禁句 ◆hqLsjDR84w



 ◇ ◇ ◇


 公園内にいる四人の獲物から一瞬たりとも視線を外さず、キース・シルバーはゆっくりと近付いていく。
 歩みを進めつつ、シルバーは纏っているゆったりとした軍用ロングコートから右腕だけを外に出した。
 その右腕はすでに人体のそれではなく、鉱物のように強固な体表と獣のように鋭利な爪を誇るARMSのそれと変質している。
 蜂の羽ばたきじみた音を立てて、異形の右腕を青白い電撃が覆う。
 これこそが、シルバーの肉体に移植されしアドバンストARMS『帽子屋(マッドハッター)』の能力。
 移植者の体内で荷電粒子を生み出し、外界へと放出することができるのだ。
 応用すれば、掌に荷電粒子を集束させ一筋のレーザー光線として放つことも可能となる。
 そんなキース・シルバー必殺の荷電粒子砲『ブリューナクの槍』を知っていながら、アル・ボーエンはずいと一歩前に出た。
 その行動に、コロンビーヌが首を傾げ、レイラが目を丸くし、佐野清一郎が下がっていろとばかりに肩を掴んだ。
 佐野の忠告を制すると、アルは大きく声を張り上げた。

「待て! 戦闘の前に、少し訊いておきたいことがある!」

 よもや狩られるだけの獲物が指示してくるとは予想しておらず、シルバーは眉を吊り上げる。
 僅かでも隙が生まれれば、アルには十分であった。
 たとえ問答を拒否されようと、質問をぶつけることさえできればよいのだ。
 アルの指には、魔道具『心眼』がはまっているのだから。
 言語が伝わりかつ思考する能力さえあれば、意図せず答えを考えてしまう脳の動きは止められない。
 そして考えてさえしまえば返答されずとも、対象の思考を読む心眼によって筒抜けだ。

「キース・シルバーッ!
 僕以外の名や詳細も分かっていたようだが、お前はこのプログラムについてなにか知っているのか!?
 このプログラムにはあまりに関連性のないものばかり参加しているようだが、参加者の基準はなにかあるのか!?
 というか、ここはいったいどこなんだ!? こんな町は、僕の知る限り現代の日本に存在しないはずだ!!
 僕に支給されたノートパソコンに『BATTLE ROYALE』というプログラムがあるが、それを開くパスワードを知っているか!?
 ARMSが休眠状態に陥っていたはずの高槻が問題なく『ジャバウォック』を使え、そのことに疑問を抱いた素振りもなかったのはなぜだ!?
 キース・ブラックは、かねてより自分のなかに眠っていたキース・ホワイトに人体の支配権を奪われたのではなかったのか!?
 ユーゴー・ギルバート、キース・グリーン、そしてお前! この三人はニューヨークでのエグリゴリとの戦いで命を落としたはずだ! なぜ名簿に名前が書かれ、しかも僕の前に姿を現しているッ!?」

 一息で質問を言い切ったせいで、アルは肩で息をしている。
 とはいえ、その程度で思考力が落ちるアルではない。
 流れ込んでくるシルバーの思考を聞き漏らさぬよう、自称今世紀最高の頭脳を集中させる。
 すべての質問の答えを読み取っていくうちに、荒くなっていたはずのアルの呼吸はいつの間にか止まっていた。
 あまりに衝撃的な内容ゆえ、呼吸をすることを忘れてしまったのだ。
 慌てて呼吸を再開するも、アルの優秀な頭脳は一向に落ち着かない。

「装備を見る限り答える必要はなさそうだが、貴様以外のもののために口で言ってやろう。
 死に行く貴様らが聞いたところで、意味があるとはとても思えんがな」

 シルバーは、ひどく落ち着いた口調で切り出す。
 呼吸が乱れたままのアルを見下ろす視線は、ひどく冷たく鋭い。

「このプログラムに関しては、『プログラム・バトルロワイアル』という名以外なにも聞かされていない。
 参加者の関連性についても同じくだ。七つの平行世界から選りすぐったようだが、その方法も基準も知らん。
 この舞台は平行世界の一つ、貴様とともにいる魔物の子・レイラの世界に存在する『モチノキ町』だ。
 パスワードやらについても知らん。支給品一覧は眺めたが、そこに書かれていたノートパソコンにそのようなプログラムがあることさえいま知った。
 残りの質問だが、それによってこちらもようやく納得した。どうりでグリーンと会話が噛み合わなかったはずだ。やはり、『世界は同じ』でも『時間が違う』のだろう」

 シルバーが言い切ったころには、やっとアルの呼吸は整っていた。
 浴びせられる眼力に怯むことなく、むしろ睨み返して質問を浴びせようとする。

「貴様が従っているキース・ブラックの人格は、もはやキース・ホワイトに呑み込まれている。
 それに、先ほど言ったように、戦闘生命として生きた貴様は高槻に敗れて死んだ。にもかかわらず、貴様は――」
「関係ない」

 シルバーの低い声が、アルの言葉を遮る。
 最後まで聞けずとも、シルバーはアルの言わんとする内容を読み取っていた。
 だからこそ、視線を逸らすことなく断言するのだ。
 数時間前に、たった一人の弟に言い放ったように。

