405 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/11/12(金) 22:47:04 ID:VH0NG+XB0 [2/3]
>>388

「桐乃ってぇ、この人のどこが良かったの?」
あたしの横に座っている天使(ブリジット@あるちゃん)が、とんでも無い質問をしてきたぁ。
ちょっ、ちょっ、いくらブリジットちゃんでも、答えられる質問と答えられない質問があるでしょー!
心臓がバクバクして、口をパクパクしていると、隣でじっと見ている京介が目に入る。
……こ、このっ、あたしが悪口を言うぞって顔して、ジト目で見てる…。
バカバカ、そんな目をされたら、いつもの悪態ついたら、あたしが嫌っているみたいじゃない。
よしっ、本当の事言ってやる。
こ、これは、デートシチュの一部なんだから、言ったって構わないよね!
後で幾らでも言い訳をすればいいんだし。

「……優しいところ、かな」
……言っている内に、恥ずかしくて小声になっているし…。
ま、まさか、気がつかれなかったよね。あたしが本気で言っているって事…。
「あと……結構頼りになる……ところ?」
言って、ちらって顔を見ると、目があった…。
まずいよ…絶対に…今、あたし…ところ?の後に…がマジ好きって言いそうになったし。
顔が赤くなって、体温が1度上昇する。このままじゃ気がつかれるよぉ。

「いや……ま、まーな」
それ程でもない様子で、照れる京介…あたしはそんな京介にいつものように肘鉄を食らわしていた。
ごめん!!!だってぇ……恥ずかしい。

「調子にのんなバカ、演技だっての」
「わかっているよ」
気がついた?やっぱ、気がつかれた!?でも、この際だから、絶対に言えない事告白しちゃおっかな。
「それとぉ……こいつ、あたしのコト、なんかめちゃくちゃ好きみたいで――」
「――そう言うところが……好き」
あたしは…最後の好きという言葉に…本当の気持ちを込めて、言った。

446 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/11/12(金) 23:56:43 ID:VH0NG+XB0 [3/3]
「どう……して」
京介が絞り出すようにそれだけを言った…侮蔑、怒り、悲しみ、全ての感情があたしに向けられている。
胸に刺さった…一年前なら、自分の気持ちを押し殺して、大喧嘩して無視すれば良かった。
仲の悪い兄妹で居られれば、それで幸せだった

「――ええと……桐乃さんは、お兄さんに、気付いて欲しかったんですよね?」
「ち、違う!」
違うわ、気がついて欲しかったんじゃない、あたしは……あたしは。
拳を握る手に力が籠もる。
「じゃあ、何だよ?」
そう、羨ましかった……黒猫も、地味子も……一番、近くに居るのに、ずっと一緒にいるのに…言えなかった。
妹……あたしが妹だから……言ってはならない、その言葉を。
「それは……それは! っ……!」

言ってしまえば、何もかも失ってしまう…そう、大切な…もの全て。
でも、溢れる感情を抑えきれない!
「あんたがっ……あんたがっ……!」
大切な友達、楽しい思い出、そしてこの一年間でずっと近づいた距離…。
何時までも、そのままで居られると思った…この楽しい時間がずっと続くと思っていた…。
でも、知ってしまった…あたしが居ない間に…あの二人の距離はずっと近く…そう、あたしよりも近くなってしまっていたことに。
このままじゃ………取られてしまう………でも、でもっ!!!!

「あんた……が……っ」
好きなのっ!!!!その言葉が、出てこない。
何でっ!何で、出ないの?世界で一番あんたを好きなのはあたしなのに!!!
涙が零れた…止めることができない。
どんなに努力してもどうすることができない…妹で生まれてしまったから…自分の気持ちを告白すらできない…。
バカ、バカ、バカ!!!何で、アニキなの?何で、言えないの?誰がそう、決めたの?
自分に沸き上がってくる感情を抑えきれない自分が、悔しくて悲しくて…どうすることもできなかった。



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最終更新:2010年12月30日 07:34