737 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/12/25(土) 15:46:27 ID:KxMTS/bq0 [4/7]
>>379+色々
「桐乃ー、沙織から宅妹便が届いたぞー?」
「沙織から? なんだろ、なんも聞いてないんだけど…」
「おまえも? 実は俺宛のも一緒に届いたんだが、特になにも…」
「あんたも? うーん、携帯は…着信無し。メール見逃してたかな…? ちょっと部屋戻ったら確認してみる」
「頼むわ。まあ、開けてみりゃわかることだが…沙織だからなあ。いつぞやの宅配テロを思い出しちまう」
「あの時みたいにあたしの友達きてるわけじゃないし、別に大丈夫でしょ」
「それもそうか。考えすぎだな」
「ぷぷっ、あんたって結構ビビりだよねぇ~」
「お前に言われたくは…いやなんでもないです。怖いから睨まないでくれな?」
「ふん…っ あんた、何が入ってたのかあとで教えなさいよ」
「わーったよ。んじゃ、あとでな」
「ん」

「―――しっかし、実際なにを送ってきたんだ沙織のやつは?
 お、手紙が入ってるな。なになに…
『京介氏、沙織でござる。先日のパーティー、喜んで頂けたようでなによりでござる。
お二人の麗しき兄妹愛に、拙者は胸がいっぱいになり申した。
ついてはここに記念品として、黒猫氏と共同製作した作品を贈呈させて頂きまする。
細部のディテールにもこだわった自信作ゆえ、是非ともお納め下され』
先日…コスプレパーティーのことか。へへ…麗しきなんて言われると、なんだかくすぐったいぜ。
しかし、黒猫と共同製作? 一体何を―――っ!? …………………」
『はいもしもし、こちら沙織でござる。おぉ京介氏、拙者たちからのプレゼント、無事に届きましたかな?』
「届いたけど…なにコレ?」
『ふっふっふっ…それこそ我らの自信作! 1/10スケールきりりんフィギュア、兄専用メイドバージョンでござる!』
「自信作じゃねぇー!? ヤバすぎんだろこれは!」
『はっはっはっ、そんなに喜んで頂けるとは。作り手冥利に尽きるというものです』
「喜んでねぇ!? どこの世界に妹のメイドフィギュア貰って喜ぶ兄貴がいるんだよ!?」
『ここに』
「ねーよ! てか、額に『兄専用』ってなんだよこれ!? こんなの桐乃に見られたらどうすんの!?」
『ファファファ…完成度の高さに驚いて頂けそうですなぁ。なにせ黒猫氏監修の元、メイド服から下着まで、
完璧に仕上げておりますゆえ…ちなみにキャストオフ可能ですぞ?』
「何その核地雷!? 宅配テロってレベルじゃねーぞ! お、おまえら、なんてこと―――」

『なっ、なによコレぇ!?』

「桐乃!? 沙織! 悪いが切るぞ!」
『フフ、仲がよろしいことで…』

「―――桐乃っ! 一体どうし―――っ! ………メイド服…?」
「っ! か、勝手に入ってくんなっ!」
「おわっ! あ、危ねーって! いきなり突き飛ばすなよ!」
「うっさいこのバカ! 勝手に入ってきたあんたが悪いんでしょうが!」
「そりゃそうかもしんねーけど、お前の悲鳴が聞こえたもんだからよ…で、どうしたんだ?
 そのメイド服もそうだが、さっきから押さえてる額はどうした? 怪我でもしたんじゃないだろうな?」
「い、いいからさっさと出てけ!」
「で、出てけっておまえ、そりゃいきなり入ってきたのは悪かったけどな…? ん? こりゃ…手紙? 沙織からか?」
「あっ!? ちょ、ちょっと!!」
「えー、なになに…
『きりりん氏、兄専用メイドセットをお送り致しまする。これを着てフィギュア共々、京介氏に可愛がって―――』
「読み上げるなぁぁ―――!!」
「ぐはぁっ!?」