「俺は俺の意志でもって、戦闘生命としての生を歩み」

 たとえ相手が誰であろうと。
 死に行く未来を知ってしまおうと。
 戦闘生命としてのレールに乗せた兄が、とうにこの世にいない事実を知らされようとも――

「本来迎えるべき未来でそうだったように、屍の山の上で朽ち果てる」

 なにも。
 なにひとつ。
 一片たりとも。
 変わることなく。
 変わってしまわず。
 変わろうとすらせず。

「ただ――それだけだッ!」

 宣言したと同時に、シルバーの右腕を覆っていた電撃が目に見えて激しくなる。
 東に浮かぶ太陽と見紛うほどの輝きを上げて、荷電粒子が右の掌に集っていく。
 そうして一条の光線となって、掌の中心に空いた空洞より放たれた。


「……ほう」

 眼前に広がる光景に、シルバーは思わずそう呟いた。
 撃ち出したブリューナクの槍が、突如空中に出現した銀色の壁によって防がれたのだ。
 その正体は、蟲型自動人形(オートマータ)・アポリオンである。
 ゾナハ蟲とも呼ばれるそれらは大気中に存在し、真夜中のサーカスの蟲使いであるコロンビーヌの指示に忠実である。
 ブリューナクの槍に触れたと同時に壁は霧散してしまったが、ゾナハ蟲自体が破壊されたワケではない。
 あくまで壁を形成できなくなっただけだ。
 そのため、すぐに攻撃に転じられる。

「偉そうな口利いておいて、大したことないわねン」

 掻き消えた荷電粒子砲を嘲笑いながら、コロンビーヌは空中に漂う蟲に命令を下す。
 先ほどまで壁を作っていたゾナハ蟲が、今度は無数の杭を模っていく。
 その切っ先は、すべてがシルバーのほうを向いていた。
 すでに王手をかけたと判断して気が緩んだコロンビーヌの思考に、アルが心眼によるテレパシーで割って入る。

『余裕ぶっている暇はない! ヤツは実力を一割も出していないぞ!』

 その言葉が決して大げさでなかったことを、コロンビーヌはすぐに思い知る羽目になる。
 逃げられぬようほとんど同時に放ったはずの無数の杭が、根こそぎ形状を保てずに霧散してしまったのだ。
 杭が肉体に突き刺さる寸前で、シルバーは右腕からレーザーを放出した。
 そのレーザーはシルバーの肉体を覆うように展開し、バリアとしての役割を果たしたのである。

「なッ!?」

 目を見張るコロンビーヌの前で、シルバーは荷電粒子を右掌に集わせる。
 わざわざ全力でエネルギーを溜めずとも、ある程度まで充填すれば十分だと判断していた。
 ゆえにまだまだエネルギーを蓄えられるにもかかわらず、その時点でブリューナクの槍を放とうとし――眉根を寄せる。
 ゾナハ蟲にばかり気を取られていたので気付かなかったが、いつの間にか獲物が一人消えていた。
 そう認識したのと同じくして、シルバーの聴覚が声を捉える。

「取ったでッ!」

 なにかが振り下ろされるような音とともに、その声は背後から響いた。
 視線だけを飛ばし、シルバーはその正体が佐野清一郎であると知る。
 『手ぬぐいを鉄に変える能力』によって作り出した武骨な鉄パイプを手に、勝利を確信したような笑みを浮かべていた。
 誰も、彼を責めることはできないだろう。
 これほどまでに肉薄していれば、もはや後頭部に鉄パイプを叩き付けらられるのは確実である。
 そして後頭部を鉄パイプで思い切り打ち据えれば、人は戦闘不能に陥る。これもまた確実だ。

 ――『通常ならば』。

 鉄パイプがシルバーの後頭部と接触したと同時に、やけに鈍い音が響いた。
 得物を通して手に伝わってきた衝撃に、佐野は思わず顔をしかめてしまう。
 まるで鉄で鉄を殴りつけたような、そんな感覚が走り抜けた。
 それでも呼吸を乱さなかったのは、『呼吸を止めている間しか能力は発動できない』という限定条件に慣れているからだろう。
 表情を歪める佐野に、やけに落ち着いた声が浴びせられる。

「なにを取ったんだ」

 そこでようやく、佐野は仕留めたはずの相手がまだ立っていることを知る。
 咄嗟に鉄パイプを振るうが、手先の痺れゆえに力が上手く入らない。
 ゆえにひどく弱々しい一撃になったにもかかわらず、なぜか鉄パイプはシルバーの額を捉えた。
 そしてその際に手元に伝わった衝撃で、佐野はようやく理解した。

 ――シルバーの体表が鋼鉄じみた硬度を誇っているという事実を。

「ぐえ……ッ」

 呆けている佐野の脇腹に、異形の手刀がめり込む。
 腹に巻いておいた手ぬぐいを鉄化させたアーマーを通り抜け、衝撃が佐野の体内まで及ぶ。
 臓物まで届いた衝撃に激しく咳き込み、佐野は意識を失った。
 呼吸を止め続けるなどできるはずもなく、能力が解除される。
 結果、佐野は所持している手ぬぐいをバラ撒きながら、衝撃を受け流し切れずに吹き飛んで行くことになる。
 未だ空中の佐野に、シルバーは強烈に輝く右掌を向けた。


