊崩れが、近くの山…武田の領地に、布陣しているというのだ。
彼らの目的は不明だが、動くとすれば、武田信玄の首を取るために動くだろう。
それが可能か不可能かはともかく、敵の領地で延々と戦い続けるよりかは、まだ勝算があるし、
頭を取ってしまえばそれをもって織田に帰る事もできるし、逆に織田に対抗する領地を得ることもできる。
それに敵は兵隊崩れとはいえ、武田軍の領地に堂々と布陣できる奴らだ。
無敵の武田軍が負けるとは俄かに信じられないが、戦えば軍に損傷が出る事は明らかだ。
「ここはこの馬場信春が、優雅かつ華麗に信玄様を助けにいきますぞ!!」
そして彼は食パンを加えて、一人山に向かっていくのだった。


因みに誰ともぶつからなかった。


「ふふふ…ここから私の新たな生活が始まるんだね…」
一見しただけでは美少女に見える少年が、山の上から呟く。
彼の名前は織田信勝。 …織田信長の実のいもう…じゃなくて弟なのだが、その信長と喧嘩をして、領地を追われた。
織田の領地内では彼は暗殺された事になっているが、しかし事実彼は生きている。
だが、彼はそのままでは織田の地に戻る事はできないだろう。
「だからこそ名のある武将の首を取り、それを手土産に国に帰り
…そして兄上とまた……。」
「そうはいかぬな!!」
うっとりとしている信勝に、例のレイピアが襲いかかる。
だが、信勝も見た目は華奢だが歴戦を生き延びた武士だ。彼は咄嗟に火縄銃でレイピアを抑え、方向をそらす。
レイピアを抑えた火縄銃はすぐさま捨て、腰から小銃を取り……
「何者だ! …とは問う必要はないな!」
撃ち込む。脳天だ。
レイピアの主が後ろに仰け反り、ここで信勝は始めて敵の正体を知る。
そして、無邪気な笑顔を浮かべる。 私が打ち取ったのは、あの不死身の鬼美濃だ!
ぜんぜん戦場で見ないけど、顔だけは知っている。 しかし名のある武将である事には間違いない。
そして、それを撃ち殺したのも間違いのない……筈だった。
「むぅん!!!!」
その声で、脳天に打ち込まれたはずの銃弾が、勢い良く弾け飛ぶ。
そして馬場信春は何事も無かったかのように、再びそこに立つ。
「……あ、ああ……。」
「ふははは、武器に拘らず敵の急所を狙う戦術、見事だね。
だが、不死身の鬼美濃に対しては下策…いや、愚策の域だな。」
そして信勝は、今自分が置かれている立場を把握する。
彼がここにいると言う事は…恐らく、配下の兵達は役に立たないだろう。次に役に立つ時は地獄に落ちた時か。
信勝は認めたくなかったが、しかし一度負けた経験が、彼を冷静にした。
「……好きにしろ」
どうせ織田には戻れない。 自分の居場所なんか最初から無かったのだ。
ならばせめて、馬場信春という……見た目はあれだが、名の知れた武将に討ち取られよう。
地獄の土産話にはなるだろう。
信勝は銃を捨て…ようとした。
だが、馬場は彼の「好きにしろ」発言を、殺せという意味には受け取らなかった。
大きなおっさんが、小さな少年を押し倒す
「……っ!!」
信勝は何かを叫ぼうとするが、しかし声を出す間も無く、服を破られる。
「君みたいな美しい男は、私の薔薇の花を咲かせるに相応しい。
さあ、しゃぶるがいい!!」



そしてこの日、雪の白と血の赤が交じり合うその山で、一輪の薔薇が咲いた。
女に見える薔薇と、海外の薔薇が、華麗に咲き乱れた。



第三話:衝撃!馬場信春!

馬場信春は強い。
しかし、それ以上に強く、将来有望な若者が、武田軍には多い。
だから彼が戦に呼ばれることは、少ない。
「暇ですね」
馬場の小姓にされた信勝が、皮肉たっぷりに言い放つ。
この前精神が崩壊するまでに犯しまくったというのに、それでも強気な態度を取るのは、やはり彼も織田の血筋か。
だが馬場はそんな彼を心の中で褒めつつも、口に出すのは別の言葉だ。
「信勝君! 私に暇はないのだよ!
いつ信玄様に呼び出されてもいいように日々鍛錬と武器防具の手入れを―」
「いや…その信玄様自体ひまそーにしてるじゃないですか。
どちらかというと一条さんとか忍者とか槍弾正が出ている状態で」
耳が痛い。
しかし彼がそんな小言を言えば言うほど、馬場が信勝の穴に槍を突き立てる理由ができるから、あえて反論はしない。
因みにその槍とは無論、武器の槍ではない。ある意味では男の武器だが。

そんな二人の様子を、忍者顔負けの隠密術で見守る少女がいた。
お鍋の方。 織田信長の側室であり、同時に男性同士の性行為を見る事に快楽を覚える変態娘だ。
(まさか信勝様の様子を見に来たらこんな事になってるなんて……)
敵方の人間の小姓にされる。それ即ち、性行為される。
それがお鍋の方…というか織田家の常識だった。 唯一常識から外れるのはあの猿だが、良く夫に襲われているので別に良い。
(ああ!!信勝様ったらまぁた皮肉ぶった事を! レイプされるかもしれないのというか早くされろ!!)

お鍋の方の願いは、案外早く叶う事となった。
「さて信勝君。今日君が私に言った悪口は38だ!
つまり、私は君に38回射精できると言う事なのだよ!!」
そして馬場は、有無も言わさず信勝を脱がし、押し倒し…叫ぶ彼に立派な槍を押し付ける。
(ああ!!そんな昼間からチャンバラするなんて!!ダンディとショタが!! ダンディとショタが!!
いけない! 早く突っ込んでそのジェットランスを!! バコバコに、バコバコにいい!!!)
既に興奮状態のお鍋の方。
彼女が近くに住居を構える事は、そう遠くない未来の事である。


馬場信春。
不死身の鬼美濃と呼ばれる、ダンディでナイスミドルな叔父さん。
彼が武田信玄に仕えて前線に出なくなってから、今日で1年と3ヶ月が過ぎようとしていた……。

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最終更新:2010年12月15日 21:42
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