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**現在位置~Fly! You can be Free Bird~ ◆hqLsjDR84w
◇ ◇ ◇
「だいぶ今さらやけど、温泉ちゅーのは身体洗うだけのもんちゃうねん」
佐野清一郎が笑みを浮かべながら語っているが、すぐ横のコロンビーヌは返答しない。
目蓋を半分だけ開けて、呆れたような視線を向けるだけだ。
というのも、佐野という少年はこれまでひたすら一人で喋り続けていたのだ。
歩きだしてからずっとである。
話題は変わらず、温泉トークばかり。
同行して以来、口を開けば温泉。さながら温泉特集である。
興味があるものならばともかく、大して知りも知らないことをこうも語られても、なんていうか、困る。
コロンビーヌでなくとも、そう思うだろう。
「ロボットやから分からんかもしれんけど、体調よくするのに役立つのもあるんやで。
だいぶむかしから医療に使われたとかなんとか。
肩こりだの、腰痛だの、そーゆーのはメジャーやな。まあ俺はまだ若いから効果あんのか分からんけど。
でもなんや、あのどーみゃくこーかーだの、血圧どーたらこーたらーみたいなん。
あんなんの予防になるとか聞いたら、なんか違う気ぃするで。
こう、上がったときに身体の奥のほうから、なんかあったかいのが湧いてくるっちゅーか。って、まあそれは温泉つかってたから当たり前やけどな!」
かっかっか、と高笑い。
温泉の話題とは対照的に、向けられる視線がどんどん冷えていくが佐野は気付かない。
なぜ、こんな男についてきているのか。
もう何度目かになる疑問が、コロンビーヌのなかに浮かぶ。
こうも熱狂的に語っているのだから、遠ざかってもすぐにはバレないだろう。そもそもいつまでも一緒にいるつもりではない。
と考えて、コロンビーヌは傍らにいる男を見上げる。
「だいたい、女の子置いて盛り上がるなんて信じられなーい」
この茶化すような声も入ってこないようで、佐野はまだ一人で笑っている。
そんな様子を見ても、しかしコロンビーヌは去らなかった。
いつでも別れられる相手なのだから、わざわざ急がなくてもいい。
それに、コロンビーヌには目的などない。
佐野とは違って、コロンビーヌにはない。
仮に佐野が言っていた『空白の才』を手に入れようとも、空白を埋めることができない。
だからこそ、同行を続けるのだ。
こうして歩む目的を持つ佐野とならば、生存目的を失った自動人形(オートマータ)でも生きる目的を見つけられるかもしれないから。
「あーらら、到着しちゃったじゃない」
歩き出してすぐのころ、佐野は地図を開いて近くにある公園に向かうことを提案した。
コロンビーヌが辟易としている間に、どうやらもう着いてしまったらしい。
とはいえ、またしても語りを再開した佐野はまだ気付いていない。
彼に声をかけながら、コロンビーヌが公園内を見渡すと二つの人影が映った。
才賀勝くらいの年に見える少年と、成人と思われる女性。
ぎったん、ばっこん、と。
音を立てながら、遊具で遊んでいる。
「こんな状況であんな音立てて……アホやな、アイツら」
「アナタには言われたくないんじゃないかしらぁ」
【E-2 公園前/一日目 黎明】
【佐野清一郎】
[時間軸]:不明。少なくても犬丸が地獄に落ちてから
[状態]:健康
[装備]:佐野の手ぬぐい@うえきの法則
[道具]:ランダム支給品1~3、基本支給品一式
[基本方針]:仲間たちとともに脱出する。コロンビーヌについていく。
※佐野の手ぬぐいは支給品ではなく、最初から装備してました。
【コロンビーヌ】
[時間軸]:本編で活動停止後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:ランダム支給品1~3、基本支給品一式
[基本方針]:さすらう。『生存目的』を見つけ出す。
※アポリオンは使用可。制限されているかどうかは不明。
*投下順で読む
前へ:[[疎通――少年さとり]] [[戻る>第一放送までの本編SS(投下順)]] 次へ:[[どじふんじゃった!(前編)]]
*時系列順で読む
前へ:[[歯車が噛み合わない]] [[戻る>第一放送までの本編SS(時系列順)]] 次へ:[[どじふんじゃった!(前編)]]