『レイラ! ステッキを前に出せ!』

 脳内に響いた指示に、レイラは安堵する。
 アルの頭脳に信頼を寄せているものの、あまりに事態が早く展開しすぎている。
 開戦から数分も経っていないというのに、すでに佐野が意識喪失状態まで追い込まれてしまった。
 大した時間も経たないうちに、四対一が三対一となったのだ。
 このような戦局が早く動く場面では、アルの指示を待たず自主的に動くべきなのではないか。
 そう思い始めた矢先に、テレパシーが届いたのだ。

「分かったわ、アル!」

 先端部に三日月を模した飾りのついたステッキを掲げ、レイラはシルバーに向ける。
 こうすれば、いつアルが呪文を唱えても確実に命中するだろう。

『もう少し……そうだな、あと二十度ほど下に向けろ!』

 追加の指示に、レイラは困惑した。
 それに従ってしまえば、攻撃が相手に当たらないではないか。
 レイラの戸惑いを読んだらしく、さらにテレパシーが浴びせられる。

『いいからやってくれ! 今世紀最高の頭脳を信じろ!』

 見れば、シルバーの掌に光が集束している。
 掌を向けられている佐野は、体勢を立て直すどころか目覚める気配すらない。
 時間が、ない。
 焦燥に駆られながらも、レイラはアルを信じることにした。
 もちろん彼の頭脳もであるが、なにより友達を裏切らないという彼の宣言を。

「ミグロン!」

 レイラがステッキの角度を下げたと同時に、呪文が唱えられる。
 ステッキの先端部から光線が放たれ、シルバーの足元の土を抉った。
 弾き上がった土の塊が、シルバーの右腕にぶつかる。

「……なに?」
「コロンビーヌ、いまだっ!」

 いまは心眼の対象をレイラとしているためか、アルがコロンビーヌには口で指示をする。
 土しか飛んでこなかったことに疑問を抱くシルバーに、巨大な銀色のドリルが落下していく。
 シルバーは歯を軋ませて背後に飛ぶと、佐野に放たんとしていた荷電粒子砲をドリルに放った。
 一発でドリルの表面がぶれ、二発目でゾナハ蟲は形状を保てなくなって大気中に漂う。
 それすらもアルは予想していたらしく、レイラへとテレパシーが飛んでくる。
 言われた通りに、ステッキを前に出す。
 やはり、シルバーには命中しない角度で。

「オル・ミグルガ!」

 ステッキ先端部の三日月型の部分が外れ、膨張しながら飛んで行く。
 公園にある街灯や遊具を切断すると、ブーメランのような軌道を描いて三日月は戻ってくる。
 切断された物体は、すべてがシルバー目がけて倒れてくる。
 シルバーは舌打ちを吐き捨てて、いったん距離を取った。
 頭のなかに響いた声に従い、レイラはステッキを伸ばす。

「ミシルド!」

 先ほど飛んで行った三日月が、今度は巨大な盾と姿を変える。
 盾となったと同時に、砕け散った。
 遠ざかりながらシルバーが放った荷電粒子砲を受けたのである。
 とはいえ、一発防ぐことはできた。
 安心したレイラの脳内で、ようやく先ほど抱いた疑問の答えが告げられた。

『ARMSは、一度受けた攻撃の耐性を作り出す。
 魔力に耐性を作らせてしまえば、どうしようもないからな。
 確実に仕留められるとき以外、ヤツに直接呪文は当ててはいけない』


 レイラにテレパシーを送ると、アルはコロンビーヌへと歩み寄っていく。

「もう分かっただろう!?
 いまの僕たちに勝ち目はない! 佐野の軽トラックでいったん距離を取って――」
「そういうワケにもいかないの、よッ!」

 最後までアルの話を聞かずに、コロンビーヌはゾナハ蟲に指示を下す。
 再び無数の杭を作り出して、シルバーの周囲を覆った。
 先ほどと同じようにレーザーのバリアによって霧散してしまうが、霧散したゾナハ蟲をさらにコンパクト状に集わせる。

「コンパクトの口!」

 コロンビーヌの声に呼応して、ゾナハ蟲製のコンパクトが口を閉じる。
 いや、もはやコンパクトと言うより、ハエトリグサと言ったほうが正しいだろう。
 内部のいたるところに棘が生えており、これに挟まれれば常人は一たまりもない。

 しかしやはり――キース・シルバーは、ただの人間ではない。

 閉じたコンパクトの節々から、激しい光が漏れ出してくる。
 そうして一際激しい発光とともに、ゾナハ蟲製のコンパクトは掻き消えた。
 これまで以上の出力でブリューナクの槍を放ったシルバーは、なんの感慨もなさそうに言い放った。

「やはり、脆弱だな」

 シルバーがコロンビーヌを見る目は、彼女以外を見るものとは違っていた。
 他の三人に向けられる視線は冷たいが、コロンビーヌに向けられる視線には温度がない。
 背筋が凍るような冷たさもなければ、刺すような痛みもない。
 まるで本当に意思なきマリオネットを見るように、ただ見下しているだけだ。
 そのことに気付いているからこそ、コロンビーヌには耐えられなかった。

