誘雷 ◆hqLsjDR84w
◇ ◇ ◇
蒼月潮の腕のなかで、キース・バイオレットが崩れていく。
ものの喩えなどではなく――文字通りに、そのままの意味で。
彼女の全身に亀裂が走っていたのは、彼女を抱きかかえていた潮にはよく分かっていた。
その亀裂が次第に深くなっていることもだ。
にもかかわらず、バイオレットは言葉を紡ぎ続けた。
制そうとした潮の声を遮りながら、言い聞かすような口調で。
その亀裂が次第に深くなっていることもだ。
にもかかわらず、バイオレットは言葉を紡ぎ続けた。
制そうとした潮の声を遮りながら、言い聞かすような口調で。
「……バイオレット姉ちゃん……」
瞳に涙を溜めながら、潮は知らず両手に籠める力を強くする。
その分だけ、バイオレットの身体が崩れる感触が伝わってきた。
砂場で作った城に触れているような、そんな感覚だ。
さらさらと、服の下にある体組織がこぼれ落ちていく。
その分だけ、バイオレットの身体が崩れる感触が伝わってきた。
砂場で作った城に触れているような、そんな感覚だ。
さらさらと、服の下にある体組織がこぼれ落ちていく。
相棒・とらと妖(バケモノ)退治の日々を送ってきた潮だからこそ、考えてしまうことがあった。
いかにうしおととらといえど、すべての人間を救えたワケではない。
救うことができなかった被害者だっている。
無慈悲に殺されていった彼らの姿を、潮は決して忘れない。
救うことができなかった被害者だっている。
無慈悲に殺されていった彼らの姿を、潮は決して忘れない。
ゆえに、分かるのだ。
人間は死んでも、肉体が崩れたりしない。
人間は死んでも、肉体が崩れたりしない。
潮の知る限りにおいて、このような亡骸を晒すのは――妖だけだ。
ずっと、不思議ではあった。
殺し合いの説明の時点で、キース・ブラックがただの人間ではないのは明白だった。
何せ、とらの雷を受けて、なんでもないように立っていたのだ。
その後、高槻涼の異形化した右腕に腹を貫かれても、ブラックは死ぬことはなかった。
傷跡一つ残さず再生した肉体に、集められた参加者たちはどよめいた。
しかし潮のなかでは、腹を貫かれても生存したことより、とらの雷を防いだことのほうがよっぽど驚きだった。
ともあれ、あのやり取りでブラックが常人でないのは分かった。
高槻涼のほうも同じくだ。
だというのに、殺し合いが始まってから出会ったバイオレットは――彼らの異常な能力についての話をしなかった。
あんなに明らかであったというのに、触れようとすらしなかった。
秘密組織・エグリゴリに属するキース・シリーズと、対抗する高槻涼たち。
そのように説明しておきながら、大事なところが抜け落ちていた。
潮でも、さすがに不自然に感じた。
だって、そうではないか。
エグリゴリのような大きな組織に、単なる高校生たちが立ち向かえるはずがない。
何せ、とらの雷を受けて、なんでもないように立っていたのだ。
その後、高槻涼の異形化した右腕に腹を貫かれても、ブラックは死ぬことはなかった。
傷跡一つ残さず再生した肉体に、集められた参加者たちはどよめいた。
しかし潮のなかでは、腹を貫かれても生存したことより、とらの雷を防いだことのほうがよっぽど驚きだった。
ともあれ、あのやり取りでブラックが常人でないのは分かった。
高槻涼のほうも同じくだ。
だというのに、殺し合いが始まってから出会ったバイオレットは――彼らの異常な能力についての話をしなかった。
あんなに明らかであったというのに、触れようとすらしなかった。
秘密組織・エグリゴリに属するキース・シリーズと、対抗する高槻涼たち。
そのように説明しておきながら、大事なところが抜け落ちていた。
潮でも、さすがに不自然に感じた。
だって、そうではないか。
エグリゴリのような大きな組織に、単なる高校生たちが立ち向かえるはずがない。
なにか――潮にとっての獣の槍のようなものでもなければ、相手になるはずがない。
そのような違和感を抱いていながら、潮は尋ねなかった。
伏せる理由があるのだろうと、そんな風に勝手に思いこんだ。
時折紅茶を口に運びながらエグリゴリについて話すバイオレットが、とても悲しそうに見えて――思いこむしかなかった。
伏せる理由があるのだろうと、そんな風に勝手に思いこんだ。
時折紅茶を口に運びながらエグリゴリについて話すバイオレットが、とても悲しそうに見えて――思いこむしかなかった。
そのためかもしれない。
ここに戻ってこなくてはならないと、そんなふうに考えたのは。
ただ悲しそうだったからではなく、なにか大事なことを隠しているように思えたから。
抱え込んでいるように見えたから。
ここに戻ってこなくてはならないと、そんなふうに考えたのは。
ただ悲しそうだったからではなく、なにか大事なことを隠しているように思えたから。
抱え込んでいるように見えたから。
そこまで考えて、潮は腕のなかのバイオレットに視線を戻す。
砂像のように脆い亡骸は、やはり人間のそれではあるまい。
砂像のように脆い亡骸は、やはり人間のそれではあるまい。
(だッたら……なんだってんだよォ!)
