626 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/02/14(月) 07:52:43 ID:4rIZM49r0 [1/3]
チョコかと思いきや、婚約指輪とかw

627 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/02/14(月) 07:58:35 ID:aipcCAqJ0
バレンタイン・ブライドだな。問題無い。

651 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/02/14(月) 16:28:29 ID:burwn3dR0
>>626-627

今日はバレンタインデー
男達の沽券をかけた戦いの日だ
受験を控えたこの季節、クラスメイトにも会わないし、本来チョコを貰うのは難しい。

だが、俺には幼馴染も部活の後輩もいる。
そう、安心していた。

………それに、一応俺の彼女―――俺の妹様もいるしな。あんまり期待はしてないが………



ピンポーン
朝早くから、家のベルを鳴らす音

「おはよー、京ちゃん。」

扉を開けると幼馴染が立っていた。片手には少し小さめの袋をもっている。
これはさっそく、期待して良いのかっ!?

「この袋ね〜、桐乃ちゃんにわたしておいてね〜」

がくっ

「お、俺には?」
「えっ?」
「………あー、いや、なんでもないぞ?」

こいつの表情をみるに、何の事か全然わかってないようだ。
まあ、おばあちゃんだもんな、バレンタインなんて横文字、頭に入ってないよなー
そんな事を思っていると―――

「おはようございます。お兄さん、お姉さん。」
「おはよーあやせちゃん。」
「おう、おはよう」
「お姉さん、お兄さんにバレンタインのプレゼントですか?お熱いですね〜」

あやせは、とっても悪戯っぽい目をしてこちらをみている………
こいつ!分かってやってんなっ!

「あっ、えーと、その、ごめん京ちゃん。今年はチョコないの。」
「ま、まあ、し、仕方ないよなっ!受験勉強忙しいもんなっ………ははっ」
「お姉さんからもチョコもらえないなんて、かわいそう〜」
「そんな哀れっぽく言うなっ」

ひでえよ、こんな朝早くから………俺の心はもう俺そうだよ。
だ、だが、まだ希望はある。
マイラブリーエンジェルあやせたんも、綺麗に梱包された小箱を持ってるじゃないかっ

「あ、あやせは俺にチョコくれないのか?」
「えっ?………ああ、これですか?桐乃に渡してください。頼まれてたものです。」
「お、俺には無いのか?」
「お兄さんにバレンタインチョコあげるなんて、気持ち悪いじゃないですか〜」

一筋の希望にすがるつもりだった俺は、地の底にまで叩き落されたさ。
それにしたって酷くね?

「きょ、京ちゃん。げ、元気出してね?」
「………………………」

俺、もう、切なくなって死にそうだよっ!

「そ、それじゃあ、桐乃ちゃんによろしくね?」
「中身見たらブチ殺しますよ」
「あ…あ…」

俺は精気を全て失って家の中に戻り………
俺の貰えなかったチョコを、桐乃に渡したさっ!
そこでまた心に傷を負ったけどねっ!

「あんた、地味子にすらチョコ貰えなかったワケ?マジウケるっ♪」

か、彼女とはいえ、妹がチョコくれるとは思ってなかったけどよっ!
みんな………ひでえよぉ………





その後、桐乃は学校に向かい、俺は受験勉強の追い込みに集中する事にした。
そういや、何であやせは朝早くから桐乃にチョコ持ってきたんだろうな?
学校でも渡せた気がするんだが?

まいっか、俺には………関係ねーよ

その後も俺は勉強を続け、気がつけば夕方の五時半になっていた。

ピンポーン
今度は誰だ?誰が来たんだ?

「こんばんは、先輩」

あらわれたのは黒猫だった。
手には袋を持っている。今度こそっ!?

「この袋、あの女に渡しておきなさい。」
「………………………」
「な、何よ?」
「おまえなら………チョコをくれると信じてたのにっ」
「ハッ、真祖の血を引く私が、たかが変態ごときのためにチョコを持ってくるわけがないでしょう?」
「変態っ!?俺っ、人間以下に堕ちたのっ!?」
「当然でしょう?こん………いえ、何でもないわ。」
「そうだよな。どうせ俺なんて………俺なんて………」
「せいぜい、あなたの妹に慰めてもらう事ね」

そう言うと、黒猫はこちらを振り返る事も無く去っていってしまった。
今日は一体みんな、どうしたっていうんだよっ!
この俺が何をしたって―――

まあ確かに、セクハラ先輩だの変態シスコン兄貴だの、
色々思われるほどには「何か」してるかも知れないが…
でもっ、バレンタインデーは今日一日だけじゃないかっ…

今日くらい優しくしてくれたって………うっうっ………





夕食の後、更に俺の心を挫くイベントが待っていた。

「京介〜?あんた今年はいくつチョコを貰ったのかしら〜?」
「………お袋。聞かないでくれ………」
「麻奈実ちゃんからも貰えなかったわけ?」
「一個も………一個も貰えなかった………」
「ぷっ………可哀想ね〜。可哀想だから、あたしがチョコあげたいとこだけど、
 もうお父さんにあげちゃって無いのよ〜ごめんね〜♪」

この親っ、俺が試験前と分かってやってののか?
………ストレスで、実力が出せなかったら、全部お袋のせいにしてやるからなっ!

「それにしても、おかしいわね?」
「何だよ」
「京介。あんた本当に一個も貰ってないの?」
「いや?」
「おっかしいわねぇー」

お袋?何か心当たりでもあんのか?





それにしたって、今日は酷い一日だったな………
俺は再び受験勉強を続けるために、自分の部屋に戻り―――

「あ、兄貴?」

えーと?
ここは俺の部屋で、ベッドの上に居るのは俺の妹で、何故か裸リボンでベッドに横たわっていて?

コレ・ナンテ・エロゲ?

「あ、あんたがっ、誰からもチョコ貰えなくて可哀想だからっ!」

そう言って、桐乃は綺麗にラッピングされたチョコを差し出してくる………って

「田村屋?」
「しょうがないでしょっ?手作りだからっ、袋が無かったのっ」
「手作り………なのか?いや、それより何だその格好はっ!」
「だって、うまく出来なかったから、せめて、喜んで………欲しい………じゃん」
「そんな事しなくたって、嬉しいんだよっ………泣きたいくらいっ」

気がつけば、俺の目からは涙が流れ落ちていた。

「な、泣くことっ………ないじゃない………」

そう言う桐乃の顔も、今にでも泣き出しそうになってしまっていた。

「それと………コレっ」

桐乃が差し出したのは、今朝、あやせが持っていた小箱だった。

「本当は、あたしが自分でお店に取りに行くつもりだったんだけど………
 チョコ作るのがうまくいかなくって………」
「開けて………いいのか?」
「今、開けて」
「ああ」

厳重な梱包を開けていくと、中から可愛らしい縦開きの小箱が現れた。
これはまさか―――

箱を開くと………
そこには、綺麗なペアの銀のリングが、少し控えめに佇んでいた。

「これは………」
「あんた、お金持ってないし、甲斐性だってないし、鈍感だし、
 いつになるか分かんなかったんだもん………」

桐乃は顔をこれ以上ないくらい真っ赤にして泣き崩れて―――
世界で一番顔が台無しになってしまってるじゃないか………

「だ、だからっ………」

これ以上言わせるなんて、男じゃないよな?

だから、俺は、ペアのリングの片方を手に取り………
桐乃の左手を取って、薬指にはめながらこう言った。



「桐乃………結婚しよう。」



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最終更新:2011年02月18日 01:48