「その目を……やめなさいッ!」

 言って、コロンビーヌは地面を蹴った。
 アルの静止を聞こうともせず、シルバーへと飛びかかっていく。
 ゾナハ蟲を集わせて作った刃を両腕に纏わせ、思い切り振りかざす。


 コロンビーヌの感情は、心眼を通してアルに伝わっていた。

『他者の意図に縛られるだけの存在に、なんの意思がある。
 存在を規定するのは、自分自身の意思だ。自らの意思なき存在に価値はない。
 たとえ思考回路を有していようと、どう生きて死ぬかすら決められぬ貴様らは――ただの繰り人形にすぎない』

 出会い頭にシルバーからかけられたそんな言葉が、コロンビーヌのなかに引っかかっているようだった。
 いったい、なにがそんなに引っかかっているのかは分からない。
 彼女が自動人形として作られた過程に、なにか原因があるのかもしれない。
 あるいは活動してきた過程かもしれないし、この殺し合いに巻き込まれて以降かもしれない。
 それは、いかに心眼をもってしても判別できない。
 さすがに、すべての記憶を読み取ることは不可能だ。

 だが、単純に気に喰わなかった。

 シルバーのこの発言も、こんな発言に固執しているコロンビーヌもだ。
 アルは歯を噛み締め、傍らのレイラを見上げた。

「レイラ、ステッキをシルバー自身に向けてくれ」
「え……?」

 レイラが首を傾げる。
 無暗に攻撃を当ててはならないと言ったばかりなので、疑問を抱くのは当然だろう。
 説明が面倒なので、アルはいま考えてることを丸ごとレイラの脳内に流し込んでやる。
 すると、レイラはなにも言わずにステッキをシルバーに向けた。
 どうやら、いまから行おうとしていることに賛同してくれているらしい。

『バカだな』

 なぜだか悔しくなって、アルはそうテレパシーを飛ばした。
 それに対して、レイラは頬を緩めながら思う。

『アナタに言われたくないわ』

 思わず、アルの口角が吊り上った。

『なにを言う。この僕がバカなワケがあるか』
『そうね。アナタは超天才だったわ』
『ああそうだ。そして超天才を認めるお前も、なかなかのものだ』

 生意気な笑顔を浮かべたまま、アルは脳内で言い放つ。

『バカはアイツだ!』

 そして、アルは呪文を唱えた。
 その手に持っている紫色の魔本が、かつてないほどの光を放つ。
 魔物とパートナーが同じ目的を抱きながら、呪文を唱えるとき。
 初めて、魔本はこれほどまでに神々しく輝くのだ。

「ラージア・ミグセン!!」

 レイラの持つステッキの先端にある三日月が、これまでの呪文以上の大きさまで膨れ上がる。
 周囲にあるどの遊具よりも巨大になったところで、三日月は杖から射出された。


 シルバーに足を掴まれ、コロンビーヌは放り投げられる。
 地面の上を何回転もして、ようやく勢いが止まった。
 蹲ったまま顔だけ上げると、視線の先でシルバーが掌を向けていた。
 立ち上がらねば、光線に貫かれて壊される。
 そう分かっていても、コロンビーヌは立ち上がることができなかった。

(ただの人形じゃ……こんなものなのかもしれないわね)

 シルバーに浴びせられた言葉が、コロンビーヌの思考を掠める。
 かつて、彼女は自動人形である自分自身に誇りを持っていた。
 人間以上の存在であると信じていた。
 だが造物主・フェイスレスと出会い、その考えは根本から崩されてしまう。
 主たるフランシーヌ人形はとうに壊れていると聞かされ、そのことを知らずに動いていた自分たちを滑稽と嘲笑われた。
 にもかかわらず、コロンビーヌはフェイスレスに従っていた。
 彼が造物主であるからだ。
 自動人形は、造物主に危害を与えられない。
 フランシーヌ人形に瓜二つな才賀エレオノールと出会い、結果的に造物主を裏切るような行動を取った。
 それでも、造物主に直接手を出すことはできなかったのだ。
 シルバーの言葉を受けたことで、そのことに気付いてしまった。
 そして考えてしまう。
 造物主を裏切ったのも、エレオノールの命令があってなのではないか。
 自らの命を捨ててまで才賀勝を助けたのも、そのせいであって自分の意思ではないのではないか。
 一度そう考えてしまうと、振り払おうとしてもつきまとってきた。
 この場で生きる意味を見つけ出すつもりだったが、自動人形である自分にそんなことは不可能かもしれない。
 そう思い始めているがゆえに、コロンビーヌはこのとき――生を諦めた。

