強がりを一つ聞いてくれ ◆GmTqfb9yfU
小さな机が立ち並ぶ夜の教室に月明かりが差し込む。
昼間なら子供たちで溢れかえっているであろう小学校も、こう静まり返っていてはどことなく不気味な雰囲気を醸し出す。
それが殺し合いを強いられて飛ばされた場所ならなおさらだ。
そんな場所にサル顔の少年は立っていた。
昼間なら子供たちで溢れかえっているであろう小学校も、こう静まり返っていてはどことなく不気味な雰囲気を醸し出す。
それが殺し合いを強いられて飛ばされた場所ならなおさらだ。
そんな場所にサル顔の少年は立っていた。
この少年、一見サル顔のなんの変哲もない少年に見えるが実は只者ではないのだ。
彼の名は宗谷ヒデヨシ。
知力を絞り戦で手柄を立て出世していった武将と同じ名を持つ彼は、神を決める戦いにおいて数々の能力者達を己の知力体力を駆使し、退けたというその名に恥じぬ実績を持っていた。
それは最悪で最強と言われる能力者ロべルト・ハイドンに忠誠を使う、能力者の中でも特に優れた戦闘能力を誇るロベルト十団ですら、二度と戦いたくないと言わしめる程の実力を持つ。
与えられた能力は決して強いとは言い難いが、持ち前の機転の速さに始まり舌先三寸口八丁手八丁、あの手この手で迫り来る能力者達を騙し討ちにし返り討ちにしてきたのだ。
そんな並々ならぬ戦歴を持つ少年が何を思っていたかというと……
彼の名は宗谷ヒデヨシ。
知力を絞り戦で手柄を立て出世していった武将と同じ名を持つ彼は、神を決める戦いにおいて数々の能力者達を己の知力体力を駆使し、退けたというその名に恥じぬ実績を持っていた。
それは最悪で最強と言われる能力者ロべルト・ハイドンに忠誠を使う、能力者の中でも特に優れた戦闘能力を誇るロベルト十団ですら、二度と戦いたくないと言わしめる程の実力を持つ。
与えられた能力は決して強いとは言い難いが、持ち前の機転の速さに始まり舌先三寸口八丁手八丁、あの手この手で迫り来る能力者達を騙し討ちにし返り討ちにしてきたのだ。
そんな並々ならぬ戦歴を持つ少年が何を思っていたかというと……
「ぶっちゃけ恐ええええええ!!何だ殺し合えって……
ふざけてんのかっ!!大体神様決める戦いはどうなったんだよ。中学生じゃねえどころか明らかに人間じゃねえ奴もいんじゃねえかよ!!」
ふざけてんのかっ!!大体神様決める戦いはどうなったんだよ。中学生じゃねえどころか明らかに人間じゃねえ奴もいんじゃねえかよ!!」
殺し合いに対する恐怖と理不尽に対する怒りでどうにかなりそうだった。
自分の能力は声を似顔絵に変えるという、敵を出しぬくのに使えないこともないが所詮攻撃力はゼロだ。
あそこにいた化物どもに到底勝てるとは思えない。
あそこにいた化物どもに到底勝てるとは思えない。
「そっそうだ。確かこの玉の中に支給品が入ってたはず!なんか役に立つものはっと……」
最初に出て来たものは小さな魚を模した容器だった。
中には黒い液体が入れてある。
ヒデヨシにはこの支給品に見覚えがあった。
中には黒い液体が入れてある。
ヒデヨシにはこの支給品に見覚えがあった。
「これ醤油差しじゃねえかあああああ!!確かに醤油ボンバーは俺の十八番だけども」