738 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/12/25(土) 15:47:17 ID:KxMTS/bq0 [5/7]
「―――いててて…さ、さすがに痛かったぞ…」
「………ごめん…」
「ああいや、怪我したわけじゃねーし、元はと言えば俺が悪かったんだから、あんま気にすんな」
「で、でも…」
「いいから。それより、この状況について教えてくれないか?
 なんでおまえメイド服着てんの? しかも、額に『兄専用』って…」
「そ、それはその…沙織からの荷物に、プレゼントだってこの服とシールが入ってて、
 あの時の服じゃん、面白そーって着替えたまではよかったんだけど…
 そのまま勢いで額に貼るって書いてあったシール貼ってみたら、剥がれなくなっちゃって…」
「んで、あの悲鳴か」
「うん…確認してみたら、半日くらいは剥がれないって沙織の手紙に書いてあった」
「やれやれ…コスプレ用なのか知らんが、そりゃ随分と強力なシールだな。
 しっかし、これでホントにフィギュアと瓜二つになっちまったなぁ」
「…さっきから気になってたんだけど、フィギュアってなんのこと?」
「はっ!? あ、いや、それはだな…」
「…あやしい。あんた、さっきの沙織からの荷物、見せてよ」
「い、いや、それはまた今度な…?」
「やっぱり隠してる! いいから見せなさいよ!」
「ちょ! おま!? ま、待てって!」

「―――で、これは何…?」
「1/10スケールきりりんフィギュア、兄専用メイドバージョン…だ、そうです…」
「変態!!変態!!変態!!変態!! あ、あんた…! あんた…っ! あんたねっ!!
 どこの世界に妹のフィギュア飾って喜ぶ兄貴がいんのよ!? そっ、それもあ、ああ、兄専用!? キモキモキモッ!!」
「だあぁああ!? 飾って喜んだりしてないからね!? さっき沙織から送られてきたんだっつーの!」
「没収! 没収だから! そ、それ! よこしなさいよ!」
「っ! ま、待て、待ってくれ!
 確かにとんでもないブツではあるが、それは沙織と黒猫が、あの日の記念にと作ってくれたものなんだ!
 いくらお前でも、渡すわけにはいかねぇ!」
「なっ…わ、渡せないってあんた…ま、まさかそれ、つ、使っちゃったりするつもりじゃないでしょうね…っ!?」
「使うって何!? 怖いからやめてよね!?
 そうじゃなくてだな!? 友達から貰った大事な日の記念品なんだから、俺が大切にしなきゃダメだろ!?
 だから、これを没収するのは勘弁してくれ!」
「…ふ、ふーん、大切なんだ、あたしのフィギュア」
「ああ、おまえに『ありがとう』って言って貰えた日の記念品だからな」
「っ!! そ、そう…じゃあどうしよっかなー、見逃してあげてもいいんだケド…それじゃ、ちょっと目をつぶってよ」
「こ、こうか…?」
「うん、それでOK…えいっと」
「?? なんだ? 何か額に付けたのか?」
「ぷくくっ…はい、鏡」
「ん…? !? お、おい!? なんだこの『妹専用』ってのは!?」
「キャハハハ! さっきのプレゼントに同封されてたの。これでおあいこだから! あーおかしー!」
「ばっ、バカおまえ、これ半日は取れないんだろ!? 夕飯のとき親父やお袋になんて言うんだよ!?」
「―――あ」
「あ、じゃねぇって! おまえ勢いで行動しすぎだろ!」
「どっ、どどっ、どうしよう…? そ、そうだ! こういうプレイで遊んでただけって言えば!?」
「どんなプレイだよ!? 親父がショック死するわ! 少し落ち着け!
 仕方ねぇ…ちょっと熱っぽいってことにして、アイスノンでも貼って誤魔化すか…」

「―――あー疲れた。お袋に突っ込まれたときは冷や汗かいたわ」
「お母さん、結構鋭いとこあるからね」
「『なんで二人揃って風邪気味になってるの?』とか… ふー、どっと疲れた。今日はもう寝るわ」
「あ…っ ね、ねぇ?」
「ん? どした?」
「あの…さ… このあと、あたしの部屋、来てくんない…?」
「これから? もう疲れちまったし、明日じゃダメか?」
「そ、そんなに時間とらせないから…ね?」
「ふう…わかったよ。今すぐか?」
「あ、ありがと…っ! ちょっと支度があるから、10分くらい経ったら来て」
「りょーかい」