「ラージア・ミグセン!!」

 ぼんやりとシルバーを眺めていると、コロンビーヌの聴覚がそんな声を捉えた。
 直後、シルバーに巨大な三日月が命中し、公園の敷地外の遥か彼方へと吹き飛んで行く。

「おい、生きてるか!」

 駆け寄って来るアルは、やけに心配そうな表情をしていた。
 そのことが、コロンビーヌにはなんだかおかしかった。

「なーんだ、助けてくれたんだ。
 べっつにィ、壊されちゃってもよかったんだけどォ……」

 おちょくるような口調でも、本心であった。
 心眼で思考が伝わったのだろう、アルはすぐさま激昂した。

「ふざけるなッ!!」

 耳まで真っ赤にしながら、アルは心眼をコロンビーヌに放り投げた。

「お前、それ使っとけ! 僕が嘘を吐いていないことを読み取った上で聞け!」

 言われるがままに、コロンビーヌは心眼を指にはめる。

「キース・シルバーの言葉に惑わされてるってことは、それでよーく伝わってきた。このバカものが!
 お前が他者の意図に縛られてるだと? はッ! ちゃんちゃらおかしい!
 よくもまあ、あんな戯言を信じられるな。お前、これから詐欺師に気をつけたほうがいいぞ。
 お前がアイツの言葉に苛立ったのは、お前の意思だろうが。なんだ、他の誰かの意思か? ふん、そんなワケあるか、バカ」

 話しているうちに落ち着いてきたらしく、アルはいつもの尊大な態度に戻っていく。

「だいたい、お前は生きる目的を探しているのだろう。
 自分が進むべき道を、自分自身の意思で、決めようとしているのだろう。
 他者の意見を参考にすることはあっても、最後に決めるのはお前自身ではないのか」
「……でも…………」

 コロンビーヌのなかに浮かぶのは、フェイスレスに従う低級人形たちだ。
 自分は、ヤツらとなにも変わらないのではないか。
 そんな疑問を口にしようとしたが、言い淀んでしまう。

「ふん、まだ反論するのか。
 そんなに言うなら、はっきりさせてやる。だったら――」

 コロンビーヌが視線を逸らそうとするも、アルが先に回り込んでいた。
 まっすぐな瞳を向けて、手を伸ばしてくる。

「この僕と友達になると決めたのも、お前じゃない誰かの意思なのか! さあッ!! 考えてみろ!!!」

 一瞬、コロンビーヌが抱いていた悩みがすべて吹き飛んだ。
 大きな瞳を開いたまま、呆然とするしかできない。
 いままでいったい、なんて下らないことに捉われていたのか。
 こんなに、簡単な事実に気付かなかったのか。
 心の奥で疼いていたものが一気に吹き飛び、妙に清々しくなった。

「……そう、ね」

 動揺を悟らせぬよう、コロンビーヌは平静を装うとする。
 なんでもないように、いつものおどけたような口調を作り出す。

「たしかに、アタシの意思だったわねン」
「それ見たことか。ならば心眼を返せ。それは僕のだ」

 外した心眼を手渡そうとして、コロンビーヌは少し躊躇する。
 そして、小さな声で言った。

「…………ありがと」

 心眼を手渡したあとでは、これが本心であると伝わってしまう。
 それを危惧していたのだが、アルがそれに気付いた素振りはない。
 いつもと変わらぬ尊大な口調で返答した。

「ふん、当然のことをしたまでだ。
 最初っから言っているだろう。僕は、決して友達を裏切らない」

 やたら偉そうな態度が、コロンビーヌには少しおかしかった。


 コロンビーヌが落ち着いたのを確認し、アルはレイラのほうを向き直る。
 見れば、彼女は気絶した佐野を抱え上げており、彼が所持していた軽トラックの蔵王を回収していた。
 アルの指示しておいた通りの働きだ。
 胸中でガッツポーズを握り、アルはコロンビーヌとともにそちらに駆け寄っていく。
 ラージア・ミグセンを受けたキース・シルバーが戻って来る前に、いち早く逃げ出さねばならない。
 そう思いながら走っていると、不意にこちらを見るレイラの顔が青くなった。

「アル! 危ない!」

 レイラが言うまでもなく、彼女の言いたいことは心眼を通してアルに伝わる。
 シルバーが公園外からこちらに荷電粒子砲を放っている――など。
 伝わったところで、もはやどうしようもなかった。
 足を止めて振り返ると、シルバーはかなり離れた場所にいた。
 だとしてもブリューナクの槍の速度を考慮すれば、回避することは不可能だろう。
 天才ゆえに計算できてしまった事実に、アルは歯を軋ませた。


 すぐ近くでレイラが叫んだことにより、佐野は意識を取り戻した。
 目覚めて最初に視界に入ったのは、眩い光だった。
 気絶する直前の記憶が過り、一気に覚醒する。
 見れば、アルとコロンビーヌが狙われているではないか。
 どうにかせねばならないと、佐野は手元の手ぬぐいを掲げ――そのまま下ろした。

(……俺、めっちゃ弱いな)

 親友の神候補・犬丸から授かった『手ぬぐいを鉄にする能力』。
 はっきり言って、強力な能力ではない。
 神を決める戦いの参加者たちは、ほとんどがもっと強力な能力を持っている。
 別に構わないと、佐野は思っていた。
 相手がどんな能力を持っていようと、工夫すればどうにか渡り合うことができた。
 親友から貰った能力さえあれば、敵わないヤツなんていないと思っていた。
 にもかかわらず、実際はどうだ。
 ヒデヨシは死に、他にも十五人死に、シルバーには敵わず、アルとコロンビーヌが殺されようとしている。
 この状況で、いったい自分にはなにができるのだろうか。