白狐に似た小妖怪。
カマイタチの兄妹。
意地っ張りな蛇妖。
実直なカラス天狗。
人に化ける大天狗。
時空を遡る鏡の妖。
そして――金色の体毛を持つ、雷と火の化生。
カマイタチの兄妹。
意地っ張りな蛇妖。
実直なカラス天狗。
人に化ける大天狗。
時空を遡る鏡の妖。
そして――金色の体毛を持つ、雷と火の化生。
彼らのことを、潮は知っている。
肩を並べて一緒に戦える妖の存在を、よく覚えている。
肩を並べて一緒に戦える妖の存在を、よく覚えている。
人間みんながいいヤツでないように、妖すべてが倒すべき悪党というワケではない。
だからたとえバイオレットが人間でなくとも、関係がない。
重要なのは人間か否かではなく、彼女自身が信用できるかであり――
重要なのは人間か否かではなく、彼女自身が信用できるかであり――
その答えなど、とうに決まっていたではないか。
とらとともに過ごした日々が、戸惑いを振り払ってくれた。
どこかでとらが笑ったような気がして、潮は「うるせえや」と胸中で呟く。
どこかでとらが笑ったような気がして、潮は「うるせえや」と胸中で呟く。
これ以上崩れてしまわぬよう、潮はバイオレットをやさしく床に横たえる。
そうして即席槍を手に取ってから、眼前の少年を見据える。
金色の髪に、力強い眼光。
彼の外見は、キース・ブラックやキース・バイオレットによく似ていた。
ただ、彼らより年齢が一回りほど低く見える。
潮より少し年上の、高校生程度であろうか。
そうして即席槍を手に取ってから、眼前の少年を見据える。
金色の髪に、力強い眼光。
彼の外見は、キース・ブラックやキース・バイオレットによく似ていた。
ただ、彼らより年齢が一回りほど低く見える。
潮より少し年上の、高校生程度であろうか。
「アンタが、バイオレット姉ちゃんの弟の……キース・グリーンだよな?」
潮がバイオレットの話を思い返しつつ尋ねると、少年は静かに肯定した。
元より鋭い視線をさらに鋭利にしながら、少年は口角を吊り上げる。
元より鋭い視線をさらに鋭利にしながら、少年は口角を吊り上げる。
「だからどうしたと言うんだ?
僕が姉さんを殺したからといって、君になんの関係がある?」
僕が姉さんを殺したからといって、君になんの関係がある?」
挑発しているということは、潮にも理解できた。
理解できたが、一気に頭が熱くなってしまうのは止められない。
理解できたが、一気に頭が熱くなってしまうのは止められない。
「姉ちゃんは……っ! 姉ちゃんはずっと悩んでたんだぞ! 殺し合いが始まってから、ずっと!
兄貴に殺し合えなんか命令されて、他の兄弟も巻き込まれて!
なのに、お前は……! なんでだよ!? どうしてそんなことができるんだよ!? 兄貴に言われたからって……!」
兄貴に殺し合えなんか命令されて、他の兄弟も巻き込まれて!
なのに、お前は……! なんでだよ!? どうしてそんなことができるんだよ!? 兄貴に言われたからって……!」
即席槍を振りながら、潮が声を張り上げる。
頭で考えるより先に口が動いてしまっており、時々言葉がつかえる始末だ。
頭で考えるより先に口が動いてしまっており、時々言葉がつかえる始末だ。
「誰だか知らないが、勘違いするなよ」
潮とは対照的に、グリーンはひどく落ち着いた態度で答える。
「兄さんに言われたからじゃない。
僕は僕自身の『意思』で前に進むために、姉さんを殺した。それだけだ!」
僕は僕自身の『意思』で前に進むために、姉さんを殺した。それだけだ!」
言い切って、グリーンは左手で宙を薙ぐ。
怪訝に思っている潮の首筋に、誰かが触れる感覚があった。
怪訝に思っている潮の首筋に、誰かが触れる感覚があった。
「うしおッ!!」
響いた声は、秋山優のものだ。
彼に持ち上げられたのだと、潮は凄まじい速度で切り替わる視界のなかで理解する。
しかし、いったいなんのために――
そんな潮の疑問は、すぐに解消された。
先ほどまで潮が立っていた床に、切れ目が入っているのだ。
いうや、床だけではない。
机が、椅子が、壁が、天井が――横たわらせたバイオレットの亡骸が。
グリーンのいる地点から直線状にあるすべての物体が、縦に切断されているのだ
彼に持ち上げられたのだと、潮は凄まじい速度で切り替わる視界のなかで理解する。
しかし、いったいなんのために――
そんな潮の疑問は、すぐに解消された。
先ほどまで潮が立っていた床に、切れ目が入っているのだ。
いうや、床だけではない。
机が、椅子が、壁が、天井が――横たわらせたバイオレットの亡骸が。
グリーンのいる地点から直線状にあるすべての物体が、縦に切断されているのだ
さながら、長大な刃を思い切り振り下ろしたかのように。
「へえ、避けたか。完全に不意を打ったつもりだったんだけどね」
「……なにかしてくることくらい、視線で読み取れたさ。
運悪く、殺し合い早々にあんなのと出会ってしまってね。
そりゃあ、『なにか出してくるかもしれない』くらいの発想には至るさ」
「……なにかしてくることくらい、視線で読み取れたさ。
運悪く、殺し合い早々にあんなのと出会ってしまってね。
そりゃあ、『なにか出してくるかもしれない』くらいの発想には至るさ」
背後で浮かぶ紅煉を顎で指して、秋山は自嘲気味に笑う。
グリーンだけでなく、潮も納得する。
