363 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/11(火) 22:49:37 ID:7RC2zM520 [1/3]
「今日もみんなと一緒で本当に楽しかったな」
中学校で見せるあたしは容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群なあたし。
腹の内を見せることなんて今までなかった。オフ会に行くまでは。
 
オフ会後に知り合った黒いのとでかいの。
黒いのは結構な大口を叩く、少し面倒な奴だけど、落ち込むときはあたしみたいに歳相応になる。
でかいのは、見た目だけで、中身はあたしとほとんど変わらない。それを無理して隠してる。
 
「そう・・・みんな、いろいろとあるのよね・・・」
あたしには表の友達がたくさんいる。だけど裏の友達なんていなかった。
黒いのとでかいのも、あたしとほぼ同じ。
特に黒いのは表の友達もいないらしいじゃん。あたしに感謝しなさいよ!
 
あたし、黒猫、沙織の生活のターニングポイントとなった、キーマン。
それが兄貴。変態、ロリコン、シスコン。
今まで兄らしいところなんて、ちっとも見せてくれなかった。
それがどうだろう。最近、周りの友達の兄より兄らしいことをしてくれる。
あたしは今までの兄貴はそれが全てで、もう何も感じ取ることなんてなかったと思い込んでた。
 
だけど違った。兄貴はやっぱり兄貴だった。
妹思いのやさしい兄貴だった。
兄貴のせいで凍り付いていたあたしの心を溶かしてくれたのは、
誰でもない、兄貴自身だった。
 
兄貴は、認めたくないけど、いろいろとモテてるみたい。
地味子を始め、沙織、特に黒猫に好意を持たれてる。
あやせだって、最初の内は兄貴に好意すら抱いてたみたいだったし。
ま、その結果は兄貴の変態趣味暴露で一気に冷め、
兄貴はあやせにとっての敵という存在までになった。ざまぁ見ろ!
 
そういえば・・・あやせと仲直りできたときも・・・兄貴はあたしに力を尽くしてくれた。
あのときは、あたしももうダメだと諦めてたのに・・・。
 
ずるいよ・・・今更、兄貴みたいなことして・・・。
罪滅ぼしにしても・・・遅すぎるよ・・・。
 
思い出というのは、色濃く覚えていても、隅々まで覚えていることが少ない。
だから、あたしは、不定期だけど日記をつけることにした。これが記念すべき1ページ目。
いずれ日記帳がいっぱいになるといいな。
 
「ふぅ・・・こんなところかしら」
そう、慣れないことからくる疲労感でぐったりしてるときに、ドアが勝手にひらいた。
 
「すまん、エロゲ返しに来たんだけど言いづらくてドアの前で待機してた」
父親ならごまかしが利くが、よりにもよって兄貴だった。
 
「ああああ、あああああ、あんた・・・いつから・・・そこに!?」
「ん?シーマンってとこぐらいから。」
「ほとんど全部じゃない!死ね!」
 
あたしは渾身の力で枕を兄貴に向かってぶん投げた。
後日、日記帳をシュレッダーにかけたのは言うまでも無い。



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最終更新:2011年01月14日 22:31