(ちくしょう……)

 佐野は唇を噛み締める。
 それでも、勝手に涙が零れてくる。
 ひたすらに、自分の無力さが悔しかった。
 犬丸がくれた能力を蔑まれ、そのまま敗北するのが我慢ならなかった。
 目の前で仲間が死ぬというのに、なにもできない自分が歯がゆくて仕方なかった。

「ちッくしょうがァァァ!!」

 ただただ――力が欲しい。
 それでも佐野には叫ぶしかできず、極光に照らされながら息を呑んだ。


 その場にいた五人全員が、己の目を疑う。

 アルとコロンビーヌを呑み込む寸前で、ブリューナクの槍が突如として向きを変えたのだ。

 そのまま誰に命中することもなく、上空へと飛んで行ってしまった。


「バカな……」

 そう口に出したのはアルであったが、他の誰もが同じ気持ちであっただろう。
 アルは困惑のあまり逃亡するのを忘れ、荷電粒子砲が軌道を変えた地点をまじまじと眺める。
 そこには佐野がバラ撒いた手ぬぐいが転がっているだけで、これといって奇妙なものはなにもなかった。
 みなが同じ結論を出したが、佐野だけが唯一ある可能性を思い抱いた。
 しかしまだ半信半疑というときに、再びシルバーが荷電粒子砲を放つ。
 同じ軌道で迫ってくる光線を前に、佐野は息を止めた。

 ――またしても光線は同じ地点で軌道を変え、あらぬ方向に飛んで行った。

 このような荷電粒子砲の軌道変化を、シルバーはかつて目の当たりにしたことがある。
 その記憶がフラッシュバックし、心眼によってアルに伝わる。

「『超磁力』か……」

 強力な磁力により、荷電粒子砲の軌道を強引に変える。
 一度浮かんでしまえば、それほど不可思議な現象ではなかった。
 だが、だとしても、どこにそのような強力な磁石が存在するというのか。
 疑問を抱くアルに浴びせられたのは、佐野の笑い声だった。

「なっはっは……そーゆーことかいな。
 その超磁力が、俺の『レベル2』ってワケやねんな」

 合点がいったような口調で続ける。

「全ッ然レベル2になれへんと思っとったら、こんなタイミングなんてな。
 強くなりたいと思うんが、キーやったんやろか?」

 自分で訊いておきながら、すぐに自ら「まあええわ」と頷いた。
 勝手に納得して、シルバーのほうに向き直る。
 シルバーはもう荷電粒子砲を放とうとはせず、少しずつ近付いてきている。
 どうやら狙撃は無意味だと勘付いたらしい。

「なかなかおもろいことできそうや」

 そう言って、佐野は手ぬぐいを鉄パイプに変化させた。
 この行動に焦ったのは、アル・ボーエンだ。

「な、なにを言っている! お前の能力があれば、軽トラックで撒けるかもしれないんだぞ!」
「イヤや。っていうか撒けるかい。遠くから狙って当たらんのなら、一発で近付かれて終いやろ」
「だが、ここに残るよりも――」

 身体をシルバーに向けたまま、佐野は首だけ仲間のほうを振り返る。
 やけに不敵な笑みを浮かべていて、それがアルの癇に障った。

「かっか。もう分かっとるクセに。
 みーんな一緒に逃げたら『近付かれて終い』なんやで? せやったら、ここで一人残って近付かせんよーにするっきゃないやろ」
「……だが」
「俺以外が残っても、逃げてく軽トラにビーム撃たれて終いやろ。
 一人残って軽トラに近付かせへんよーにする役目は、俺にしかでけへん」
「そういうことを言いたいんじゃないッ!」

 引っ繰り返った声をあげてから、アルは俯いた。
 小刻みに震えながら紡がれる声もまた、僅かに震えていた。

「僕は、友達を裏切りたくない。
 誰かを犠牲にして生き残るなんて……そんなものはまっぴらだ」

 しばし目を丸くしてから、佐野は吹き出してしまった。
 項垂れたままのアルに手を伸ばし、髪をぐしゃぐしゃと描き回す。

「アホやな。裏切られてないわい。友達やから残るんやろ。
 あと、誰が犠牲になるんや。このめっちゃおもろい能力で、アイツしばき倒したんのに」

 佐野はアルの髪をひっつかんで、無理矢理顔を上げてやる。
 ずっと偉そうにしていたのに、目元が真っ赤になっていた。
 一しきり笑ってから佐野が再び視線をシルバーに戻すと、もう公園のすぐ近くまで来ていた。

「ここまでやな」
「……バカが」

 アルは吐き捨てて、レイラから軽トラックの入った蔵王を受け取る。
 そのまま公園から飛び出し、車道まで出ていく。
 シルバーがそちらに掌を向け、荷電粒子砲を撃ち出した。

