造花 ◆6LcvawFfJA
瓦礫の山から抜け出したシルベストリは、自分の身体に視線を這わす。
衣服がところどころ破れているが、“自動人形”のボディは破壊されていない。
四肢を軽く動かして、行動に支障は無いと結論を下す。
次に、シルベストリは纏う服を傷付けた少年の事を思い返す。
ロベルトと呼ばれていた彼は、何も所持していなかったにもかかわらず右手に武器を生み出した。
“O”の類かとも思ったが、いくらシルベストリの“造物主”とてあそこまでの質量を持つ武器を二種類も体内に内蔵させることは不可能に思える。
加えて、メカニズムの分からぬ赤いシャボン玉。
あんなものを操る者など、いまだかつて目にしたことはない。
おそらく、“自動人形”でも“O”でも“人形破壊者”でもない存在。
気を引き締めねばならないと思う一方で、シルベストリは僅かに高ぶる物を感じた。
今まで関わったことない人種と出会えるならば、予てより抱き続けていた疑問が晴れるやもしれない。
仮にこの身が人間の物であったのなら、この昂揚を“血が騒ぐ”と呼ぶのだろうか。
「下らぬな」
そのような事を考えた自分自身に、シルベストリは言い放つ。
もしも人間であったのならなどという“if”に意味は無い。
無意味な事を思考するのは人間だけ。
より強く完全な人形には必要ない。
意味が無いとしか思えぬことをするのは、人間だけなのだ。
その理由が、シルベストリには分からない。
現代となっては無意味だというのに“群れる”人間が解らない。
従来からの疑問に思いを馳せてみても、依然として理解できない。
他者に尋ねるしかないと再認識し、シルベストリは空を見上げた。
宙に浮かぶ満月の位置を確認すれば、方角を把握できる。
何処に向かうかという明確な目的は無いが、目的の為には参加者が集まりそうな場所に向かいたかった。
故に市街である西部に視線を向けると、同時に空に花が開いた。
「やはり、殺し合いであろうとも“群れる”か」
瞬く間に大気に溶け込んだ花火が、他者を呼び込むべく打ち上げられた事は自明だった。
自ら居場所を知らせる行為には、それしか理由が見出せない。
シルベストリは菊一文字を握り、花火が打ち上がった方向に歩み出す。
予てよりの疑問に解答が導き出される期待を胸に。
菊一文字を持たぬ左手で、多少ずれていた帽子を直す。
帽子の中にあるスズランが、微かにシルベストリの頭に触れた。
作られた花は掻き消えて、生物である花はこうして残っている。
シルベストリはそう考えた後、やはり「下らぬな」と己の考えを振り払った。
衣服がところどころ破れているが、“自動人形”のボディは破壊されていない。
四肢を軽く動かして、行動に支障は無いと結論を下す。
次に、シルベストリは纏う服を傷付けた少年の事を思い返す。
ロベルトと呼ばれていた彼は、何も所持していなかったにもかかわらず右手に武器を生み出した。
“O”の類かとも思ったが、いくらシルベストリの“造物主”とてあそこまでの質量を持つ武器を二種類も体内に内蔵させることは不可能に思える。
加えて、メカニズムの分からぬ赤いシャボン玉。
あんなものを操る者など、いまだかつて目にしたことはない。
おそらく、“自動人形”でも“O”でも“人形破壊者”でもない存在。
気を引き締めねばならないと思う一方で、シルベストリは僅かに高ぶる物を感じた。
今まで関わったことない人種と出会えるならば、予てより抱き続けていた疑問が晴れるやもしれない。
仮にこの身が人間の物であったのなら、この昂揚を“血が騒ぐ”と呼ぶのだろうか。
「下らぬな」
そのような事を考えた自分自身に、シルベストリは言い放つ。
もしも人間であったのならなどという“if”に意味は無い。
無意味な事を思考するのは人間だけ。
より強く完全な人形には必要ない。
意味が無いとしか思えぬことをするのは、人間だけなのだ。
その理由が、シルベストリには分からない。
現代となっては無意味だというのに“群れる”人間が解らない。
従来からの疑問に思いを馳せてみても、依然として理解できない。
他者に尋ねるしかないと再認識し、シルベストリは空を見上げた。
宙に浮かぶ満月の位置を確認すれば、方角を把握できる。
何処に向かうかという明確な目的は無いが、目的の為には参加者が集まりそうな場所に向かいたかった。
故に市街である西部に視線を向けると、同時に空に花が開いた。
「やはり、殺し合いであろうとも“群れる”か」
瞬く間に大気に溶け込んだ花火が、他者を呼び込むべく打ち上げられた事は自明だった。
自ら居場所を知らせる行為には、それしか理由が見出せない。
シルベストリは菊一文字を握り、花火が打ち上がった方向に歩み出す。
予てよりの疑問に解答が導き出される期待を胸に。
菊一文字を持たぬ左手で、多少ずれていた帽子を直す。
帽子の中にあるスズランが、微かにシルベストリの頭に触れた。
作られた花は掻き消えて、生物である花はこうして残っている。
シルベストリはそう考えた後、やはり「下らぬな」と己の考えを振り払った。
【E-4 路上/一日目 黎明】
【シルベストリ】
[時間軸]:本編34巻 勝戦直前
[状態]:健康
[装備]:菊一文字@YAIBA
[道具]:ランダム支給品2(刀剣類なし、確認済み)、基本支給品一式
[基本方針]:フェイスレスの優勝をサポートしつつ、人間が群れる理由を解き明かす。植木耕助に会う。花火の元へ向かう。
[時間軸]:本編34巻 勝戦直前
[状態]:健康
[装備]:菊一文字@YAIBA
[道具]:ランダム支給品2(刀剣類なし、確認済み)、基本支給品一式
[基本方針]:フェイスレスの優勝をサポートしつつ、人間が群れる理由を解き明かす。植木耕助に会う。花火の元へ向かう。
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