739 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/12/25(土) 15:48:02 ID:KxMTS/bq0 [6/7]
「―――桐乃ー、入るぞー?」
「ど、どうぞ…」
「で、何か用―――」
「お、お帰りなさいませ、ごっ、ご主人さま…」
「お…っ おお、おまえ!? い、一体なにやって…!?」
「さっ、さっきはちゃんとできなかったから、シールが取れちゃう前に、ちゃ、ちゃんとやり直したいって…」
「やり直すって…な、なにを?」
「だ、だって、今のあたしは兄専用メイドなわけじゃん。なら、ちゃ、ちゃんとご奉仕しないと…」
「おまっ!? ごっ、ご奉仕って…!?」
「っ!? あ、あんた! なに想像してんのよ!?」
「違う! 違うよ!? 誤解だからね!? 例のメイドさん同人誌思い出したわけじゃないからね!?」
「!!!! こっ、こっ、こっ、こんの変態!!」
「だぁ!? しまった!? ついうっかり! わざとじゃないんだよ!?」
「あ、あんた、妹に欲情してんの!? このシスコンっ! どんだけ変態なワケ!?」
「だ、だってよ…今のおまえ、めちゃくちゃ可愛いぞ? …はっ?」
「!!!!!!! …っ! …っ! …っ! ~~~~っ!!!!」
「すま―――ん!! 俺が悪かったから! な、泣かないでくれ! な?」
「泣いてないっ! あぁもうっ…! ほ、ほら、さっさと命令しなさいよ! あんた専用なんだからさ!?」
「命令ったっておまえ、な、なに命令すりゃいいんだよ…」
「あんたはどうして…! もういい! あたしが命令するから!」
「命令しろっつったりするっつったり、もう支離滅裂じゃね?」
「いいの! 今のあんたは『妹専用』なんだから、あたしも命令していいの!」
「そ、双方向ってことなのか…? ま、まあとにかく、どうすりゃいい?」
「じゃあまず、ベッドの上であぐらかいて」
「これでいいか? で、次は何を―――」
「よ、よいしょっと」
「!? お、おま!?」
「こ、こら、暴れるな! そのまま椅子になんなさいよ…!」
「い、椅子か…わ、わかった…で、つ、次はどうするんだ?」
「右手、出して…」
「お、おう、これでいいか…? ってお前!?」
「ん…っ」
「おまっ、おま…っ! お、俺の手、む、胸に…!?」
「いいから…っ 静かにしなさいよ…っ」
「静かにったってお前…こ、これは…?」
「………あのさ……… あの日のこと、ホントに、ホントに大事に思ってるの…?」
「あ、ああ… そりゃもちろんだ。俺、本当に嬉しかったんだぜ?」
「そっ、そうなんだ………
 あ、あたしもさ、ホントに感謝してるから… いつも………いつも、ありがとう…」
「…俺もだよ」
「え…?」
「俺もさ、おまえからいろんなもん貰ってるからな。
 疎遠になってたおまえと、こうして一緒にいられるまでなったのも、みんなおまえのお陰さ…本当に、ありがとな」
「そ、そう、そうなんだ……… え、えへへ… ねえ? かっ、感じる? あたしの、鼓動…」
「ああ…感じる。右手から、伝わってくるよ…」
「おっ、おかしいよねっ。兄妹なのに、こんなどきどきしてるなんて…」
「………いいんじゃねぇの?」
「え…っ?」
「その…きょ、今日は特別な日、だしな?」
「そっ、そっか、そうだよね…今日は特別な日、だもんね。
 ………ね、ねぇ?」
「ん?」
「もうちょっと………こうしてて、いい…?」
「………いいぜ」
「ありがと………メリークリスマスだね、兄貴………」
「あぁ、メリークリスマス、桐乃………」



-------------

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年12月30日 20:20