664 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/11/24(水) 15:16:49 ID:eXa2QY/K0

「ったく、あの糞猫! 何がアニオタ専用よ! 何が肉便器よ! 何がザーメンタンクよ!
下品にも程があるっての!」
 昼の事を思い出し、ぶつぶつと怒りの言葉を呟きながら服を脱ぎ、籠に叩きつけるように入れていく。
 そして素っ裸になった桐乃はふと、側の全身鏡に映った自分の額に眼が止まった。
「アニオタ専用……アニ、アニ専用……っ!?」
「ちょ、ちょっと私ってば何を考えてるのよ! アニ専用とか有り得ないからっ、ていうか
何そのエロゲ的な発想、ばっかじゃないの!」
「…………そういえば、あのエロゲの妹、あそこにお兄ちゃん専用ってまじっくで書いて
喜んでたわね……」
 キュポっ。脱いだ上着のポッケに入っていた油性ペンを取り出し鏡に映った自分の恥丘を見つめた。
「ち、違うわよ! これは、あれよ! 小説の原稿を書くにあたって、妹の気持ちを知るためなの!
断じて、兄貴とは関係ないんだからっ」
「あ、あ、あ、アニアニアニ、兄貴せんヨウ――」
 ぷるぷると羞恥に震える手、バクバクと踊る心の臓、しかしゆっくりと、ゆっくりと自らのアソコに
文字を刻んでいく。
「っあああ! 何これ、何なのこのドキドキ感! すっごい! エロゲのあの時のシーンとか、
もう子供だましって感じ? マジやばい、超やばい! 私、兄貴専用の便器? 便器なの!?
ほら、だってココ、恥かしい所にそう書いてあるし! 信じらんない!」
 すっかり鏡に映る自分に陶酔し、我を忘れたかのように次々に文字を書いていく。
 お腹、乳房、腕、顔……
 ガチャ、キィィ。その時風呂場のドアが開いた。
 全身呪文だらけでハっと我にかえる桐乃。眼を丸くし、言葉がでない京介。
 凍り付いた時間。
 ――そして時は動きだす。
 そんなナレーションが脳裏に浮かんだ気がした。

――まってまって、動き出さないで! どうすんのよコレ、これじゃまるっきり変態じゃない私!
 どうしよう、どうしよう、どうしたら誤魔化せるの!? 考えるの桐乃! 私にパニックという言葉は
 ないはずよ!

「ち、ちち違うの! こ、これはその、あれよ! 黒猫の、ほらあの小説の! 私がモデルのアレ!
主人公に性奴隷にされてる私のキャラの! 全身に卑猥な落書きされて責められるシーンがあるの!
そ、それの体験取材よ! ほら、私ってばもう人気作家な訳じゃない? だから自ら体験する事で
ダメダメなあいつに助言してやろうと思ったわけ! 全く! 作家ともなると大変よね!
いろんな体験からキャラの心情をまな――」
 バタム。
 真っ赤な顔で必死に捲し立てる桐乃の目の前で、静かにドアが閉じられたのだった。



-------------

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年12月30日 16:01