最後の一人までしか生き残れないバトルロワイアルでこんな物が何の役に立つというのか。
ヒデヨシは次の支給品にかけた。
「まだなんかあるみたいだし、今度こそすげーもんが入って……」
ヒデヨシは言葉を失った。
出て来たのは緑色の物体が入ったチューブ、そう只の山葵だ。
ヒデヨシは次の支給品にかけた。
「まだなんかあるみたいだし、今度こそすげーもんが入って……」
ヒデヨシは言葉を失った。
出て来たのは緑色の物体が入ったチューブ、そう只の山葵だ。
「おい、この流れだと次に出てくんのは大豆の発酵食品だったりしねーだろうな」
だが、ヒデヨシの悪い予感は裏切られることとなった。
それもさらに悪い方向にだが。
それもさらに悪い方向にだが。
最後の支給品は数枚のブロマイド写真。
それも可愛らしいアイドルの物ではなく、やたらとファンキーなオッサンが写っている。
説明書には神様ブロマイド写真と書いてある。
それも可愛らしいアイドルの物ではなく、やたらとファンキーなオッサンが写っている。
説明書には神様ブロマイド写真と書いてある。
「神様ァあああ!!これが!?つーか戦いがこんなんになっちまったのに何やってんだよこのオッサン」
まさか支給品が全部外れだったとは、キースとかいう男は本当に殺し合いをさせる気があるのだろうか。
おまけに名簿には知ってる名が一つだけ。
それも最悪で最強の能力者、ロべルト・ハイドン唯一人だけだ。
どんな能力を持っているのかは知らないが、きっと会った瞬間殺されてしまうだろう。
まさか支給品が全部外れだったとは、キースとかいう男は本当に殺し合いをさせる気があるのだろうか。
おまけに名簿には知ってる名が一つだけ。
それも最悪で最強の能力者、ロべルト・ハイドン唯一人だけだ。
どんな能力を持っているのかは知らないが、きっと会った瞬間殺されてしまうだろう。
そもそも命を奪うなんてことができるのか?この自分に
答えはNOだ。
人を殺すなんて何の覚悟も度胸もない奴ができるわけがない。
答えはNOだ。
人を殺すなんて何の覚悟も度胸もない奴ができるわけがない。
ならば大人しく殺されるのか?
それもNOだ。
理由は二つ。一つ目の理由は単純、死ぬのが怖いから。
誰だって死ねと言われて分かりましたなんて言えるわけがない。自分はまだ中学生、こんな若さで死にたくはない。
そして二つ目の理由。
自分には守らないといけない奴らがいる。孤児院『たいようのいえ』に住む子供達が自分の帰りを待ってくれているのだ。その子達の為にも生きてここから帰らなくてはならない。
それもNOだ。
理由は二つ。一つ目の理由は単純、死ぬのが怖いから。
誰だって死ねと言われて分かりましたなんて言えるわけがない。自分はまだ中学生、こんな若さで死にたくはない。
そして二つ目の理由。
自分には守らないといけない奴らがいる。孤児院『たいようのいえ』に住む子供達が自分の帰りを待ってくれているのだ。その子達の為にも生きてここから帰らなくてはならない。
誰も殺さずこの場を脱出すると決めたヒデヨシはある作戦を思いついた。
その名も……
その名も……
「よしっ決めた!!名付けて『ぶっちゃけ誰かが解決してくれるのを待つまでじっとして身をひそめてる作戦』だ!!