とらや紅煉が参加している以上、そういう可能性も考えておくべきだったのだ。
グリーンだけでなく、潮も納得する。
とらや紅煉が参加している以上、そういう可能性も考えておくべきだったのだ。
「だが一度や二度避けられたところで、なにができる」
秋山に首筋を掴まれたまま、潮は歯噛みする。
まさしく、グリーンの言う通りであった。
近付かねば、槍は当たらない。
とはいえ近付けば、不可視の剣に斬り裂かれる。
身を隠そうにも、障害物など関係なく斬り刻まれるのは明白だ。
まさしく、グリーンの言う通りであった。
近付かねば、槍は当たらない。
とはいえ近付けば、不可視の剣に斬り裂かれる。
身を隠そうにも、障害物など関係なく斬り刻まれるのは明白だ。
獣の槍さえあれば、多少の怪我は無視できるものの――
生憎にも手元にあるのは、支給された武器を組み合わせただけの即席槍。
一度でも身体を斬られてしまえば、それだけでもう戦闘の続行は難しくなるだろう。
生憎にも手元にあるのは、支給された武器を組み合わせただけの即席槍。
一度でも身体を斬られてしまえば、それだけでもう戦闘の続行は難しくなるだろう。
そのように考えていると、秋山が横に跳んだ。
掴まれている潮も、当然引っ張られる。
今度は左手を動かすこともなく、まったくの無動作で不可視の剣が振るわれた。
床に刻まれた切れ目が迫ってきたから、秋山はどうにか気付けたのだろう。
掴まれている潮も、当然引っ張られる。
今度は左手を動かすこともなく、まったくの無動作で不可視の剣が振るわれた。
床に刻まれた切れ目が迫ってきたから、秋山はどうにか気付けたのだろう。
だが――紅煉のほうは、そうではなかったらしい。
「あァ?」
空中に浮いたまま、紅蓮が呆けた声を漏らす。
その右腕は肘から先がなく、左腕は肩口から先がない。
両腕が床に落下するより、グリーンの追撃のほうが早い。
次の瞬間には、紅蓮は上半身と下半身で分けられてしまっていた。
その右腕は肘から先がなく、左腕は肩口から先がない。
両腕が床に落下するより、グリーンの追撃のほうが早い。
次の瞬間には、紅蓮は上半身と下半身で分けられてしまっていた。
潮は無残な姿に成り果てた紅煉を眺めたままで、秋山は悔しそうに歯噛みする。
勝利を確信したのか、グリーンは紅蓮から視線を外して――僅かに口元を緩めた。
勝利を確信したのか、グリーンは紅蓮から視線を外して――僅かに口元を緩めた。
――その笑みは一秒と保たれず、焦燥に呑み込まれる。
「おいガキィィィ、なァァにをニヤついてやがる。
もしかしてだけどよォ……テメェ、勘違いしてんじゃァねえだろうなァ。
両腕落として真っ二つにした程度で、妖の息の音が止められるとでもよォォォォッ!」
もしかしてだけどよォ……テメェ、勘違いしてんじゃァねえだろうなァ。
両腕落として真っ二つにした程度で、妖の息の音が止められるとでもよォォォォッ!」
紅煉が言い終えるより早く、雷鳴が喫茶店内に轟いた。
潮には、最初から分かっていた。
警戒心を怠っていたがゆえに、紅煉は迫り来る切れ目に気付かなかったのではない。
わざわざ警戒する理由がなかっただけである。
ただ斬られただけでは、妖は死なないのだから。
警戒心を怠っていたがゆえに、紅煉は迫り来る切れ目に気付かなかったのではない。
わざわざ警戒する理由がなかっただけである。
ただ斬られただけでは、妖は死なないのだから。
「ちィ、逃げやがったか。
あの野郎、さっきの式神みてェな能力使いやがる」
あの野郎、さっきの式神みてェな能力使いやがる」
紅煉が吐き捨てた言葉に、潮は目を見開く。
一方、秋山にとっては意外でもなんでもない。
彼に支給されたのは、参加者の情報がまとめられた情報端末だ。
キース・グリーンのARMS『チェシャ猫(キャット)』の能力が『空間操作』であることは、とうに分かっていた。
一方、秋山にとっては意外でもなんでもない。
彼に支給されたのは、参加者の情報がまとめられた情報端末だ。
キース・グリーンのARMS『チェシャ猫(キャット)』の能力が『空間操作』であることは、とうに分かっていた。
「そんな能力も持っていたとはね、見通しが甘かった」
ただ、それを紅煉に知られるワケにはいかない。
なのでいちいちこうして一芝居打たねばならないのだが、秋山にとって難しくはない。
彼はまたの名を、卑怯番長という。
他者を欺くことなど、手間ですらない。
なのでいちいちこうして一芝居打たねばならないのだが、秋山にとって難しくはない。
彼はまたの名を、卑怯番長という。
他者を欺くことなど、手間ですらない。
「やれやれ、それにしてもね。
こっちが演技してやってたんだから、きちんと仕留めてくれよ」
「かッ! もしテメェが俺が死んだと思って安心してると思うと、黙ってる気にゃァなれなかったんだよ!」
こっちが演技してやってたんだから、きちんと仕留めてくれよ」
「かッ! もしテメェが俺が死んだと思って安心してると思うと、黙ってる気にゃァなれなかったんだよ!」
斬り落とされた部位を切断面にくっつけながら、紅煉は舌を出す。
口に備え付けられた三振りの霊刀の間で、真っ赤な舌はやけに鮮やかだ。
秋山はしばらく黙りこんでから、ふと思い出したように切り出す。
口に備え付けられた三振りの霊刀の間で、真っ赤な舌はやけに鮮やかだ。
