風と煩悩と謎の玉 ◆CFbjQX2oDg



高校一年生、霧沢風子。
火影魔道具の一つ『風神』の使い手。
彼女は紅麗の館、裏武闘殺陣、天堂地獄争奪戦と数多くの死闘に身を投じてきた。
先の戦闘で火影最凶の魔道具『天堂地獄』を手に入れた森光蘭の手により“治癒の少女”佐古下柳は攫われた。
友人である佐古下柳を取り戻す為
長きに渡る火影の因縁に終止符を打つ為
要塞都市SODOMに乗り込――――んだはずだった。

気付いたらあの大広間にいた。
キース・ブラックと名乗る男に殺しあえと言われた。
それに逆らった我紗喰を連想させるような大男が一瞬で消された。
烈火が外国人と一緒に立ち向かった。金色の獣も襲い掛かった。

その時の私は――震えていた。

――アザゼル
意識を取り戻した私は、誰かが呟いたその言葉を最初に耳にした。
その言葉が指し示す繭にも似た物体を見た瞬間に本能が叫んだ。

あれを絶対に目覚めさせてはいけない、と。

でも私の身体は動いてくれなかった。誰でもいい、あれを壊してくれと願った。
だけど、キース・ブラックの手により阻まれた。
無性にお母さんに会いたくなった。

視界が暗転して、気付くと森の中に私は立っていた。
先ほどの光景が夢や幻覚でないことは首にある冷たい感触が教えてくれた。

現在の彼女の腕には相棒ともいえる魔道具『風神』は存在しない。
左足に装着していた神慮伸刀も没収されている。
風神の小玉を全て使い果たして、もはや只の小手に成り下がったけれど、いざ無くなると心許ない。
自身の魔道具だけでなく緋水の意思を受け継いだ魔道具まで気付かぬ内に没収されてしまうことを情けなく思う。

死闘に身を投じるための気持ちの整理はできているつもりだった。
だけど、今の私に一体何が出来るのだろう。
私がもっと強かったら

柳は――

緋翠は――

カツミと呼ばれた女の子は――

――守れたんじゃないのか。

今までの力で守れなかったのに、魔道具を取り上げられた私で何かを守ることが出来るのだろうか。
火影の中でも……いや、きっとこの殺し合いの中でも私は弱い。
力が――大切なものを守れる力が欲しい。そう願わずにはいられなかった。

突然、大きな何かが飛び出し迫ってくる。
思考に気を取られていた風子は、襲い来る何かを防ぎきれない。
せめて衝撃に備えようと身体に力を入れる。

だが、一向に痛みはこない。弱気になった己の心が生み出した幻影だったのか。
いいや、違う。
身体全体に悍ましい感触が這いずり回る。



むにゅむにゅ



バンダナを額に巻いた男が抱きついている。
コアラのように足を絡め、そして男の手は高校生にしては豊かに育った風子の胸をしっかりと握り締めて。
抱きついている男と目が合う。
凍った時が緊張感と共に音を立てて崩れ落ちた。

「はっ! しまった! 草陰から様子見するつもりが、色っぽい身体を見たら、つい……!」
「いきなり何さらすんじゃ! このボケェェェェッ!!!」

風子渾身のエルボーが男の顔に直撃し、男の悲鳴が森に響きわたる。



◇ ◆ ◇


深夜に若い男が女子高生に土下座を続ける。
傍から見たら通報は間違いなし。
駆けつけた警察官による職務質問から社会的抹殺まではクー○ーも驚きの速度を叩き出すだろう。

男の名前は横島忠夫。
美神令子除霊事務所の奴隷…ではなく超薄給(時給255円)のアルバイトで、美神令子の助手を務めている。
バカで優柔不断で悪運が非常に強い。そして、自他共に認める煩悩王である。

横島は会場に飛ばされてから、草陰で美神さんが助けに来てくれるのをずっと待っているつもりだった。
隠れていると物音が聞こえ、もしかしたら美神では……と淡い期待を抱いて覗いてみたら風子がいた。
その後は知っての通りである。

「ったく。次にしたら殺すからね」

泣きながらの土下座があまりにも様になっていて、なんだが逆に男の将来が心配になってくる。
余談だが、許しを伝えた瞬間にまた抱きつこうとした横島が地面にめり込むほど頭をぶん殴られた。

その後復活した横島と風子は、互いに敵意が無いことを知り簡単に自己紹介をした。
名簿を見て互いの知り合いを教えあい、そして二人とも未確認の支給品を確認することになった。
リュックサックを開けてると、隣にいた横島が涙を流しながら大きくガッツポーズしている。
よほど良い物が支給されたのかと思ったら、どうやら食料を見て喜んでいるようだ。
普段の食事より豪華じゃああ、とものすごい喜んでいる。
普段どんな食生活を送っているのだろうか。そんな横島は放っておいて自分の支給品の確認をつづける。