「させるかいッ!」

 手ぬぐいを槍状にした上で鉄化させ、佐野は荷電粒子砲の軌道上に投擲した。
 そしてレベル2を発動させると、ブリューナクの槍はやはりあらぬ方向を穿つのみだ。
 二発目も三発目も、鉄槍を投げ込んでことごとく軌道を狂わせる。
 その間に車のエンジン音が響き、どんどんと遠ざかっていく。
 苦々しい表情を向けるシルバーに、佐野は笑い返してやる。

「アンタの言う脆弱な能力に、すこーし付き合ってもらうで」

 佐野がブーメランと化した手ぬぐいを四つ放り投げるが、すべてが異形の右腕に払われる。
 ならばと他の手を使おうとしたが、それよりもシルバーが肉薄するほうが早かった。
 電撃を纏う掌が、佐野の眼前に伸びる。

「零距離であれば、超磁力は関係がないな」

 見るからにチェックメイトをかけられた状況に、佐野はなにも言わない。
 ただ口を閉ざし、呼吸を止めている。

 ――呼吸を止めることこそが、親友から授かった能力を行使する限定条件であるのだから。

「なに……?」

 生じた事態に、シルバーは眉を顰めた。
 払いのけたはずのブーメランがいきなり背後から飛んできて、肉体に深く突き刺さったのだ。
 困惑した様子のシルバーに対して、佐野は口角を吊り上げる。
 佐野の着た浴衣は僅かに乱れ、隙間から腹に巻かれた鉄が見えている。

「をいをいをいをい、なに驚いとんねん。
 小学生でも知っとるで。磁力ってのは引き付けあうもんやろう」

 シルバーはとうに意味を理解したようだが、佐野は畳み掛けるように続ける。

「鉄でブン殴っても全然効かんくらい硬くても、超磁力で引っ張ったら刺さるやろ。なっはっは」

 そこまでの軽い口調が一変し、佐野の声色が低くなる。

「どうや。アンタの言う脆弱な力、なかなかのもんやろ。
 それとも……マッドハッターやったか? そのアンタの力が大したことないのかもしれへんなァ」

 そう言って、佐野は腹を抱えて笑ってやるつもりだった。
 しかし瞳に映ったシルバーの形相に戦慄し、知らず言葉を失ってしまう。

 シルバーの瞳が血走り、眼球全体が赤く染まる。
 眼球の血管がそのまま伸びたように、顔面全体に深い亀裂が刻まれていく。
 亀裂はすぐさま首まで至り、さらに奥まで伸びていく。
 次第にロングコートの下から、もうもうと湯気が立ち込めていく。

 そして――シルバーの肉体が膨れ上がり、着込んでいる軍服が弾け飛んだ。

 右腕だけでなく、全身がARMS化している。
 佐野がそう気付いたと同時に、シルバーの肉体が煌々と輝き出す。
 その眩しさは、先ほどまで放たれていたブリューナクの槍の比ではない。
 息を吸っただけで、佐野は気道が熱を帯びるを感じた。
 なにか奇妙な臭いがすると思い、佐野はすぐにそれが自分の肉体の焼ける臭いだと勘付く。
 足元に違和感を覚え確認してみると、膝から下が炭になっていた。
 認識するやいなや炭化した足が文字通り崩れて、そのまま塵になって大気中に消えていく。
 受け身をとることもできず叩き付けられた地面までもが、やたらと熱かった。
 どうにか視線だけ上にやると、燃え盛る異形がこちらに両の掌を向けている。
 初めて見るシルバーの左掌は、右掌よりも遥かに巨大で分厚い。

「シオマネキみたいやな」

 思わずそんな呟きを漏らした、その次の瞬間。
 佐野清一郎という人間は、世界から姿を消した。
 衣服も、リュックサックも、愛用の武器である手ぬぐいも、彼自身さえ――
 なにもかもが瞬く間に燃え尽き、そして一片たりとも残すことなく蒸発してしまった。


「――ちッ」

 ARMSの完全体から人間の姿に戻ったシルバーは、盛大に舌を打つ。
 第一形態の時点で、セーブしていたとはいえすでにかなり力を使っていた。
 にもかかわらず完全体となり、両手で全力のブリューナクの槍を放ってしまった。
 しかも怒りに身を委ねていたせいで、相手は息絶えたというのに何度も無駄撃ちをする始末だ。
 マッドハッターを酷使した弊害で、体温がかなり上昇している。
 いくら早々に佐野を仕留めたところで、これでは逃げた輩を追うことは不可能だ。
 思うように動かぬ身体で周囲を眺めると、なにも残されていなかった。
 所持していたリュックサックは、跡形も残らず燃え尽きてしまったらしい。
 支給品は自ら破壊したので入っていなかったが、食料や飲料水がないのは不便だ。
 いずれ他の参加者を殺害して奪うにせよ、現在のような動くに動けない状況でこそ手元にあって欲しかった。
 それに――

「何より、服だな」

 完全体になど、早々なるものではない。
 特にあのような脆弱な参加者が相手ならばと、シルバーは心に刻みつけた。
 とはいえ佐野清一郎相手に完全体になったこと自体に、悔いてはいなかった。

 親友の与えてくれた能力を貶すのが、佐野清一郎にとっての禁句だったとするならば――
 戦闘生命としての力を否定することこそが、キース・シルバーにとっての禁句であるのだから。