秋山はしばらく黙りこんでから、ふと思い出したように切り出す。
「ところで、さっきの傷はもう大丈夫かい?」
「はん、テメェら貧弱な人間と一緒にするなよ。
あの見えねえ攻撃は厄介だが、切れ味がよすぎるのが逆に都合いいぜェ。
くっつけてちょっと放っておくだけで、もう治っちまった。ぎゃひゃひゃひゃッ!」
「はん、テメェら貧弱な人間と一緒にするなよ。
あの見えねえ攻撃は厄介だが、切れ味がよすぎるのが逆に都合いいぜェ。
くっつけてちょっと放っておくだけで、もう治っちまった。ぎゃひゃひゃひゃッ!」
高笑いしながら、紅蓮は両腕を回して腰を捻る。
その動作を見るに、たしかにすでに完治しているようだ。
その動作を見るに、たしかにすでに完治しているようだ。
「へえ、そいつはよかった」
「んだよ、テメェにんなこと言われる筋合いはねェだろが」
「いや、あるさ」
「あァ!? 気味悪ィことのたまってんじゃァねえやッ!」
「んだよ、テメェにんなこと言われる筋合いはねェだろが」
「いや、あるさ」
「あァ!? 気味悪ィことのたまってんじゃァねえやッ!」
首を傾げる紅煉に、秋山は満面の笑みを浮かべた。
「あんな姿になってちゃあ、せっかく飲ませた爆砕符も簡単に取り出せてしまうからね」
「あ゛っ」
「あ゛っ」
紅煉の声が裏返る。
口が大きく開かれ、目は丸くなり、漆黒の体毛はいっせいに逆立つ。
そんな状態で硬直した紅煉をしげしげと眺めてから、秋山はさらに笑みを深くする。
口が大きく開かれ、目は丸くなり、漆黒の体毛はいっせいに逆立つ。
そんな状態で硬直した紅煉をしげしげと眺めてから、秋山はさらに笑みを深くする。
「まあ、強引に体外に出そうとしたらすぐに発動するようにしてあるんだけどね。
当然だよね。妖が真っ二つにした程度で死なないのなんて、僕ら符咒士界隈じゃ常識なんだから。
よかったじゃあないか。君の頭が下手に回らなかったおかげで、こうしてまだ生きていられるんだもの」
当然だよね。妖が真っ二つにした程度で死なないのなんて、僕ら符咒士界隈じゃ常識なんだから。
よかったじゃあないか。君の頭が下手に回らなかったおかげで、こうしてまだ生きていられるんだもの」
紅煉は口籠った挙句、またしても例の単語を口にしてしまうのだった。
喜ばせるだけなことくらい、もう思い知っているだろうに。
喜ばせるだけなことくらい、もう思い知っているだろうに。
「ぐ……この卑怯モンめ……!」
「そんなに褒めてくれなくてもいいのに」
「そんなに褒めてくれなくてもいいのに」
地団太を踏む紅煉から視線を外して、秋山は潮のほうに向き直る。
「うしお、君が持っておけ」
「これは……姉ちゃんの」
「これは……姉ちゃんの」
秋山が手渡したのは、キース・バイオレットの物と思われるデイパックである。
なかは一応確認してある。
役に立たない物ばかりというワケではないが、これは潮が持つべきだと思えた。
なかは一応確認してある。
役に立たない物ばかりというワケではないが、これは潮が持つべきだと思えた。
「優兄ちゃん、グリーンのヤツはどうして……」
潮は半ばで言葉を呑み込んだが、言わんとすることは明らかだった。
秋山は潮の髪に手を伸ばして、くしゃくしゃと掻き回す。
秋山は潮の髪に手を伸ばして、くしゃくしゃと掻き回す。
「わわっ! なにすんだよ、兄ちゃん!」
「理由なんか考えたって仕方ないさ」
「理由なんか考えたって仕方ないさ」
こちらを見上げる潮の瞳を、秋山はまっすぐに見据える。
「アイツは自分のために家族を殺した。そんなヤツを認める気にはなれないね」
自分のために兄弟を殺す。
その行為は――秋山にとって、他のなにより許せない。
その行為は――秋山にとって、他のなにより許せない。
ぽんと潮の頭を叩いて、秋山はいくつか切れ目の入った喫茶店の天井を見上げる。
十三人の弟妹の姿が、不意に脳裏を過る。
彼らのためならば、秋山はどこまでだって卑怯になれる。
一人として血が繋がっていなくとも、彼らは自分を兄ちゃんと呼んでくれるのだ。
十三人の弟妹の姿が、不意に脳裏を過る。
彼らのためならば、秋山はどこまでだって卑怯になれる。
一人として血が繋がっていなくとも、彼らは自分を兄ちゃんと呼んでくれるのだ。
「おうおう、なァに呆けてやがる」
「――――っ」
「――――っ」
物思いにふけっている秋山の視界に、不意に紅煉が入り込む。
どす黒い妖が飛び込んできたせいで、弟妹たちの姿は一瞬のうちに霧散してしまった。
どす黒い妖が飛び込んできたせいで、弟妹たちの姿は一瞬のうちに霧散してしまった。
「…………天地万物の正義をもちて」
「なあッ!? いまは、別になんにもしてねえだろーがッ!」
「なあッ!? いまは、別になんにもしてねえだろーがッ!」
【E-5 喫茶店/一日目 午前】
【蒼月潮】
[時間軸]:26巻第42章『三日月の夜』直後。
[状態]:健康
[装備]:制服、即席槍(ジャバウォックの爪@ARMS+操り糸@からくりサーカス+神通棍@GS美神)、ヴィルマのナイフ(6本)@からくりサーカス
[道具]:基本支給品一式×2、操り糸(3/4)@からくりサーカス、ガッシュの魔本@金色のガッシュ)、支給品1~2
[基本方針]:仲間を集めて殺し合いを止める。とら? 勝手にしろィ!