取り出されたのは一振りの剣
それは、とある一つの世界を震撼させる魔王を生み出した魔剣
それは、天を二分する神の宿りし魔剣
それは、覇王と成りうる力を秘めた魔剣

剣の名は『風神剣』

付属された紙の記述は一文のみ。

【風神剣:風を自在に生み出し操ることが出来る剣。雷神剣と対する宝剣】

剣を握り締め、魔道具の風神を使用するときのように力を込めながら剣を振り下ろす。
旋風の刃が剣から放たれ、その切っ先で触れることなく眼前の枝を切り落としていく。

(よしっ。問題無く使える。これで私もまだ……戦える!)

霧沢風子は風神剣が魔剣と呼ばれる所以を知らない。
神慮伸刀と風神が合体したもの、火影魔道具の亜種、その程度の認識であった。
風神剣に宿る風神は、火影魔道具の風神のように生易しいものではない。
力に溺れた者の心をその旋風で一気に飲み込み、使用者を鬼へと変貌させる。


風の宝玉が妖しく光る。



◇ ◆ ◇



豪華な食料(横島談)に感謝の土下座に満足した横島も他に何が支給されているのかとリュックサックを漁る。

「風子ちゃんは剣か。俺にはどんな武器が入っているのかな」


┏━━━━━━━━━━━━━┓
 横島は謎の玉をみつけた!▽

 横島は出ろと念じてみる! ▽

 しかし、何も起こらない!  ▽
┗━━━━━━━━━━━━━┛


チキショオオオオオオ!! あの金髪イケメンヤローめ! 不良品を掴ませやがって!!
ええい! 不良品の玉などに構っていられるか! 他に何かないのか! 
横島の右手がリュックサックから栄光を掴み取る。
出てきたのは――

【ハンディカラオケ:50曲収録されているぞ! 君のステキな歌声で女の子のハートをゲットだぜ☆】

ふざけんなああああああああああああああああああああああ!!
カラオケマイクでどう戦えって言うんだよ! 
ラブ&ピースを歌っても自分の身は守れねぇんだよ!!

スーハー スーハー

落ち着け… KOOLになるんだ。横島忠夫。  
いつものKOOLな頭脳で今の状況を分析するんだ。
確かに飯の件には感謝しているが、それとこれとは話が別だ。
俺の手元にあるのはカラオケマイクと玉がひとつ。
こんなもの敵に投げつけてそれで終わりじゃないか。
そうだ。武器が無いなら自分で出せばいいじゃないか。
俺には文殊があったじゃないか! 
焦る必要なんて無かったな。こやつめ、ハハハ!
よし、では早速。

ヌオォォォォォォォォォォォ


┏━━━━━━━━━━━━━━━┓

 横島は文殊を出そうとしている!▽

 しかし、何も起こらない!     ▽
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛


えっ……?



どうやら横島の霊力の源である煩悩パワーが実験説明の段階のシリアスシーンの連続で尽きてしまったようだ。
そう、彼はシリアスな戦いに極めて弱い。

「あれ? もしかして、俺はこのままじゃ……死ぬ!?」

嫌じゃああああああああああああああああ!! まだ死にたくなあああああああああいいいいいいいいい!!

「風子ちゃん。頼む! 触らせてくれー! それが駄目なら脱いでm……」
「誰がするか!!」
再び風子の体目掛けてとびかかる横島だが、もちろん風子の拳によって阻まれた。


【B-1 森林/一日目 深夜】

【霧沢風子】
[時間軸]:SODOM突入前
[状態]:健康
[装備]:風神剣@YAIBA
[道具]:基本支給品一式、支給品0~2(本人確認済み)
[基本方針]:烈火たちと合流したい

【横島忠夫】
[時間軸]:不明。後の書き手の方におまかせします。
[状態]:健康、焦り
[装備]:ハンディカラオケ@現実
[道具]:基本支給品一式、謎の玉@不明、残り支給品0~1(本人確認済み)
[基本方針]:死にたくない


【支給品紹介】

【風神剣@YAIBA】
風神の力を司る魔剣。訓練すれば竜巻を発生させることが出来るほどの力を秘めている。

【ハンディカラオケ@現実】
50曲まで内臓されているマイク型カラオケ。収録楽曲は多分参加作品の関連曲だと思う。

【謎の玉@不明】
蔵王では無い何かの玉。




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