【佐野清一郎 死亡確認】
【残り62名】



【E-2 公園/一日目 朝】

【キース・シルバー】
[時間軸]:15巻NO.8『要塞~フォートレス~』にてオリジナルARMSたちがカリヨンタワーに乗り込む直前。
[状態]:健康、共振波を放出中、マッドハッター酷使による体温上昇、全裸
[装備]:なし
[道具]:なし
[基本方針]:戦闘生命として、闘争を求める。


 ◇ ◇ ◇


 走り続けていたボー・ブランシェは、遠くから砲撃の音を捉えた。
 戦闘が行われているとなれば、そこに向かわぬボー・ブランシェではない。
 殺し合いに乗っているものは倒し、弱者は守らねばならないのだ。
 ゆえにさらに走る速度を上げたところ、そちらから離れるように進む軽トラックが見えた。
 戦闘を行ってはいないようなのでひとまず放っておこうかとも思ったが、あまりに覚束ない運転なので声をかけることにする。

「待てい、そこの車ッ!」

 軽トラックの速度は決して早くなく、ならば五十メートルほど前に立てば問題なく止まれるだろうと判断する。
 ボーの声は大きいだけでなくよく通るし、道のド真ん中で大きく手を広げていれば、気付かないということもないだろう。
 そんなボーの予想を覆し、軽トラックは止まることなくボーへと突っ込んできた。

「うおおおおおおおおおおッ!?」

 十メートルほど前まで迫った時点で、違和感はあった。
 ブレーキを踏んだ気配が、かけらも見られなかったのだ。
 それでも、実際にこうして轢かれかけると焦る。
 情けない声をあげてはいても、ボーは格闘のスペシャリストである。
 咄嗟に手を前に出して軽トラックのフロントを掴むと、腰を低く落として踏み止まることで、無理矢理に軽トラックを止める。

「どういうつもりだ、貴様あッ!」

 衝動的に車内に言い放ってから、ボーは運転席に乗っているのが年端もいかない少年だと知った。
 しかも助手席にいるのは、少年と同い年くらいの少女と、成人前後と思われる女性である。
 なるほど、女性に運転経験がなく、仕方がなく少年が運転をしていたのだろう。
 一人でそう納得してから、ボーはうろたえ始める。
 守るべき弱者を怒鳴りつけてしまったのだ。
 誰よりもネオナチの理想を信ずるボーであるから、それは焦る。
 慌ててどうにか取り繕うとしていると、少年に呆れたような声を浴びせられる。

「なにをしてくれてるんだ、お前は。
 僕の友達が公園で強敵を引き止めてくれているから、僕たちはいち早く逃げねばならんのだ。
 ふん、なんならお前も乗っていくか。スペースがないから、荷台にいてもらうことになるがな」

 あまりに予期せぬ内容だったゆえ、絶句してしまう。
 しばらくかけて、どうにか意味を理解する。
 それから一息置いて、ボーは口を開いた。

「……ボウズ、詳しく聞かせてくれ」



【D-2 路上/一日目 朝】

【アル・ボーエン】
[時間軸]:第四部「アリス」編終了以降。
[状態]:健康、心の力(中)
[装備]:レイラの魔本@金色のガッシュ!!、心眼@烈火の炎、軽トラック@現実
[道具]:基本支給品一式、通信鬼@GS美神、ノートパソコン@現実、USBメモリ@現実
[基本方針]:施設を巡り情報を集める。殺し合いに乗っている者は倒す。西へ向かう。
※ルシオラの思考をある程度まで読んでいます。


【レイラ】
[時間軸]:魔本が燃え尽きた直後。
[状態]:大人化、ダメージ回復、心の力(中)
[装備]:輪廻@烈火の炎
[道具]:基本支給品一式、居合番長の風呂敷@金剛番長、通信鬼@GS美神
[基本方針]:仲間達を守る。殺し合いに乗っている者は倒す。
※輪廻で大人の姿となることで能力が上昇していますが、副作用で会場に来る以前の記憶が朧気になっています。
※ガッシュ達が仲間であることは理解しています。


【コロンビーヌ】
[時間軸]:本編で活動停止後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:ランダム支給品1~3(確認済み、装飾品ではない)、基本支給品一式
[基本方針]:さすらう。『生存目的』を見つけ出す。アルに同行。
※アポリオンは使用可。制限されているかどうかは不明。


【ボー・ブランシェ】
[時間軸]:COSMOS戦にて死亡後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:ランダム支給品1~3、基本支給品一式
[基本方針]:弱者を助けつつ、主催者を倒す。暁を探し戦力を整え角ハゲ(鬼丸)を倒す。





【備考】
※完全体になった際にシルバーの周囲にあったものは、すべて燃え尽きました。




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キャラを追って読む

077:世界最強の男、世界の広さを思い知る ボー・ブランシェ 101:苦渋の決断
091:既知との遭遇 レイラ
アル・ボーエン
コロンビーヌ
佐野清一郎 GAME OVER
057:現在位置~Fly! You can be Free Bird~ キース・シルバー 099:戦闘生命






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