※バイオレットからプログラムについて他のキースシリーズ、オリジナルARMS勢の情報を貰いました。
ただし、ARMSについては教えて貰っていません。
[時間軸]:26巻第42章『三日月の夜』直後。
[状態]:健康
[装備]:制服、即席槍(ジャバウォックの爪@ARMS+操り糸@からくりサーカス+神通棍@GS美神)、ヴィルマのナイフ(6本)@からくりサーカス
[道具]:基本支給品一式×2、操り糸(3/4)@からくりサーカス、ガッシュの魔本@金色のガッシュ)、支給品1~2
[基本方針]:仲間を集めて殺し合いを止める。とら? 勝手にしろィ!
※バイオレットからプログラムについて他のキースシリーズ、オリジナルARMS勢の情報を貰いました。
ただし、ARMSについては教えて貰っていません。
【秋山優(卑怯番長)@金剛番長】
[時間軸]:最終決戦後、後日談の前
[状態]:健康
[装備]:霊符(残り30枚)、ヒョウ(残り15本)、参加者名簿入り携帯端末@オリジナル(ポケット)、サバイバルナイフ(腰)@現地調達
[道具]:基本支給品一式+水と食料一人分、ヒョウ(25本)&符(50枚)&十五雷正法説明書@うしおととら、
、不明支給品1(秋山は確認済)、1~3(秋山と紅煉が確認済み)、デパート内で回収したものいろいろ
[基本方針]:あらゆる卑怯な手を使ってこの街から脱出し、家へ帰る。体内に爆砕符があると思い込んでいる紅煉を脅してうまく利用する。
[時間軸]:最終決戦後、後日談の前
[状態]:健康
[装備]:霊符(残り30枚)、ヒョウ(残り15本)、参加者名簿入り携帯端末@オリジナル(ポケット)、サバイバルナイフ(腰)@現地調達
[道具]:基本支給品一式+水と食料一人分、ヒョウ(25本)&符(50枚)&十五雷正法説明書@うしおととら、
、不明支給品1(秋山は確認済)、1~3(秋山と紅煉が確認済み)、デパート内で回収したものいろいろ
[基本方針]:あらゆる卑怯な手を使ってこの街から脱出し、家へ帰る。体内に爆砕符があると思い込んでいる紅煉を脅してうまく利用する。
【紅煉@うしおととら】
[時間軸]:本編にて死亡後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:なし
[基本方針]:秋山優をなんとか隙を見て喰い殺す。それまでは死にたくないので従う。秋山を殺せたらあとはひたすら参加者を喰い殺す。
※「黒炎(分身というか手下と言うか、まあセルジュニアみたいなもの)を生む能力」は制限により使用不可。
[時間軸]:本編にて死亡後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:なし
[基本方針]:秋山優をなんとか隙を見て喰い殺す。それまでは死にたくないので従う。秋山を殺せたらあとはひたすら参加者を喰い殺す。
※「黒炎(分身というか手下と言うか、まあセルジュニアみたいなもの)を生む能力」は制限により使用不可。
◇ ◇ ◇
空間移動で飛んだ地点にて、キース・グリーンは苦々しい表情で立ち尽くす。
元より、紅煉には細心の注意を払っていた。
プログラムの説明の際、キース・ブラックに電撃を放った獣と似た外見をしていたからだ。
エグリゴリの技術で作り出された猛獣とでも認識していたが、あそこまで耐久力があるとは思っていなかった。
完全に計算違いである。
率先して仕留めようとした意味が、まったくないではないか。
こちらの能力が知られていないうちに、どうにか倒しておきたかった。
プログラムの説明の際、キース・ブラックに電撃を放った獣と似た外見をしていたからだ。
エグリゴリの技術で作り出された猛獣とでも認識していたが、あそこまで耐久力があるとは思っていなかった。
完全に計算違いである。
率先して仕留めようとした意味が、まったくないではないか。
こちらの能力が知られていないうちに、どうにか倒しておきたかった。
――ARMSの性質を考慮すれば、なおさらだ。
いかなるダメージもたちどころに回復するARMSだが、弱点が二つある。
一つは、体内に埋め込まれたARMSコア自体の損傷だ。
コアが完全に砕かれてしまえば、適正者の肉体は崩壊する他ない。
そして、もう一つが電撃である。
電撃を受ければ、ARMSを構成するナノマシンは一時的に機能を停止する。
ARMSの特性である『自己進化』により耐性は作られるが、紅煉の電撃はチェシャキャットの耐性を上回る威力であった。
一つは、体内に埋め込まれたARMSコア自体の損傷だ。
コアが完全に砕かれてしまえば、適正者の肉体は崩壊する他ない。
そして、もう一つが電撃である。
電撃を受ければ、ARMSを構成するナノマシンは一時的に機能を停止する。
