600 名前:【ss】ある朝の光景[sage] 投稿日:2011/02/26(土) 01:20:33.08 ID:GdNuNU2dO [3/4]
ある朝、わたしが起きてリビングに行くとお母さんが朝食の準備をしている所だった。アイツはまだ居ない様だ
「桐乃ーちょっと京介起こして来て」
「アイツまだ寝てんの?てゆーか何でアイツ起こさなきゃいけないワケ?」
「あんたら最近仲良いじゃない、今手が放せないのよ」
「……わかった、起こして来る」
「お願いね、桐乃」
これで朝からアイツの部屋に行く口実が出来た、それにこんな可愛い妹に起こして貰えるんだからシスコンのアイツはきっと喜ぶはず
「キモ……」
そんなことを考えてたらついこの言葉が出てしまった
アイツの事を考えるとつい口に出るこの言葉、別に……本心……なんだとは思う、でもキモいのが嫌なわけじゃない
寧ろ嬉し……
「あーっ、もうっ!!」
ついついこんな事を考えてしまうのは朝で目が覚め切ってないからだと思う、さっさと叩き起こしてしまおう
わたしは今アイツの部屋の前につっ立っている
普段なら遠慮無く入って行けるのだが、まだアイツが寝てると思うと何だか中に入り辛い
別に以前にも寝てる最中に入った事もある。
だけど、今となっては話が違う、アイツが今日起きたトコ一番目にわたしを見ることになるのだ、そう意識すると少し前髪が気になって手鏡を取り出して少し整える
「よしっ」
気合いは入れた、後は叩き起こすだけだ、おはようなんて挨拶もしてみよう、言いながら可愛く笑えれば良いんだけど、わたしにはまだ無理だ
部屋に入るとやっばりまだ寝ていて、電気は点いておらず、ベッドの上ではアイツが幸せそうに寝ていた
その寝顔を見てるとついさっきまで軽く緊張させられたことに軽い苛立ちを覚えて、口と鼻を塞いで起こしてやろうかという気すら起こってくる
そんなことを考えながら、ちょっと寝顔を眺めていると何か小さく寝言を呟いているようだ
少し躊躇いつつも顔を近付けて聞いてみると
「だ、だめだ……桐乃……そこは……ぁ」
そこまで聞いた瞬間にわたしはその顔に向けて全力でビンタしていた
602 名前:【ss】ある朝の光景[sage] 投稿日:2011/02/26(土) 01:21:58.80 ID:GdNuNU2dO [4/4]
「キモッキモッキモッッッ!!マジキモいっ、なに妹夢の中に出演させてんの!?」
まず状況を整理しよう
何か気持ち良い夢を見てたはずなのに、いきなりビンタで起こされて目の前で桐乃がわめきたてている
よし、状況が全く判らん。だがこういう時は一緒になって取り乱してはダメだ。取り敢えず、落ち着かせよう
「おはよう、桐乃」
「はぁ!?」
ダメでした。取り敢えず挨拶してみたが状況は変わらなかった、相変わらずジト目でこちらを眺めて来る我が妹様は、何だか知らんが怒り心頭といった様子で非常に赤い顔をしてらっしゃる。
「あ……あのさ……あんた……その……」
「あ?」
「その……ど、どういう、夢……見てたの?」
「はぁ?なんか意味あんのかそれ?」
「いいから!!」
いきなりなんだコイツ、意味判らん。
「つっても、よく覚えてないんだが……ちょっと待て、今思い出す」
「ちょっ、ちょっと待って!!もういいっ!覚えてないなら思い出すな!!」
「なんかよく判らんが良いのか?つーかどうかしたのか?」
「…………」
余りにも理解不能な行動をとるため、未だに真っ赤な顔をした桐乃に聞いてみると俯いて黙り込んでしまった。
「おい、桐「あんたがっ……寝言でわた、私の名前呼んでて……その……」
なんだか背筋を冷たい物が流れ落ちる……落ち着け俺……こういう時はクールになれ……koolになれ……
微かに覚えてる限りでは、限りなく淫夢に近い夢を見ていた気がする……要するに桐乃が出演して
よし、ここは一発土下座でもキメようと思って桐乃の方に向き直ると、赤い顔で少し目を潤ませた桐乃と目が合う
いつもと違う、だが最近たまに見る非常に可愛い桐乃がそこには居た。目を逸らすことも出来ずに一寸見つめ合っていると、桐乃が唐突に口を開いた。
「あ、兄貴……その、さ……」
呟くようにして、こちらに身を乗り出して来る桐乃、俺も何かに捕われた様にただ桐乃の目を見つめることしか出来なかった。
「その……わた「桐乃ー、まだ京介起きないのー?」」
お袋の声が聞こえた瞬間にお互いにばっと身を離すと、桐乃が焦った様に部屋から出てこうとする
「おい、桐乃……」
「話かけんなバカ!」
そう叫んだ桐乃は部屋から出て行き、お袋に俺が起きたことを伝える返事を伝える。
取り残された俺はただ、先程の妹を思い出し、こう言うしかなかった
「俺の妹があんなに可愛いわけがない……のになぁ……」
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最終更新:2011年02月28日 01:01