ま、あの場で主催者に反発してた奴ら、めちゃくちゃ強そうだったしぶっちゃけ俺みたいな奴が前に出たところでそいつらの邪魔になりかねないしな。
弱者は弱者らしく強そうな奴に身を守ってもらってりゃいいんだよ」
ま、あの場で主催者に反発してた奴ら、めちゃくちゃ強そうだったしぶっちゃけ俺みたいな奴が前に出たところでそいつらの邪魔になりかねないしな。
弱者は弱者らしく強そうな奴に身を守ってもらってりゃいいんだよ」
すがすがしいまでにネガティブなのかポジティブなのかよく分からない作戦を思いついたヒデヨシだった。
「さーて今後の方針も決まったし、取りあえずここでじっとしとくか」
「おいおい、他力本願にしたってまずは誰かとコンタクトとらねーことには何も始まらないだろ」
「それもそうだけどよー、っておおいつ!!だだだっ誰だお前!!」
いつの間にかヒデヨシの隣にどこか理知的な雰囲気の少年が立っていた。
歳はヒデヨシと同じくらいか。
学生服に身を包んでいることから恐らく中学生だろう。
歳はヒデヨシと同じくらいか。
学生服に身を包んでいることから恐らく中学生だろう。
「俺は高嶺清麿。あんた殺し合う気はないんだろ。取りあえず自己紹介がてらに情報交換と行こうぜ」
「へえ、魔界かあ。まあ天界があるなら魔界だってあるのかもな」
「こっちも驚いたよ。俺の知らないところで神を決める戦いがあってたなんてさ」
情報交換した二人はお互いに驚くようなことの連続だったが、普段の生活が魔物や天界やらの非日常に慣れていたので驚きながらも納得することができた。
「そうだ、お前の支給品は何なんだ?どうせろくでもねえもんなんだろうが」
「ああ、これだ」
そう言って出した物は紙を操れる玉、無線の役割を持つ二対の玉、まるでピエロが使う御手玉のような形をした爆弾だった。
「式紙って玉は応用の幅が広そうだし、この爆弾は強い衝撃を与えると爆発するそうだ。気をつけてつかわないとな。取りあえずコピー用紙500枚程玉の中に収納してみたんだ。ん、どうしたヒデヨシ?」
「いっいや、別に何でもねえよ」
(こいつ当たりアイテムのオンパレードじゃねえか。ちくしょう、なんだこの差別)
ヒデヨシは心の中で静かに毒づいた。
(こいつ当たりアイテムのオンパレードじゃねえか。ちくしょう、なんだこの差別)
ヒデヨシは心の中で静かに毒づいた。
「なあ清麿。これからどうすんだよ。お前は魔物じゃないし、口から電撃なんかだせないんだろ?」
「ああ、そうだな。俺には何の能力もない」
本当は彼にはアンサートーカーという頭に浮かんだ疑問の答えが瞬時に分かるという、まるで反則のような能力を持っていたのだが、どうやら主催者に封じられているようだった。
何のためにこのゲームが行われるのか
キース・ブラックとは何者なのか
どうすれば優勝という道以外に脱出できるのか
キース・ブラックとは何者なのか
どうすれば優勝という道以外に脱出できるのか
他にも沢山の疑問が浮かんだが答えを知ることは出来なかった。
しかし彼が絶望しきっているかと言うとそうでは無かった。
しかし彼が絶望しきっているかと言うとそうでは無かった。
アンサートーカーが使えないのは確かに痛いが、今までの魔物との戦いも己の頭脳で突破して来たのだ。
恐らくゲームにのってる人間も何人もいるだろうが、それに抗おうとする人間もいるはずだ。
この場所だってきっと活路を切り開いてみせる。
そう思った。
恐らくゲームにのってる人間も何人もいるだろうが、それに抗おうとする人間もいるはずだ。
この場所だってきっと活路を切り開いてみせる。
そう思った。
そして何より、この名簿に書かれた仲間達を失いたくない。
(ガッシュ、お前もこの場所にいるのか……
お前にまた会いたいと思っていたが、まさかこんな形で再開することになるなんてな。
会ったら話したいことが山ほどあるぜ)
お前にまた会いたいと思っていたが、まさかこんな形で再開することになるなんてな。
会ったら話したいことが山ほどあるぜ)
既に魔界の王を決める戦いは終わり、ガッシュは王となった。
人間のパートナーと赤い本はもう御役御免のはずだ。