ARMSの特性である『自己進化』により耐性は作られるが、紅煉の電撃はチェシャキャットの耐性を上回る威力であった。
ゆえに、逃亡を図った。
まず即座に発動させられる短距離空間移動で、喫茶店外に飛び出し――
それから発動まで僅かに時間のかかる長距離空間移動で、隣のエリアまで移動したのだ。
長距離空間移動による体力消費が当初の予想より遥かに大きいのは、二度使用した時点ですでに分かっていた。
リスクを踏まえた上で、カードを切ったのだ。
それから発動まで僅かに時間のかかる長距離空間移動で、隣のエリアまで移動したのだ。
長距離空間移動による体力消費が当初の予想より遥かに大きいのは、二度使用した時点ですでに分かっていた。
リスクを踏まえた上で、カードを切ったのだ。
フラッシュバックしたのは、コウ・カルナギとの邂逅だ。
自らが最強のARMSでないと自覚しながら、最強にのし上がるつもりのなかった頃。
自らが最強のARMSでないと自覚しながら、最強にのし上がるつもりのなかった頃。
あのときとは――違う。
先のために消耗を抑える気はない。
次の一戦を意識しながら、他者と戦闘する気はない。
次の一戦を意識しながら、他者と戦闘する気はない。
「ここは……」
ひとりごちて、グリーンはレーダーを取り出す。
ディスプレイに映し出される内容によれば、現在地は喫茶店からまっすぐ東に移動したエリアF-5であるようだ。
海岸付近に、二つの光点が表示されている。
体力の消費具合を考慮するに、やはり近距離まで歩み寄ってから空間移動を使うべきだ。
ディスプレイに映し出される内容によれば、現在地は喫茶店からまっすぐ東に移動したエリアF-5であるようだ。
海岸付近に、二つの光点が表示されている。
体力の消費具合を考慮するに、やはり近距離まで歩み寄ってから空間移動を使うべきだ。
そう判断して歩みを進めていると、グリーンの身体が突如震え上がる。
チェシャキャットがARMSの共振を捉えたのである。
しかしその反応は、グリーンの知るどのARMSのものとも違う。
脳裏を掠めるのは、初めて敗北を喫した相手であるジェームズ・ホワンの姿だ。
彼は量産型の『モデュレイテッドARMS』を使っていた。
もしかしたら、この殺し合いにもモデュレイテッドARMSの適正者がいるのかもしれない。
そう思うだけで、グリーンは意図せず歯を噛み締めていた。
レーダーに光点を表示させておく必要など、もはやなくなった。
共振を辿ればいいだけなのである。
しかしその反応は、グリーンの知るどのARMSのものとも違う。
脳裏を掠めるのは、初めて敗北を喫した相手であるジェームズ・ホワンの姿だ。
彼は量産型の『モデュレイテッドARMS』を使っていた。
もしかしたら、この殺し合いにもモデュレイテッドARMSの適正者がいるのかもしれない。
そう思うだけで、グリーンは意図せず歯を噛み締めていた。
レーダーに光点を表示させておく必要など、もはやなくなった。
共振を辿ればいいだけなのである。
ほどなくして、グリーンは共振から数十メートルほどの地点に到着する。
歩む速度を緩めて、より神経をとがらせる。
歩む速度を緩めて、より神経をとがらせる。
そんなグリーンの行動を読み取ったかのように、幼さを帯びた声が響いた。
「『ザケル』」
声のしたほうから、青白い電撃が飛んでくる。
グリーンは背後に跳んで、すんでのところで回避する。
電撃はグリーンが先ほどまでいた地点に的確に命中し、衝撃で地面が大きく抉れた。
グリーンは背後に跳んで、すんでのところで回避する。
電撃はグリーンが先ほどまでいた地点に的確に命中し、衝撃で地面が大きく抉れた。
「クハハ、いい反応をするじゃないか」
哄笑しながら、声の主が歩み寄ってくる。
その姿を見て、グリーンは眉をひそめてしまう。
まだ小学校低学年ほどの子どもにしか見えないのだ。
とはいえ、だからといって警戒心を緩めることはない。
電撃はARMSの弱点である。
まだ幼い子どもにしか見えないが、下手をすれば敗北を喫しかねない。
その姿を見て、グリーンは眉をひそめてしまう。
まだ小学校低学年ほどの子どもにしか見えないのだ。
とはいえ、だからといって警戒心を緩めることはない。
電撃はARMSの弱点である。
まだ幼い子どもにしか見えないが、下手をすれば敗北を喫しかねない。
それにしても――と、グリーンは思う。
あまりにも、電撃を放つ参加者が多すぎる。
これまでにグリーンが出会った参加者は十人だが、そのうち三人が電撃を使うではないか。
慢心や油断を捨てる決意をしたものの、ARMS自体が機能停止しては戦いようがない。
空間移動で逃げることすらできなくなるのだ。
これまでにグリーンが出会った参加者は十人だが、そのうち三人が電撃を使うではないか。