*キャラを追って読む
|013:[[ロスト]]|コロンビーヌ|:[]]|
|~|佐野清一郎|~|
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◇ ◇ ◇
「だいぶ今さらやけど、温泉ちゅーのは身体洗うだけのもんちゃうねん」
佐野清一郎が笑みを浮かべながら語っているが、すぐ横のコロンビーヌは返答しない。
目蓋を半分だけ開けて、呆れたような視線を向けるだけだ。
というのも、佐野という少年はこれまでひたすら一人で喋り続けていたのだ。
歩きだしてからずっとである。
話題は変わらず、温泉トークばかり。
同行して以来、口を開けば温泉。さながら温泉特集である。
興味があるものならばともかく、大して知りも知らないことをこうも語られても、なんていうか、困る。
コロンビーヌでなくとも、そう思うだろう。
「ロボットやから分からんかもしれんけど、体調よくするのに役立つのもあるんやで。
だいぶむかしから医療に使われたとかなんとか。
肩こりだの、腰痛だの、そーゆーのはメジャーやな。まあ俺はまだ若いから効果あんのか分からんけど。
でもなんや、あのどーみゃくこーかーだの、血圧どーたらこーたらーみたいなん。
あんなんの予防になるとか聞いたら、なんか違う気ぃするで。
こう、上がったときに身体の奥のほうから、なんかあったかいのが湧いてくるっちゅーか。って、まあそれは温泉つかってたから当たり前やけどな!」
かっかっか、と高笑い。
温泉の話題とは対照的に、向けられる視線がどんどん冷えていくが佐野は気付かない。
なぜ、こんな男についてきているのか。
もう何度目かになる疑問が、コロンビーヌのなかに浮かぶ。
こうも熱狂的に語っているのだから、遠ざかってもすぐにはバレないだろう。そもそもいつまでも一緒にいるつもりではない。
と考えて、コロンビーヌは傍らにいる男を見上げる。
「だいたい、女の子置いて盛り上がるなんて信じられなーい」
この茶化すような声も入ってこないようで、佐野はまだ一人で笑っている。
そんな様子を見ても、しかしコロンビーヌは去らなかった。
いつでも別れられる相手なのだから、わざわざ急がなくてもいい。
それに、コロンビーヌには目的などない。
佐野とは違って、コロンビーヌにはない。
仮に佐野が言っていた『空白の才』を手に入れようとも、空白を埋めることができない。
だからこそ、同行を続けるのだ。
こうして歩む目的を持つ佐野とならば、生存目的を失った自動人形(オートマータ)でも生きる目的を見つけられるかもしれないから。
「あーらら、到着しちゃったじゃない」
歩き出してすぐのころ、佐野は地図を開いて近くにある公園に向かうことを提案した。
コロンビーヌが辟易としている間に、どうやらもう着いてしまったらしい。
とはいえ、またしても語りを再開した佐野はまだ気付いていない。
彼に声をかけながら、コロンビーヌが公園内を見渡すと二つの人影が映った。
才賀勝くらいの年に見える少年と、成人と思われる女性。
ぎったん、ばっこん、と。
音を立てながら、遊具で遊んでいる。
「こんな状況であんな音立てて……アホやな、アイツら」
「アナタには言われたくないんじゃないかしらぁ」
【E-2 公園前/一日目 黎明】
【佐野清一郎】
[時間軸]:不明。少なくても犬丸が地獄に落ちてから
[状態]:健康
[装備]:佐野の手ぬぐい@うえきの法則
[道具]:ランダム支給品1~3、基本支給品一式
[基本方針]:仲間たちとともに脱出する。コロンビーヌについていく。
※佐野の手ぬぐいは支給品ではなく、最初から装備してました。
【コロンビーヌ】
[時間軸]:本編で活動停止後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:ランダム支給品1~3、基本支給品一式
[基本方針]:さすらう。『生存目的』を見つけ出す。
※アポリオンは使用可。制限されているかどうかは不明。
*投下順で読む
前へ:[[疎通――少年さとり]] [[戻る>第一放送までの本編SS(投下順)]] 次へ:[[どじふんじゃった!(前編)]]
*時系列順で読む
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