しかもアンサートーカーの能力も封じられては大した活躍はできないかもしれない。
人間のパートナーと赤い本はもう御役御免のはずだ。
しかもアンサートーカーの能力も封じられては大した活躍はできないかもしれない。
だけど、きっとこのゲームを壊してみせる。
モチノキ町を模したふざけた舞台を用意した主催者共もぶっ倒す。
(そしたら、また遊ぼうぜ。魔界の土産話とか聞かせてくれよな)
モチノキ町を模したふざけた舞台を用意した主催者共もぶっ倒す。
(そしたら、また遊ぼうぜ。魔界の土産話とか聞かせてくれよな)
不安だらけの中で清麿は強がる。
赤い本の魔物の子に、もう一度会うために。
【B-2 小学校・三年A組の教室/一日目 深夜】
【宗屋ヒデヨシ】
[時間軸]:植木達と出会う前
[状態]:健康
[装備]:醤油差し @うえきの法則、わさび @うえきの法則、神様激レアブロマイド10枚セット(非売品) @うえきの法則
[道具]:基本支給品一式+水と食料一人分、支給品(醤油差し @現実、わさび @現実、神様激レアブロマイド10枚セット(非売品) @うえきの法則)
[基本方針]:生きて帰りたいけど人は殺したくない。
[時間軸]:植木達と出会う前
[状態]:健康
[装備]:醤油差し @うえきの法則、わさび @うえきの法則、神様激レアブロマイド10枚セット(非売品) @うえきの法則
[道具]:基本支給品一式+水と食料一人分、支給品(醤油差し @現実、わさび @現実、神様激レアブロマイド10枚セット(非売品) @うえきの法則)
[基本方針]:生きて帰りたいけど人は殺したくない。
【高嶺清麿】
[時間軸]:最終回後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式+水と食料一人分、支給品(式紙 @烈火の炎、声玉 @烈火の炎、テオゴーチェの爆弾ボール @からくりサーカス)
[基本方針]:このゲームからの脱出・ガッシュに会いたい
[時間軸]:最終回後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式+水と食料一人分、支給品(式紙 @烈火の炎、声玉 @烈火の炎、テオゴーチェの爆弾ボール @からくりサーカス)
[基本方針]:このゲームからの脱出・ガッシュに会いたい
【支給品紹介】
【醤油差し@うえきの法則】
ヒデヨシが植木と森に会った際、逃げる時に使った技、醤油ボンバーに使用したのと同じ醤油差し。※ヒデヨシの説明書には只の醤油差しとだけ書かれています。
ヒデヨシが植木と森に会った際、逃げる時に使った技、醤油ボンバーに使用したのと同じ醤油差し。※ヒデヨシの説明書には只の醤油差しとだけ書かれています。
【山葵@うえきの法則】
ヒデヨシがウーゴに特選ワサビームに使用したのと同じ山葵。※ヒデヨシの説明書には只の山葵とだけ書かれています。
ヒデヨシがウーゴに特選ワサビームに使用したのと同じ山葵。※ヒデヨシの説明書には只の山葵とだけ書かれています。
【神様激レアブロマイド10枚セット(非売品)@うえきの法則】
眠れる果実島で行われた三次選考第一試合で宝として使われた神様のブロマイド写真。
眠れる果実島で行われた三次選考第一試合で宝として使われた神様のブロマイド写真。
【式紙@烈火の炎】
手のひら大の大きさで中に『紙』文字のが記してある玉。紙を操ることが出来る。
手のひら大の大きさで中に『紙』文字のが記してある玉。紙を操ることが出来る。
【声玉@烈火の炎】
手のひら大の大きさで中に『声』文字のが記してある二対の玉。離れている相手とも連絡を取り合える。
手のひら大の大きさで中に『声』文字のが記してある二対の玉。離れている相手とも連絡を取り合える。
【テオゴーチェの爆弾ボール】
誘拐組の高見が操る懸糸傀儡『テオゴーチェ』の爆弾ボール。大きさはハンドボール程。
誘拐組の高見が操る懸糸傀儡『テオゴーチェ』の爆弾ボール。大きさはハンドボール程。
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