慢心や油断を捨てる決意をしたものの、ARMS自体が機能停止しては戦いようがない。
空間移動で逃げることすらできなくなるのだ。
先ほどと同じように空間移動を発動させようとして、グリーンの頭にある策が浮かぶ。
「キミ、名前はなんと言う?」
笑顔で尋ねると、少年は眉根を寄せる。
答える気はないらしい。
別に、グリーンは構わなかった。
いきなり仕掛けてきたことから、少年が殺し合いに乗っているのは明らかだ。
ならば、それだけで十分だ。
答える気はないらしい。
別に、グリーンは構わなかった。
いきなり仕掛けてきたことから、少年が殺し合いに乗っているのは明らかだ。
ならば、それだけで十分だ。
「ここからまっすぐ西に一エリア進むと喫茶店がある。
そこに三人ほど参加者が集まっているから、彼らと戦ってくれないか」
そこに三人ほど参加者が集まっているから、彼らと戦ってくれないか」
少年はしばし唖然としてから、獰猛な笑みを浮かべた。
「そうかそうか……!
ならば、そいつらを仕留めてやるさ。貴様を殺してからなッ!」
ならば、そいつらを仕留めてやるさ。貴様を殺してからなッ!」
歯を剥き出しにして、紫電の眼光がきらめく。
少年のその反応は、グリーンの予想通りであった。
少年のその反応は、グリーンの予想通りであった。
「残念ながら、そうはいかないな」
「ふん、ナメるなよ。貴様を逃がすとでも――」
「ふん、ナメるなよ。貴様を逃がすとでも――」
少年が言い切るのを待たず、グリーンは空間移動を発動させた。
「芳乃ッ!!」
少年――ゼオン・ベルが怒りを露にしながら、忠実な部下を呼びつける。
全力疾走でやってきた染井芳乃は、おどおどした様子でゼオンに用を尋ねる。
全力疾走でやってきた染井芳乃は、おどおどした様子でゼオンに用を尋ねる。
「先ほど捉えた反応を探れッ!」
声を荒げるゼオンだったが、芳乃は申し訳なさそうに頭を垂らすばかり。
「すみません、ゼオン様。
なんの反応も感知できません……おそらくかなり離れられたものかと」
「ちいいいッ!!」
なんの反応も感知できません……おそらくかなり離れられたものかと」
「ちいいいッ!!」
ゼオンが、跳び上がって芳乃の胸ぐらを掴む。
魔界の王となるべきゼオンが、名も知らぬ男に命令されたのだ。
身の程を分からせてやる暇もなく、逃げられてしまったのだ。
到底、許せるはずがない。
魔界の王となるべきゼオンが、名も知らぬ男に命令されたのだ。
身の程を分からせてやる暇もなく、逃げられてしまったのだ。
到底、許せるはずがない。
対して芳乃は謝るばかりである。
神慮思考による記憶操作で忠実な部下となっているからであるのだが、これはこれでおもしろくない。
ゼオンは芳乃の胸ぐらから手を放し、西に視線を飛ばす。
神慮思考による記憶操作で忠実な部下となっているからであるのだが、これはこれでおもしろくない。
ゼオンは芳乃の胸ぐらから手を放し、西に視線を飛ばす。
「……しようがない。
この怒りを、ヤツの言っていた三人とやらで晴らすとするか」
この怒りを、ヤツの言っていた三人とやらで晴らすとするか」
ゼオンの手元で、青白い電流が火花を散らした。
【F-5 倉庫周辺/一日目 午前】
【ゼオン・ベル】
[時間軸]:リオウ戦後、ガッシュの記憶を垣間見るより前。
[状態]:疲労(小)、腕と腹部にダメージ(傷は塞がったが完治とは言い難い)、睡眠中
[装備]:ゼオンのマント、ゼオンの魔本@金色のガッシュ!!、神慮思考@烈火の炎
[道具]:基本支給品一式、獣の槍@うしおととら、金糸雀@金剛番長、携帯電話(とらの写真&動画)@出典不明、モデュレイテッドARMSのリミッター解除装置@ARMS
[基本方針]:殺し合いに優勝し、バオウをこの手に。ひとまず回復を待ち、回復しきったら倉庫を調査。
[時間軸]:リオウ戦後、ガッシュの記憶を垣間見るより前。
[状態]:疲労(小)、腕と腹部にダメージ(傷は塞がったが完治とは言い難い)、睡眠中
[装備]:ゼオンのマント、ゼオンの魔本@金色のガッシュ!!、神慮思考@烈火の炎
[道具]:基本支給品一式、獣の槍@うしおととら、金糸雀@金剛番長、携帯電話(とらの写真&動画)@出典不明、モデュレイテッドARMSのリミッター解除装置@ARMS
[基本方針]:殺し合いに優勝し、バオウをこの手に。ひとまず回復を待ち、回復しきったら倉庫を調査。
【染井芳乃】
[時間軸]:9巻2話『獣人伝承2』以降、保存版文庫版収録の『GOLD RUSH』より前(=高校在学中)。
[状態]:モデュレイテッドARMS化、記憶操作(※)
[装備]:制服(右腕の裾が無くなっている。スカートがミニスカ状態)、モデュレイテッドARMSの核(体内)@ARMS
[道具]:基本支給品一式×2、とらの毛数本@現地調達品、ジップロック×5@現地調達品、牛丼×2@うえきの法則
[基本方針]:ゼオン様の優勝を全力でサポート! 警戒を続ける。
※ゼオンの能力で名前以外の記憶を奪われ、神慮思考によりゼオンの僕としての記憶を植え付けられました。
[時間軸]:9巻2話『獣人伝承2』以降、保存版文庫版収録の『GOLD RUSH』より前(=高校在学中)。
[状態]:モデュレイテッドARMS化、記憶操作(※)
[装備]:制服(右腕の裾が無くなっている。スカートがミニスカ状態)、モデュレイテッドARMSの核(体内)@ARMS
[道具]:基本支給品一式×2、とらの毛数本@現地調達品、ジップロック×5@現地調達品、牛丼×2@うえきの法則
[基本方針]:ゼオン様の優勝を全力でサポート! 警戒を続ける。
※ゼオンの能力で名前以外の記憶を奪われ、神慮思考によりゼオンの僕としての記憶を植え付けられました。
◇ ◇ ◇
ゼオンと芳乃が遠ざかるのを待って、キース・グリーンは大きく息を吐いた。
狙い通りに勘違いしてくれたようだが、グリーンは遠くまで行ったワケではない。
ただ近距離空間移動で距離を取って、いままで息を潜めていただけだ。
ARMSの共振波など、ARMSの扱いに慣れていれば好きなように制御できるのだ。
狙い通りに勘違いしてくれたようだが、グリーンは遠くまで行ったワケではない。
ただ近距離空間移動で距離を取って、いままで息を潜めていただけだ。
ARMSの共振波など、ARMSの扱いに慣れていれば好きなように制御できるのだ。
「ふう。ひとまず、これでいいかな」
レーダーを確認してみれば、ゼオンと芳乃の反応はまっすぐ西に向かっている。
このまま動けば、喫茶店に到着することだろう。
他の反応はないので、グリーンはしばらく身を休めることにする。
長距離空間移動を短時間で三度使ったのは、あまりに無計画すぎたと言わざるを得なかった。
そのすべてがどうしても必要な事態ゆえの発動だとはいえ、である。
このまま動けば、喫茶店に到着することだろう。
他の反応はないので、グリーンはしばらく身を休めることにする。
長距離空間移動を短時間で三度使ったのは、あまりに無計画すぎたと言わざるを得なかった。
そのすべてがどうしても必要な事態ゆえの発動だとはいえ、である。
「僕が休んでいるうちに、せいぜい殺し合ってくれ。
電撃を放つ者同士で相打ちでもしてくれれば、それこそ最良だな」
電撃を放つ者同士で相打ちでもしてくれれば、それこそ最良だな」
軽口を叩くような口調で言うと、グリーンは倉庫に背中を預けて目を閉じた。
【F-5 倉庫周辺/一日目 午前】
【キース・グリーン】
[時間軸]:コミックス17巻NO.11『死王~バロール~』にて共振を感じ取って以降、コミックス18巻NO.3『聖餐~サクラメント~』にてキース・ブラックの前に立つ前。
[状態]:疲労(大)、共振波抑え中
[装備]:いつものスーツ、参加者レーダー@オリジナル
[道具]:基本支給品一式+水と食料一人分、カツミの髪@ARMS(スーツの左胸裏ポケット)
[基本方針]:なんとしても最後の一人となる。そのためなら兄さんや姉さんだって殺すし、慢心を捨てて気に入らない能力の使い方だってする。ひとまず回復待ち。
※空間移動をするとかなり体力を消耗するようです。
※レーダーに、御神苗優は反応してません。理由は以降のSSに任せます。
[時間軸]:コミックス17巻NO.11『死王~バロール~』にて共振を感じ取って以降、コミックス18巻NO.3『聖餐~サクラメント~』にてキース・ブラックの前に立つ前。
[状態]:疲労(大)、共振波抑え中
[装備]:いつものスーツ、参加者レーダー@オリジナル
[道具]:基本支給品一式+水と食料一人分、カツミの髪@ARMS(スーツの左胸裏ポケット)
[基本方針]:なんとしても最後の一人となる。そのためなら兄さんや姉さんだって殺すし、慢心を捨てて気に入らない能力の使い方だってする。ひとまず回復待ち。
※空間移動をするとかなり体力を消耗するようです。
※レーダーに、御神苗優は反応してません。理由は以降のSSに任せます。
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113:未来位置 | 秋山優(卑怯番長) | : |
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100:100話到達記念企画、首輪の謎に迫る! | ゼオン・ベル | : |
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